元旦 新年会ナウ
あけましておめでとうございます。
お久しぶりです。
メリクリの夜から七日たちました。
とうとう、異世界で新年を迎えちゃいました。
ダイニングでTVから聞こえる除夜の鐘、ギンさんと聞きました。
ギンさんによると、除夜の鐘の音には魔除けの力がこめられてるそうです。
年明けと同時に、カナミたちのあけおめメール。
とーさんたちのあけおめ留守電メッセージきました。
うんうん、あけおめです。
今年はそっちに帰れるといいなあ。
床暖房がぬくぬくなダイニング、そこにいるのは私とギンさん。
そしてハリィさんとトルナさん。
そしてそして、何故か人の姿の竜王陛下もいらっしゃいます。
お歳暮の缶ビール片手に、これまたお歳暮のハムを切ったのつまんでます。
ほろ酔い陛下、とってもご機嫌麗しいご様子です。
ギンさんは黙って首をふり、前足で頭を抱えてます。
ハリィさんとトルナさんは手をとりあって、フレーメン状態。
そりゃそうですよね。
いきなり竜王陛下が空中から出現したら、誰だって驚きます。
人の姿をしてても、金色の目とか、ゆらめく炎の紅い髪とか。
恭しく礼をする幻獣のギンさんの態度とか。
その正体、気がつかないほうがどうかしてますよねえ。
どうしてこうなった…。
話せば少々長いお話になります。
猫の街の復興に目処がついた大晦日。
その復興の日々の先頭を突っ走ってたハリィさんとトルナさん。
吊り橋効果で、私と彼らは戦友のような間柄です。
自宅と猫の街を行き来しながら、いろんなお手伝いをしました。
犠牲になった千人以上の猫さんたち。
その合同葬儀にも参加しました。
彼らの亡骸を火葬したのは、誰あろうギンさんです。
私が魔力を供給してね、強力な火炎魔法で瞬時に。
ほんとに、いろんな事があった七日間でした。
でね、疲労しきった友人をもてなそうと思ってね。
ハリィさんとトルナさんのお二人、我が家の年越しパーティーにお招きしたんです
ほんとは仲良くなった亜麻色巻毛君とかも招きたかったけど。
リザードマンさんたちは、村に帰っちゃったしね。
そしたら何がどうなったのか。
そのパーティにいきなり参加遊ばされたのです。
竜王陛下が。
「吾のせいであろうな」
次々と缶ビールをあけてく陛下を見つつ、ギンさんがぼやきます。
「上位世界の魔力あふれる酒の話を、我が君に申し上げたのだ」
「…だからって、単身でいきなり転移してくるほど、陛下は暇なの?」
「そのような暇があろうはずもない」
「けど、あのとーりだよ?」
「…すまぬ、サツキ」
陛下、くいーーっと一気飲みしてます。
「旨い、実に旨いぞ、人の仔よ。吾の全身に力がみなぎっておるわ。
新しき猫のギルド長よ、遠慮せず、汝らも飲むがよかろう」
ヨッパだ、ヨッパがそこにいる!
「あ、ありがとうございます、へーか」
フレーメン状態のまま、ハリィさんがつぶやきました。
一昨日、ヴァルノーラ冒険者ギルド評議会から、通達がありました。
猫の街冒険者ギルドの新しいギルド長。
それは我が友、ハリィケルン・シュヴァルツ・ザインです。
そのおめでとうパーティーでもあったんだけどね。
陛下の威光のせいで、ハリィさんもトルナさんもフリーズですよ。
ああ、もう、どうしてくれようか。
ええい、こんな時は、いっしょに騒ぐべし、騒ぐべしです。
両手に魔力をこめて、ゴッドハンドマッサージ起動です。
固まった両猫さんの背後にまわって。
ハリィさんとトルナさんの尻尾を鷲づかみだ。
「「ふにゃああぁぁぁん」」
よし、フレーメン状態は解けましたね。
うん、お二猫さんとも、すべすべふわふわのすばらしい尻尾です。
ささ、飲んで飲んで、食べるのですよ。
せっかくの魔力あふれる、我が世界のビールです。
竜王陛下に全部飲まれちゃいますよ、このままじゃ。
ハリィさんとトルナさんの手に缶ビールを押し付けてっと。
「ハッピーニューイヤーだにゃ」
「はっぴにゅーいや?」
トルナシェルン嬢がそういって、どうにでもなれって風に缶ビールを一気飲みです。
「見事じゃ、猫のご婦人」
陛下も負けじと一気飲みです。
ハリィさんも覚悟を決めたのか、手にしたビールを一気飲みしました。
とーさん、ごめんなさい。
お歳暮のビールは、竜王陛下達に全部飲まれそうです。
銘酒コレクションは死守するから、許してね。
こんばんは、風邪ひいてまんねん^^:
みなさまも寒暖の激しさにお気をつけてくださいね。
遅くなりました、今日の更新です。




