結果報告◎
今回の主役は、八雲さんです。
時期的には、『天照の巫女』の第七話辺りの話になっております。
後、オヒョウ様のところから……今回も、レオ丸さんに出張して戴きました。
オヒョウ様、レオ丸さんの快い使用許可……本当にありがとうございます。
これからも、レオ丸さんには何度か私の作品内へ出張をお願いすると思いますので……宜しくお願いいたします。m(__)m
──無事儀式を終えた八雲は、フウ…と深く息を吐くと護摩壇から離れ、壁際へと移動すると……壁に背を預けて腰掛けた。
(……正直、もうクタクタですね……)
そう心の中で呟きながら、八雲は膝に頭を乗せていると……念話の呼び出し音が耳に聞こえてきた。
ステータス画面を呼び出すと……それは、ゲーム時代から馴染みある『西武蔵坊レオ丸』からの念話要請だった。
(……レオ丸法師殿からの念話でしたか……。
……幾ら疲れているからと言っても……この御方を無視など出来ませんね。)
八雲は、念話要請画面の『つなぐ』を選んだ。
『八雲君、首尾はどないな感じや?
結界、上手くいったかいな?』
つなぐと同時に、レオ丸から掛けられた言葉は……結界の発動の結果を尋ねるものだった。
◇◇◇
──レオ丸には、前日の夜頃に結界を今日発動する旨は伝えてあった。
この念話は、その結果を聞く為のものだったのだ。
◇◇◇
「……結界自体は大成功です。
幸いな事に……<落ちた天空の寺院>の神像は、大日如来を参考にして創造された代物でしたから……四天王像の力と上手く調和させる事ができました。
これで……結界エリア内に侵入してきた敵のステータスを大幅に激減させ、防衛する味方のステータスを大幅に増加させる事が可能です。
……後は……」
『御前さん達、テンプルサイド防衛組の働き次第……やな?』
「はい。」
八雲の結果報告を聞いたレオ丸は、労いの言葉を掛けた。
『いや〜。八雲君、御苦労さん。
ごっつ疲れたやろ?』
「……ええ。MPは、ほぼゼロ。完全に枯渇状態です。」
『うわぁ……。
そりゃ、めっちゃしんどいかろうな……。
……けど、確か……MPの最大値を上昇させる装備をぎょうさん用意しとったんやなかったか?』
レオ丸からの問い掛けに、苦笑しながら八雲は答えた。
「ええ。<神聖なる神秘の法衣>、<霊験の数珠>、<折れた神鉄剣の刀身>で創った<五鈷杵>……どれも、MPの最大値を大幅に増加させてくれるものばかりでしたが……それらを利用して、現在の状態ですからね。
……これよりも大規模な結界を張るのは、ほぼ不可能ですね。」
『……そうやろうな。
八雲君の現在の状態を考えたら……<テンプルサイドの街>を覆う規模の結界が限界やろうな。』
レオ丸の言葉に、八雲は同意する。
「そうですね。
……それに、今回の様な結界を張る際の拠り所となる信仰対象が全く無い場所では、結界を張るのは完全に不可能ですからね。」
『何事にも、限界は必ず存在しとるっちゅう事やな!』
レオ丸の言葉に、八雲は思わず笑みを溢した。
──しかし、ふとある事を思い出した時……八雲の中にフツフツとした怒りが込み上げてきた。
「……法師殿、少しグチらせていただいても宜しいでしょうか?」
『ん?なんや?』
尋ねてくるレオ丸に、八雲は思いの丈を怒濤の勢いで吐き出した。
「……<F.O.E>関係者である蒼牙から聞いたのですが……<落ちた天空の寺院>の神像は、毘盧遮那仏と大日如来を参考にされたそうです。
しかし!これの何処が『毘盧遮那仏と大日如来を参考にしました』ですか!!
魔改造されて、全くの別物です!!
それとも何ですか!我々仏教に携わる者への挑戦状ですか!!
仏様と仏教徒を侮辱するのも大概になさい!!」
ハアハアと肩で息をする八雲に……レオ丸も、苦笑しつつ答えた。
『……まあ、同じ僧侶として……八雲君の気持ち、わからんでもないで?
ワシかて、そないな話を聞いた上で実物を拝んだら…憤慨する事間違いないと思うしな……
ま、元の世界に戻れたら…一緒に神像の件で<F.O.E>に抗議しよや?』
「……はい。」
未だ腹の虫が治まらないといった感じの八雲だったが……レオ丸に聞いてもらった事で、ある程度気が済んだのか……その話題をこれ以上蒸し返す様な事はしなかった。
◇◇◇
『……で?
このまんまじゃ、八雲君はそこから自力で帰れへんやろ?
そこんところは、どないなっとんねん?』
尋ねてくるレオ丸に、八雲は説明を始めた。
「御前に念話を入れて、迎えを要請するつもりです。
この<落ちた天空の寺院>周辺には、御前の配慮で送り迎えを担当する人達を待機させてあるそうですから。」
『……なら、エエんやけど……
そや!八雲君は、御前さんがどないやって<Plant hwyaden>の追っ手を撃退するつもりか……何か知らへん?』
レオ丸からの問い掛けに、八雲は唸りながら答えた。
「……『<口伝>を使う』とだけしか聞いていませんね。」
『……ほお〜。御前さんも、<口伝>を持ってはるんやな。』
「そうみたいですね。
御前の<口伝>の詳細は知りませんが……ベルセルク殿の話では、二つ持ってらっしゃるそうです。」
八雲の言葉に、レオ丸から苦笑が洩れた。
『御前さんは相変わらず、敵に回したらおっかない人やな。』
「それは、私も同感ですね。」
八雲も苦笑しつつ、レオ丸の言葉に同意する。
『八雲君、ほんま御苦労さんや。
しばらくはゆっくり休むとエエで。
ほな、あんじょうきばりや!』
「レオ丸法師殿も、お身体に気を付けて下さいね。」
レオ丸からの念話が切れると、八雲は再び深く息を吐いた。
◇◇◇
──流石に…自力での脱出が不可能である八雲は、<フレンド・リスト>を開いて朝霧へと念話をかけた。
『八雲どうした?』
念話越しから伝わる朝霧の気遣いに、思わず心和みつつも用件を伝えた。
「御前、結界は成功しました。
……ただ、MPの残量はほぼゼロの枯渇状態です。誰か迎えを下さいませんか?」
『……わかった。
すぐに手配し、迎えをそちらに寄越そう。』
「……ありがとうございます。」
朝霧に迎えを要請する念話を終えた八雲は、膝に頭を乗せたまま……その場から一歩も動けずにいた。
(……駄目です……
……すごく眠いです……
……迎えの要請はしましたし……しばらくの間、眠っても構いませんよね……?)
──そこまで思考するのが限界だったのか……八雲は、膝に頭を乗せた状態のまま寝息を立て……迎えが来るまでの暫しの間、束の間の休息を取るのだった……
……八雲には八雲なりの葛藤あり……です。
自分で設定作っておいて何ですが……八雲さんとレオ丸さんと全国の僧侶様方に謝りたいと思います。
どうもすみませんでした!(土下座)orz
私は仏教を非難するつもりも、侮辱するつもりも、否定するつもりもありませんからね?




