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12月24日 ギルド長 撃沈

 ギンさんと私は、冒険者ギルドへ向かいました。

被害状況とか、くわしい情報が集まってると思います。

その情報をもとに、何処からお手伝いしたらいいかわかるといいな。

すれ違う猫さんの冒険者達は、いろんな道具を持って街の外側に向かってます。

きっと瓦礫を片付けにいくんだろうね、頑張ってね。


冒険者ギルドのホールは、即席の病院になってました。

怪我をした猫さん達が、床に寝かされてます。

対魔物の戦いを優先させたから、魔法で治療ができなかったんだね。

ヒーリングと解毒ならできるんだけど。

いろんな指示をだしてるギルドの職員さんたちは、なんか殺気だってます。


「ギルド長、大馬鹿にゃ、この現実がみえないのにゃ。

 なにが依頼書を受け付けてから冒険者を動かせ、だにゃ!」


「あれは無視するにゃ、怪我人の手当て最優先にゃ」


「トラベリングストーンを使って、各地からヒールポーション集めるにゃ。

 大馬鹿ギルド長の決済なんぞいらんにゃ」


「手の空いてる元気な冒険者にトラベリングストーンを配るにゃよ」


と、いろんな指示が乱れ飛んでます。

その指示に従って、冒険者の猫さんたちが動きだしてるし。


「あの、私、ヒーリングできます」


怪我人の世話をしてる手近なキジ猫さんに声をかけました。


「ほんとかにゃ、にゃあ?」」


ふりかえった猫さん、人と幻獣の組み合わせに驚いたようだけど。


「さっそく治療を開始してほしいのにゃ」


って、頼んできました。


「解りました」


「吾も手をかそう」


神聖魔法のヒーリングは、リザードマンさんの矢で怪我したとき以来です。

魔力を練って、両手に集めて怪我をしてる部分にあてて。


「ヒーリング」


出血してた傷が、血がとまってゆっくり治っていきます。

よし、完了。

失った血はもどせないけど、枯渇してる魔力は補充できます。

あとは安静にしてたらいいはず、ですよね。


「よし、あんた、奥の方から順に頼むにゃ。

 幻獣の旦那は、反対側の方から順にお願いするにゃ」


「心得た」


「わかりました」


そうして、怪我をした猫さんたちの治療と、魔力の補充を続けてたら。


「何を勝手に動いてる!?形式をふめという私の指示を聞かなかったのか」!


って、叫ぶ黒猫さん登場。

黒いビロードのローブに、つやつやの長い尻尾。

黄色い目をかっと見開いて、怒り心頭って感じです。

話聞かない冒険者ギルドの長、フィリップさん。


「また、あやつか」


ギンさんがボソリとつぶやきました。


ああっ、なんかまたややこしくなりそうですね。

無視して、ヒーリングに魔力補充を続けましょう。

怪我をした猫さん、まだまだいるのですから。


「混乱は秩序を破壊する、秩序の破壊は魔物を呼ぶ温床となるぞ」


なんか難しいこと言ってますけど、論理崩壊してませんか?

高校生の私でもわかりますよ。


「私の指示通りにせよ。私の指示を無視するからこのような惨事となったのだ」


はああ?

そんなわけないでしょうが、なにいってんですか。

フィリップさんの話、誰もきいてません。

完全無視ですね。

それどころじゃないってのが、猫さんたちの意見でしょ。

私も同感です。

それに、昨日の惨事は、あなたを無視したからじゃないでしょう。

なにをいってるのか、ほんとーにワケがわからないよ。


「私の話を聞かないか!聞けというに!話を聞け、指示通りにせよ!」


騒いでる暇があったら、怪我人の世話でもすればいいのに。

総毛だてて、ぱんぱんに膨らんでるし。


「尻尾を噛んでやろうぞ」


とうとう、ギンさんが実力行使にでるみたい…と思ったら。


黒白の一陣の風が動きました。

神速の猫パンチでふっ飛ぶフィリップさん。


ハリィケルン・シュヴァルツ・ザインさん、渾身の一撃です。


おおぅ、我が友、実にお見事です♪


今日のお話です。

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