12月23日 戦いすんで日が暮れてにゃっはあーな猫の街
一つ、また一つと星がまたたき始めました。
あ、違います。
黄昏時に光る猫さんたちの、白や緑や赤に光る猫ビームです。
白は光、緑は風、赤は火属性だってカナミが笑ってましたっけ。
中には左右の色が違う属性持ちもいますね。
そんな猫ビームな猫さんたちが、ゆっくりと中央広場に集まってきてます。
ある意味本望です、この光景は。
夜の猫ビームになら焼かれても後悔しないよ、私。
「サツキさん」
一際きれいな風属性の緑ビームなのは、ハリィケルンさん。
いつの間にか私のそばに来てました。
あれ、私、いつ地面に降りてたのかな。
ぺたんと座り込んでる私の背中を、ギンさんがしっかりと支えてます。
ふわふわ尻尾で包み込むようにあっためてくれてます。
「ようやったの、サツキ」
おおぅ、ギンさんも猫ビーム状態、属性は火ですね。
さすがは火炎竜王の眷属さまですね。
「にゃあ、終わったにゃ」
「星がみえるにゃ」
「気持ちいいにゃあ」
途方にくれてた子猫さんたち、思いっきり飛び跳ねてます。
さすが猫族、ジャンプ力、すごいですね。
その姿は日本でよくみかけた、じゃれあう子猫さんと同じなんですよ。
ブッキーな魔物ドームを見つめ続けた後の、心の癒しです。
「にゃああん、助かったのにゃ」
「にゃっはあぁぁああぁぁ」
「うなぁああぁん、うなぁああん、頑張ったにゃ、よくやったにゃ」
じゃれあう子猫さんたちの喜びが、大人の猫さんたちに伝染したみたい。
無表情で静がだったのが嘘みたいに、大喧騒ナウです。
「火を焚くにゃ、酒をだすにゃ!」
「ありったけの食べ物だすにゃ、踊るにゃ、跳ぶにゃ」
「生きてるってすごいのにゃあ!」
私とギンさんとハリィさんを除いて、広場中の猫さんたちが浮かれまくってます。
組になってジャンプを競う猫さん。。
目まぐるしく位置を入れ替えて踊りあう猫さん。
いろんな鳴き声でコンタクトをとる猫さん。
互いに頬をすりすりして二猫の世界に入る、カップル猫さん。
迫力満点で生きてる喜びを表す猫族の人たちって…。
「す、すごいのにゃ」
あ、にゃにゃにゃ語がうつっちゃった。
「サツキさん、あなたのおかげにゃ」
跪いたハリィさんが、私の右手をとって言いました。
「猫の街の住人を代表して、お礼をいうにゃ、ありがとにゃ」
ぷにぷに肉球が、私の右手をつつみこみました。
うわぁ、めっちゃ気持ちいいです。
私の右手を頬ですりすりしだすハリィさん。
…ハリィさん、ど、ど、どーしたんですかあ?
てれるじゃないですか。
頬が熱いよ、きっと赤面代魔王になってますよぉ、ハリィさんてばあ!
「あなたいい人、あなたいい匂い」
グルグルグルと、低いモーター音のように喉を鳴らして頭をたれます。
「私、ハリィケルン・シュヴァルツ・ザインの忠誠を終世、あなたに奉げるにゃ」
これって、ハリィさん、ゲットしたってこと?
思わずギンさんに目で問いかけました。
「ハリィは真名を奉げておるぞ、サツキよ。受けてやるがよかろう」
ギンさんは真剣な目で答えてくれました。
真名、ギンさんは竜王陛下に奉げてるって言ってたよね。
その大切な真名を、私に奉げてくれるの?
まだ出合ったばかりだよ、私とハリィさん。
終生って、ハリィさんが死ぬまで私に忠誠を誓うってことでしょ?
…それって重すぎます、ハリィさん。
私はハリィさんが好きだし、思いっきりもふもふしたいけどね。
けどね、ハリィさん。
私はハリィさんと友達でいたいよぉ。
友達を家来にしたくはないんですよ。
どうしたらいいのかな、とーさん、かーさん、にーちゃん。
こんなとき、どう応えたらいいのかな。
わかんないよ、カナミ、エリ、ユーキ。
グルグルと喉を鳴らすハリィさん、じっと私を見つめてきます。
「真名を奉げられたら、快く受けてやるがよい」
ギンさんの言葉が、重く心に響いてきました。
「真名は受け取ります、けど」
私は決意をこめて、こういいました。
「忠誠はいりません、私が欲しいのはね」
伝われ、私の心、どうかハリィさんに届いてね。
「友情です、ハリィさんの」
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