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12月25日 めりくりです

 猫の街の城門前には、幾台もの馬車の列ができてました。

食料や水、衣類や薬、薬草に簡易天幕等々。

必要と思われる物資と人手が続々と到着してます。

いろんな獣人さんたち、もふり候補がよりどりみどりです。

わんこさんに、狼さんに、虎さんに…。

みんなアニマルフェイスですけど。

時々、毛のないリザードマンさんとか、半魚どんとか混じってるなあ。

人面けも耳な獣人さんは、この辺にはいないみたいだな。

それにしてももふもふだらけなのですよ。

いいです、とっても心躍る光景です。


「いかがした?」


「なんでもないっす、ないったらないです」


思わず両手がわきわきして、ギンさんに不審がられちゃいました。

いかんです、仕事しなきゃです。

私とギンさんで食料の木箱や水の樽を一手に引き受け、ギルドまで空輸開始。

荷物を全部ふゆふゆさせて、ゆっくり運んでいきます。


 空を翔る、乙女がのった三本尻尾の幻獣さん。

その後をおっかけてくる、木箱や樽の群れ。

ちょっとメルヘンぽくないですか?

私を乙女って自称してるからアウトだって?

ま、細かいことは気にしないでねっと。


 空輸した荷物をギルド前に降ろして、丁寧に積み上げてっと。

荷物の運び込みは、もふもふリザードマンさんズがスタンバってます。

いずれおとらぬ怪力持ちみたいで、軽々と屋内へ運んでますね。

その荷物を小分けしていくのは、回復途上な怪我猫さんたち。

まだ瓦礫撤去とかできないから、食料とか水とかを分けていきます。

小分けしたものを配達するのは、子猫さんたち。

長い魔物との攻防戦のときも頑張ってたけど、今も頑張ってます。

ほんとに、けなげだなあ。

さて、ギンさん、次の荷物運びにむかいましょうか?


※※※


 荷物運びも瓦礫撤去も一段落。

時刻は夕暮れとなってました。

今晩も猫の街の冒険者ギルドにお泊りです。

トルナさんが、人族仕様の下着と服を用意してくれました。

今日も露天風呂貸切で、のんびりまったりです。

みんなと夕食後、二日ぶりにメールチェックです。

にーちゃんから、デコメールが届いてました。


『五月、メリクリ。

 佳奈美ちゃんから聞いたが、お前のアバのログイン履歴があったそうだ。

 どこからかお前がログインしたか、誰かがお前のアバを乗っ取ったのか。

 俺的には、おまえがログインしたと思ってる。


 あのさ、なくなっちまった家のライフラインのメーターな。

 それはこっちに残ってるんだけど、動いてるんだよ。

 お前がいなくなってからもな。

 それは、お前が生きてる証拠だって、俺は思ってる。

 親父とお袋も、そう信じてるみたいだ。

 だから毎朝おはよう、元気かって留守電に吹き込んでるみたいだけどな。

 とにかく、無理すんなよ。

 元気に帰ってこいよ。じゃ、またな』


背景はきらきらなクリスマスツリー。

美味しそうなケーキの写メ付です。

 

とーさんとかーさん、カナミとエリとユーキからも、メリクリのメールが来てました。

かーさんのメールは「テスト結果の駄目出し」お怒りつきですが。


そっか、今日はクリスマスでした。

昨日のイブはいろいろあって、すっかり忘れてました。

今日もいろいろあって、動き回ってたしね。


「うん、メリークリスマス、ありがとね」


「めりーくりすますとは?」


ギンさんが不思議そうに携帯を覗き込んでます。


「それはお主の世界の魔道具か?」


「ん、そんなものかな。メリークリスマスはね、みんな幸せ、ありがとってことかな。

 ギンさん、メリークリスマス。ギンさんと会えてよかったよ」


ふっかふかのギンさんの首に抱きついて、すりすりします。


「左様か、では吾もめりぃくりすますぞ」


明日は一度、家に帰りましょうか。

憩いの3DKマンションにね。


そそ、帰る前にハリィさんとトルナさんをもふもふしなきゃね。

おやすみなさい、メリークリスマスです。

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