12月19日 晴れ 魔法、覚えたみたい
今日のお話、投稿です。
ブックマーク、ありがとございます^^
朝です、今日もいい天気です。
添い寝したギンさんのおかげでぐっすり眠れました。
私がベッドから抜け出すと、ギンさんも起き上がって布団の上でくつろぎモード。
「お主の魔力で満腹じゃ、よき魔力であった。馳走になったな、サツキ」
苦しゅうない、よきにはからえ状態ですね。
パタパタと3本の尻尾を交互に動かしてます、器用だなあ。
「この場所は、結界に守られておるようだ。吾の力でも外の様子がわからぬ」
ふうん、そうなんだ。
自分の家でスキルが使えないのと、関係あるのかな?
考えてもわかんない事は後回しですね。
朝ごはんと、お昼のお弁当作らなきゃ、ですよ。
朝食は、トースト、ハムエッグ、トマトとレタスのサラダにミルクティー。
うん、上出来です。半熟とろりんなハムエッグが食欲そそります。
お弁当は、ハムと卵のサンドイッチにみかんとバナナ。
昨日のディバッグに詰め込んだら、準備完了~。
汚れものをドラム式洗濯機にいれて、スイッチオン。
あとは乾燥まで放置するだけ。
電気と文明の利器バンザイですね。
合間にTVでニュースチェックもかかしません。
私と私の家が消失したのが、ワイドショーのネタですね。
某秘密組織の陰謀説から、宇宙人による誘拐説までいろいろですが。
異世界トリップ説はないようです。
カナミたちなら、そう考えてるかもねえ。
大きな事件も事故もないみたいで、ちょっと安心。
それでは、ヴァルノーラ探索、2日目開始といきましょうか。
※※※
「昨日も話したが、このあたりは火炎竜種の竜王が統べている」
昨日の獣道を歩きながら、ギンさんがいろいろ話してくれました。
火炎竜種の竜王一族は、森のはずれにある火山に住んでるそうです。
竜は幻獣の中で最も力のある種族だそうです。
ギンさんみたいな眷属がたくさんいるんだって。
人が住む集落は、森を抜けて人の歩く早さで半日ほどかかるとか。
「サツキが望むなら、魔物を消滅させながら吾が案内してやろう。
極上の魔力の礼だ」
と、ありがたいお言葉をいただきました。
もふもふ兼ガイド兼護衛もゲットだぜ?
時々、見慣れない植物や木を鑑定し、オートマッピングで位置確認。
スキルのレベルアップも頑張ってますよ。
マップ画面に黄色い点が現れたら、ギンさんの出番。
縦横無尽に動いて、いろんな魔物を退治していきます。
白毛玉さん、カニとエビの混ざったのさん、巨大だんご虫さん等々。
ギンさんの対応、その早いこと、早いこと、風のごとしです。
瞬時に消滅させるから、魔物を鑑定する間もありませんしー。
んー、こう、カワイイ正義でてこないかな。水色ウサギみいたいなもふもふ。
白毛玉さんとか、魔物でなければもふもふ度高いのになあ。
あ、また、マップ画面に黄色い点発見。
「ギンさん、またなんか来るみたいです」
「うむ、あい判った」
ギンさんが向かってくる黄色い点の方向を見据えた時です。
ヒュン!って音とともに、何かが私の右ほほを掠めていきました。
すぐあと、ズンって後ろの木に何かがささる鈍い音。
何かが掠めてった右頬…熱いです。
手で触ったらなんかぬれてるし、手のひら紅いし。
飛び道具で木にささった音から推理したら、これは弓の攻撃です。
「伏せよ、サツキ!」
それに紅いの、血ですよね、私の。
ギンの叫びと同時に草むらに飛び込んで、頭を抱え込みました。
どくん、どくんと、心臓の音が早くなります。
パニックはだめです、深呼吸、深呼吸、おつつけ、私。
右頬の感覚、「熱い」から「痛い」に変わりました。
痛いってことは…。
怪我したんだ、私。
怪我したら、治さなきゃ。
元気に日本に帰れないし。
「ヒーリング」
無意識にそうつぶやいたら、右手のひらが淡く発光。
手のひらを右頬にあてたら、痛みが和らいできました。
視界のすみに、光る文字。
『神聖魔法 レベルアップ』
どうやら、魔法、覚えたみたいですね。
痛いけど、嬉しいけど、なんか複雑です。
「この未熟者が!人と魔物の区別もつかぬのか、お前は!」
うわあ、ギンさん激オコ状態だあ。
誰か、たぶん弓を射た誰か、もしくは何かを怒鳴りつけてる。
「サツキ、もう立っても大丈夫だ」
ゆっくり立ち上がって、ギンさんと、彼がどなりつけてる「何か」を発見。
何かは、二足歩行の人型生物です。
弓を抱えてます。レザーアーマー装備してます。尻尾をぶんぶんふってます。
裸足です、毛も生えてます。
生えてますけど…。
「何か」は二足歩行の、毛の生えた。
リザードマンでした…もふもふじゃないじゃまいか~~。
『ヴァルノーラのリザードマン アーチャー』
視界のすみっこで、鑑定結果の文字が空しく明滅してました。