表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ログホラ二次創作短編集  作者: 櫻華
異世界転移(大災害後)編
13/16

決断◎

今回の主役は、カンザキになります。




時期には、クラスティがカラミティ・ハーツで何処かへと転移してから半月が経過した頃位です。



──カンザキは、朝霧を心配して集まった〈共鳴の絆〉メンバーや〈放蕩者の記録〉のメンバー、かつて朝霧の弟子であった者達と対面していた。






「……御前の様子、どうなの?」


朝霧を心配して、キルリアが声を掛ける。


「……酷く憔悴しきってる。

仕方がないさ。御前にとって、クラスティはかつての大切な相棒で…息子同然に気にかけていた程だったんだからな」


そう言うカンザキの表情も暗い。






◇◇◇






──カンザキにとっても、クラスティは共に戦ってきた戦友だ。




朝霧がクラスティをパーティーに引き入れてきた時から、カンザキは彼と共に戦ってきたのだ。






カンザキ自身も、心穏やかにいられる筈が無いのである。






◇◇◇






「……〈共鳴の絆〉のメンバーに尋ねるけど、〈共鳴のミスリルバングル〉をクラスティが行方不明になった後に使った者はいるか?」


突然のカンザキの問い掛けに、〈共鳴の絆〉のメンバー達は一斉に首を横に振る。


「……じゃあ、使用して確認してみろ。御前が憔悴しきってる理由がわかる」


カンザキに言われ、メンバーはいぶかしみながらも〈魔法の鞄〉から〈共鳴のミスリルバングル〉を取り出し…使用してみて絶句した。


「嘘!?〈共鳴のミスリルバングル〉を持ってる筈のクラスティの存在を感じ取れないわ!!」

「……しかも、〈リアルタイム・グループチャットチャンネル〉機能でも…クラスティと連絡が全く取れないぞ!?」

「まるで、そこだけぽっかりと穴が空いたみたいな感じだよ……」


〈共鳴の絆〉のメンバー達は、衝撃の事実を知って狼狽し始めた。



それが伝染したかの様に〈放蕩者の記録〉のメンバーや朝霧の元弟子達も狼狽し始める。






──それらを見事に静めたのは、ベルセルクの叩いた手の音だった。




「……落ち着け!狼狽するより、やるべき事があるだろうが!!」




ベルセルクの一喝に、ざわついていた一同は徐々に落ち着きを取り戻した。






周囲が静まり返ったのを確認してから、カンザキが口を開いた。


「……俺、クラスティを捜す為に旅に出ようと思う。

アイツは、俺の…俺達〈共鳴の絆〉の大事な戦友だ!

アイツ自身では帰ってこれないっていうなら、迎えにいってやるべきだろ!!」

「それに、通常の状態だったなら…朝霧が一番最初に探索に乗り出していただろうしな」


カンザキとベルセルクの言葉に…〈共鳴の絆〉のメンバーも、〈放蕩者の記録〉のメンバーも、朝霧の元弟子達も目を見開いた。






「……確かに。いつもの御前なら、クラスティの事を放っておかないよね?」

「クラスティ、心配だよな」

「俺も、クラスティの事はばさら心配しとっとばい。

ここで動かんとは、九州男児の名折れたい!」

「僕だって!クラスティ君の事は心配だよ!!

皆!一緒に捜そうよ!!大切な〈共鳴の絆〉の戦友をさ!」



「ギルマスの思いを…私達、〈放蕩者の記録〉は叶えるべきだよ!!」

「「「その通りだ(だね・ですね)!!」」」



「ここまでの〈冒険者〉になれたのは、全て御前のおかげ。

今こそ!御前への恩返しの絶好の機会!!今返さずに、いつ返すのだ!!」

「「「おおーーーーー!!!」」」





──そこには、朝霧の為に一揆団結する一同の姿があった。






◇◇◇






「──という訳だ。

俺達は、八つのレイド部隊に編成して…クラスティの大捜索に向かう事にしたよ。

後、ベルクとも相談して…天音達〈放蕩者の記録〉の主力メンバーは〈アキバ〉に残していく事に決まった」


カンザキからの報告に、ベッドに横になったまま…朝霧は、申し訳なさそうな顔をした。


「……本当にすまない、カンザキ……。本来なら、私が皆の指揮を執るべきなのに……」


朝霧のその様子に、ニカッと元気な笑みを見せながらカンザキは言った。


「馬鹿だな。俺達は〈大災害〉前も、〈大災害〉以降も…ずっと御前を頼りっぱなしだったんだ。こんな時位は、俺達に任せてくれよ」


カンザキのその言葉に、朝霧は弱々しくも笑みを見せた。


「……わかった。今回は、カンザキ達に任せるな……」

「……ああ。任せろ!!必ず、クラスティを〈アキバ〉に連れ帰る!!」




──朝霧の手を握りしめ、カンザキは力強くそう答えた。






◇◇◇






──〈ブリッジ・オールエイジス〉には…参加者全192名、一部隊24名で構成された八部隊が、各々に召喚した馬に乗り…見送りに来た〈アキバ〉居残り組と向き合っていた。


「……藍、天音。

〈放蕩者の記録〉と御前の事…頼んだぞ」

「……はい。行ってらっしゃい父さん」

「朝霧叔母さんの事、私達に任せて下さい」



「紅牙、“〈アキバ〉を離れられない”俺の分まで…探索、頑張ってくれ」

「任せろよ!!その代わり…〈アキバ〉の事、蒼牙に任せたからな!」

「ギルマス、私達の〈アキバ〉を守って下さい!!」



「ランスロットさん!俺達、必ずギルマスを捜してきます!!」

「余所のギルドに任せたままなんて、〈D.D.D〉の名が泣きますよね?」

「……すみません。

ギルマス不在の現在のギルドの状態で、幹部が欠けるような状況は避けるべきですから……

代わりに、我々の思いを託します。くれぐれも、無茶だけはしない様に」

「「「はい!!」」」






◇◇◇






「……では、出立!!」


各々に別れの挨拶を済ませ、カンザキ達…編成部隊は〈アキバの街〉を出立した。






──ある一部隊は、〈シブヤ〉近辺の〈妖精の輪フェアリー・リング〉を使って〈ウェンの大地〉へと……






──ある二部隊は、〈ヨコハマ〉近辺の〈妖精の輪〉を使って〈ユーレッド大陸〉へと……






──そして…カンザキ率いる一部隊を含む五部隊は、〈弧状列島ヤマト〉全土へと散って行った。










──彼らの善意で行われた『クラスティ大捜索』を〈D.D.D〉幹部達が知るのは、この出立の日から約一ヶ月半の後であった……

普段は、お調子者で飄々としたギルド〈放蕩者の記録〉やパーティーのムードメーカー的存在の彼の…意外な一面を書いてみました。



カンザキの…戦友や仲間を大切に思う心優しい部分と、こういう事態の時には、誰よりも冷静でいられる心の強さを表現できていれば良いな…と思っています。




自分のオリキャラの中では…朝霧、夜櫻、ベルセルク、蒼牙と並んで好きなキャラの一人です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ