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12月24日 イブの朝 俺シカの朝

 おはようございます。


 外は静かなようです。

浮かれ騒ぐ猫さんたちの嬌声、遅くまで聞こえてましたけど。

日本は全国的に、クリスマスイブですね。

小さいころならサンタさんのプレゼント、枕元に探す日です。

サンタさんがとーさんだと知った日、文字通りorzになったのは少女の秘密です。


 昨日はギンさん、ハリィさんが酔いつぶれるまで酒盛りしてました。

猫の街全体がそうだったみたい。

途中から、冒険者ギルドの受付してたシャム猫さんとその仲間が乱入してきました。


「フィリップの腹黒にゃんか、消えるのにゃあ!!」


とか、シャム猫さん、大暴れしてました。

またたびで酔っ払う猫さんそのまんまです。


「ハリィケルン、あんたが、せきにん、とるにゃあああ」


と、ハリィさんに襲い掛かってました。

爪でてたから、かなり本気モードです。

仲間の猫さんたちが必死で抑えてましたよ。

ギンさんは面白そうに観戦してました。


私は未成年ですから、飲むなんて、ねえ?

かわりにたくさん食べました。

たぶん、ハリィさん家の食料倉庫、空っぽになったかもです。

ハリィさんの居間、酔っ払い猫さんズが占拠したので私は二階へ移動。

適当に休ませてもらいました。

今は隣にギンさんが寝てます…お酒くさいんですけど。

いつの間にきたのかな?

てか、いっしょに寝るのはもう当たり前なんですね、ギンコーチ。

そんなに私の魔力はおいしいのですか。そーですか。


 爆睡ギンさんをおいて、一階へ降りていきました。

おおぅ、俺の屍を越えていけ、な状態です。

空き樽や空きビンや汚れたお皿やコップといっしょに、いろんな猫さんが倒れてます。

お酒の匂いがすごいです。

屍の果てに、黒白猫のハリィさんと、シャム猫の受付嬢が倒れてます。

引っかき傷がなさげだから、放置しても大丈夫かな?

壁に沿って玄関まで移動。

扉をあけて外に出て、空を見上げました。

地球と同じ澄んだ青い空で、雲ひとつありません。


魔物の犠牲になった猫さんたち、どうか安らかにね。


そう、お祈りしました。

ヴァルノーラに神様がいるのなら。

どうか猫さんたちが安らげますように。お願いします。


※※※


 ハリィさん家にもどったら、屍がゾンビに昇格してました。

二日酔いの猫さんの集団です。

どよーーんとした目つきで、ふらふらしてます。

時々、床に散らばった空きビンや空き樽に躓いてます。

中央広場で騒いでた猫さんたちも、こんな状態なのかなあ。

きっと壮絶だろうなあ。

見たいような、見たくないような。


「サツキ」


ギンさんが二階から降りてきました。

さすがコーチ、二日酔いじゃなさそうです。

魔力を食する幻獣さんだから、酔ったりしないのね。

ゾンビがうろつくハリィさんの居間をみて、ぼそりとつぶやきました。


「ひどい在り様じゃ、解毒の魔法が必要ぞ」


「解毒?」


「うむ、酒精は妙薬であるが毒にもなる。ゆえに解毒の魔法で取り除ける」


「ギンさん、きっと猫の街全体が、ここと同じだと思うけど」


「なら、お主が街全体にかけるが良かろう。手本を示してやろうぞ」


全身に魔力をいきわたらせて、一気に解放しました。


「猫達の体内に宿りし酒精よ、吾が声に応えよ。その在りし場所を外気に移せ」


ふらふらしてるハリィさんたちの体を、ギンさんの魔力が包みます。

青く微発光してから、体内にとりこまれ、そしてもう一度発光。


「にゃ。なんか楽になったにゃ」


「解毒の魔法にゃ、助かったにゃ」


「頭痛も吐き気も治ったにゃ」


ふらふら猫さんたち、ゾンビから復活。

周りの惨状をみて、泣きそうな顔になりました。


「今日は忙しい日になりそうにゃ」


と、ハリィさん、まずはこの惨状をなんとかするとこから始めるみたい。

その間に、私は解毒の魔法をかけに、もう一度外へいきましょう。

ギンさん、ご指導お願いいたします。

あとでゴッドハンドマッサージさせていただきますね。

そだ、ハリィさんにもしてあげよう。

念願の猫族さんもふもふだあ。


うん、イブの今日も、忙しくなりそうですね。

 



驚きです、ブックマークが100を突破してました。

ほんとにありがとうございます。



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