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1月2日 話が大きくなってきたような気がしないでもありません

「全てのものは変容する。それは命の理、歩みを止めし者はそこで終わりじゃ。

 変容せぬものは滅したと同じぞ。

 それは源も同じ事。永き時の流れを経て源も変容する。

 今がその時ぞ。

 それ故、虚無より魔物が生ずる。魔物が増えるは、虚無が広がる証。

 源が変容する障りとなり、陰りが生ずるのじゃ。

 だから吾の一族は、魔物を滅する。源の障りとならぬようにの。

 そのような時、そのような場所に主が現れた。

 そは、命の理と同じであろうよ」


 火炎竜種の王、紅き鱗の龍は始原の炎を見下ろし静かに語ります。

その表情は真剣で、ヨッパ大王の片鱗は何処にも見えません。

とても大事なことを話してるんだと思います。

このヴァルノーラ世界の本質に関わる、大事な話だと思います。


でもね。

ご、ごめんなさいです、陛下。

今ひとつ、ううん、五つぐらい解りません。

 

 私に解ること、解ってることは。

源が始原の炎で、この世界にとって大切なものだってこと。

その源が変わりつつあるってこと。

そのために虚無から魔物がたくさん出てきてるってこと。

その魔物は、ヴァルノーラ世界の命にとってすごく良くないってこと。

それだけは、猫の街で嫌ってほど解ってます。

瓦礫の下でみつけた、小さな小さな猫さんの血にまみれた手。

きっと、日本に帰っても忘れられない。

忘れることなんでできないのですよ。

だから、私は決めたんです。

魔物の犠牲になった猫さんたちを見て、決めたんです。


「私にできること、しなきゃです」


「それで良い、人の仔よ」


竜王陛下が私を見つめて、またにやりと笑いました。

まるで悪戯を思いついたような、そんな笑みです。


「猫の街で主が滅した魔物の数は膨大ぞ。

 しばしこの領域より、魔物の影が消え失せた。

 吾や吾の同胞が暇を持て余す程にの」


陛下はやっぱり暇だったんですね。

暇を持て余して、いきなり我が家に出現したんですね。

この様子だと、これからもお酒飲みに来る気満々ですね。

しかたがありません。

とーさんの銘酒コレクションに、盗難防止の結界はらないとです。


「ギンさん、また結界の修行、お願いします」


「いかがした、サツキ。剣呑な目付きになっておるぞ」


「人の仔よ、何ゆえ、そのような目つきで吾を見る?」


「いーえ、なんでもありません」


棒読みの返答になったのは、無理もないと思いませんか。


「そろそろ帰宅してもいいでしょーか」


「ふむ、源を見て満足いたしたか」


「はい」


「ではよかろう、ギン、人の仔をさらに鍛えよ」


「仰せのままに、我が君」


 源を後にして、私達は洞窟の入口へと戻りました。

赤毛連盟のご一行様は、さすがに自分の住処へ戻ったようです。

幾頭かのドラゴンが、領域を見守るため空へと飛翔しています。

うん、人の姿よりドラゴンさんの姿のほうがずっといいですね。

大空へ飛翔する、紅き炎の西洋ドラゴン。

その姿は勇壮で、正統派ファンタジーとはかくあるべきな見本です。

ファンタジーとは。

けっして、赤毛のイケメン集団が狂喜乱舞する姿じゃありませんから。


「異界の人の仔よ、変容する源はここだけに非ず」


竜王陛下がいきなりそう言いました。


「どういうことですか?」


「源は他にも在る。吾のように源から生じた幻獣の王も他に在る。

 それを心のすみに刻んでおくがよかろうぞ」


「…はい」


「では、またな。主の家の酒、楽しみにしておるぞ」


「~~~!!」


ヨッパ大王、もう我が家に光臨しなくていいからね!


ギンさんに乗せてもらって帰宅したあと。

なんだかもうどっと疲れて、そのまま寝ちゃいました。


あ、お風呂ははいりましたよ、お風呂はね。

乙女の身だしなみですからね。

明日はどんな一日になるんでしょうねえ。


更新が一日飛んでしまいました。

申し訳ありません。


仕事なんか嫌いだー。


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