12月22日 竜は龍だったようです
今日のお話です。
とゆうか、すでに明日になってました^^:
火炎竜種の竜王陛下、玄関でずっと立たせとくわけにもいきません。
とりあえずは、どうぞ中にお入り下さいませ、です。
ありふれたダイニングで、椅子に腰掛ける竜王陛下。
違和感ありあり、ハンパないです。
白とベージュが基本色のダイニングですけど。
燃えさかる炎のような紅い毛のイケメンさんには、まったく合ってません。
竜王陛下は泰然として、私がいれた珈琲を飲んでます。
「ふむ、ギンよ。主の申すとおり、異界の飲み物は魔力が凄いのう」
「我が君、御口にあいましょうや?」
「悪くない、主の魔力が満たされるのも道理ぞ」
と、王さまと臣下というより、殿さまと家老さんみたいな会話してます。
「しかし、ギンよ。この人の仔は魔力が溢れていると聞いたが」
じっと、縦割れの瞳が私を見つめます。
ううっ、目力が凄いなあ。
さすがです、陛下、怖いです。
「主が申したように魔力が溢れてるようには見えぬが。よく制しておるではないか」
「先日より、魔力を練る修行を課しておりますゆえ、少しは上達したのでしょう」
うん、それはそれは練りまくってたからね、頑張ってるからね。
竜王陛下の視線が、上から下まで動いていきます。
その目が、丹田でとまりました。
みよ、この渦巻き、すごいでしょ、陛下♪
「おお、人の仔よ。丹田の魔力は素晴らしいの」
そうでしょう、そうでしょう。
ギンコーチ、竜王陛下からエース取りましたよ。
「時に人の仔よ、このあたりで魔物が大発生しておったはずだが、心当たりはないか?」
大発生の魔物とゆうと、あの白毛玉触手の団体さん?
心当たりは大有りです。
ぎっちぎちに居ましたから、家の周りに。
「あれは吾自ら退治せねばならぬほど凄まじい数であったのだが」
「我が君とともにここへ来たのだが。魔物の気配すらせぬのだ、サツキ」
ギンさんも竜王陛下も、少し困惑気味です。
これは白毛玉ズを殲滅したこと、はなさなきゃですね。
「あのですね、白毛玉の魔物が凄い数いたんで、退治しました」
「サツキが退治したと申すか?」
「はい、家の周りに群がって群がって群がったので殲滅しました」
だって、濁った肉色壁、白毛玉トッピングですよ。
殲滅以外になにかあるとでも?
「いかがして、滅したか、人の仔よ」
竜王陛下が興味深々で聞いてきました。
瞳孔が開いてますよ、陛下、やっぱり怖いですってば。
「無属性攻撃魔法、魔力弾サツキスペシャルで」
それは苦労しました。
数がハンパないんですもの。
おかげさまで、ただいま腰に温湿布してますもの。
竜王陛下が来なけりゃ床暖房にして、ごろごろギンさんをもふる予定だったのに。
「なるほどな、界渡りの人の仔は魔力が無限にあるとゆうことか」
竜王陛下は、にやりと笑ってギンさんに言いました。
「面白いことになってきたの、ギンよ。主と人の仔が出会うは僥倖ぞ。
主が吾に奉じた真名において命じる。心して聞くがよい」
「はは、我が君」
「主は人の仔を守り、盾となれ、そして、人の仔を鍛え剣とせよ」
「仰せのままに」
「では帰るとするか、馳走になった、人の仔よ。いずれ会う時もこようぞ」
紅毛のイケメンさんは、そのまま竜の姿に変化。
陛下は西洋型のドラゴンさんじゃなく、東洋型の細長い龍さんです。
炎のようなゆらぐ紅毛は、そのまま龍さんの鬣になってます。
メタリックな紅いうろこがとっても綺麗なんだけど。
大きいのですよ、陛下。
ダイニングにみっしりつまりました…。
私とギンさん、壁に押し付けられてます,
へーか、苦しいです。
中身がでたらどうしてくれよう、です。
竜王陛下、じつは、ちょっと馬鹿?
「む、すまぬ、許せよ」
陛下はそのまま、ダイニングから消えました。
転移の魔法かな?
ああ、苦しかったですが、嬉しいなあ。
竜王陛下の命により、ギンさんは私専用のもふり対象になりましたよ。
やったね、ギンさん、本格ゲットだぜい。