表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/90

12月23日 魔物殲滅

 空一面が濁ったぬめぬめ肉色、トッピングにところどころ虫と白毛玉。

昨日の悪夢再びです。

それは猫さんたちも同じようです。

杖や剣をもった冒険者の猫さん、みんな総毛だってます。

両耳をぺたんと寝かせて、牙を剥いて空を威嚇しています。

空から舞い降りたギンさんと私には目もくれません。

それぞれ、魔法や剣技で魔物を退治しています。

時々ガラスビンに入った緑色の液体を飲んで、退治を続けてます。

空いたガラスビンと交換に、新たなビンを渡す子猫さんたちが走り回ってます。

総力の防衛線の最前線なのですね、ここは。


『ヴァルノーラのマジックポーション 魔力回復効果あり』


って文字情報点滅。

これがリアルドーピングですね。

ゲームで私もやったことあるけど、実際に目にするのは初めてですよ。


「もう、マジックポーションがないにゃ!」


「ギルドまで取りにいくのにゃ」


「さっき持ってきたのが最後にゃ、もうないにゃああぁ」


 途方にくれた子猫たちが、耳と尻尾をたれて座り込んでいました。

そのいたいけな様子に、思わず釘づけな私です。

この仔たち、なんとしても助けなきゃ、です。


カワイイは正義。

キレイは愛。

そして、イタイケは勇気なのです。


「ギンさんは結界の強化をしてください」


「まかせよ、お主はどうする気ぞ?」


「もちろん、魔物殲滅作戦開始です!!」


勝利のVサインを空に向けて宣言します。


「必ず敵を殲滅して、子猫さんを全員もふりたおします!」


首を洗って待っておけ、なのですよ、魔物さんたち。


 座禅を組んで空中浮遊開始。

ふゆふゆではなく、素早い動きで街の中央広場を目指します。

たくさんの大人の猫さんたちが空に向かって魔法攻撃しています。

中央広場ではハリィさんを中心に、ローブを着た猫さんたちが円陣を組んでました。

ハリィさんが掲げてるのは、大きな水晶のついた杖です。

その杖から膨大な魔力が空にむかっています。

あれが街全体をつつむ結界の魔力源ですね。

ハリィさんも他の猫さんたちも、疲労困憊みたい。

魔力が底をつきかけてるんだ。

今にも倒れそうです。

結界が消えたらお終いですよ、なんとかしなきゃ。


「ハリィさん、魔力送ります!」


「サツキさん!?」


丹田で練ったこっちくるな魔力を杖に送りました。

同時にオートマップスキルを発動。

32インチ画面が頭上に展開。

赤く点滅する私の周りは、黄色の海です。

青で点滅するはずの猫さん、赤三角のギンさんは黄色の海に消されてます。

予想通りの画面です。


「うん、できるはず、黄色の数を示して」


オートマップ画面の下側に数字が点滅しました。


赤 数量 1

赤三角 数量 1

青 数量 2,087

黄 数量 91,180,012


黄色の数量は減ったり増えたりしています。

この数を一気に殲滅しなきゃです。


ゆっくりと息をすって、吐いて。

集中、そしてイメージ。

全方位へミサイルを撃つ。

追尾機能つきのホーミングミサイル。

ありとあらゆる場所にいる魔物に向かって…撃つ。

ミサイルが反応するのは魔物のみ。

猫さんやギンさんたちはよけてね。


練った魔力を全方位でまとって準備完了です。

空中浮遊する私の周りに、卵形の光が出現。


「サツキホーミングミサイル発射!」


卵形の光が強くなり、無数の魔力弾となってはじけました。

九千百十八万あまりの光の筋が空へ向かいます。

なにをどうしたのか、私にもわかりません。

けど、私が撃った魔力弾は間違いなく魔物に命中してます。

あれほどいた魔物たちは、瞬時に消滅していきました。

取りこぼしはありません。

…それが解るのです。

解ることが怖くて、私は呆然としていました。

空の色は、黄昏時の紫がかった灰色になっていました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ