「登校」
「おはよう凜香。」
「おはよう雪菜。」
三城 雪菜。
中学生からの友達。
「例の『ナオくん』会ってみたいな~♡凜香の写メ見る限りではイケメンだもん!」
朝から何を馬鹿言ってるのか、とあきれた私はため息と同時に
「ナオなんてあんなのトラウマ製造機だよまったく。」
アイツのせいで私の性格はさっぱりしすぎー・・・
女子らしい、とは言われなくなったんだから。
いや、まあいいんだけどさ。
「ト、トラウマ製造機って・・・」
苦笑を浮かべた雪菜は気を取り直したようにスマフォをいじって私にある画面を見せる。
私が送った写メだ。
ずっと前のだからナオは幼い。
「・・・何よ?」
「いやぁ~?でもさぁ~?やっぱナオくんのこの顔はイケメンになる顔してるよ~~~♡これ撮ったのいつだっけ?」
「・・・・小学生だけど。」
「でっしょ~?」
「・・・。ナイよあんなんだもん。」
「まったく凜香はいつもそうだなんだから。ちょっとは恋に興味を」
雪菜がそう口を開いたとき
「凜香ちゃん、呼ばれてるよ?」
私は彼に呼ばれた。
「・・・誰に?」
聞き返すと私に呼び出しを伝えた女子生徒は首をかしげて
「えっと、」
と考え込むように教室のドアを見た。
「あっそうそう。奏倉 遊、じゃいっけ?」
ぱっと笑顔とともに出た名前。
「ごめん。わかんないけどどういう人なの?」
誰それって感じだもんなー
私のその態度に女子生徒は驚いたようで
「えっむしろ知らないの?」
と言って
「可愛いんだよね~女子から人気あるの。なんていうか猫系男子?みたいな?」
とはにかんだ。
「ふうん。」
そんなヤツが私に何の用なんだか。