海外プレイヤー達から『神風』と呼ばれた、とある〈武士(サムライ)〉のお話 ☆
今回の主役は、夜櫻となっています。
時期としては、十五年前のゲーム時代となっております。
wildcats3様の所よりレオ丸さんを、妄想屋様の所より早苗さんをお借りしています。
なお、レオ丸さんの関西弁についてはwildcats3様に監修して戴きました。wildcats3様、本当にありがとうございました!!
後、後書きの…早苗、松永法師、賢亮の三人のやり取りの辺りは、妄想屋様からのネタ提供となってます。妄想屋様。ネタ提供、ありがとうございました!!
──約15年前(2003年)……。
〈エルダー・テイル〉の公式サイトに、一つの情報がアップされた。
□□□
【〈エルダー・テイル〉開始五周年記念キャンペーン 世界共通100規模戦闘『混沌王との攻防戦線』が開催されます!!】
『〈エルダー・テイル〉正式サービスが開始されてから、今年で五周年となりました。
そこで、五周年記念キャンペーン企画として、世界共通100規模戦闘の『混沌王との攻防戦線』を開催します。
このキャンペーンでは、各サーバーの運営責任者達との綿密な話し合いの下に、各サーバーの〈古来種〉達との夢の共闘も企画してあります。
『自分達のサーバーの〈古来種〉達と共闘し、強敵を討て!!』
なお、最初に討伐を成功させたレギオンチームには豪華景品も用意してあります。
頑張って、討伐に挑戦して下さい。
開催期間:キャンペーン開催から三ヶ月間
開催場所:北米サーバー、〈紅き砂漠〉
キャンペーン内容:〈紅き砂漠〉に出現したレギオンボス〈混沌の狂気竜〉の討伐(※フィールドレイド)。
※〈古来種〉との共闘有り。
注意点:大隊規模戦闘指揮官は、事前に自分のサーバーの運営にキャンペーンに参加する人数、参加する日時等を申し出て下さい。
参加当日、各サーバーのプレイヤータウンにて大隊規模指揮官には選抜した〈古来種〉五名とパーティーを組んで貰います。
詳しい説明は、各サーバーの運営まで』
□□□
──パソコン画面に表示した〈エルダー・テイル〉の公式サイトと重ねる様に表示した〈F.O.E〉の公式サイトの掲示板に各々書き込まれた内容に目を通した咲良─夜櫻─は…最近、拡張パックのアップデートによって導入され…移行したボイスチャットを使い、現在パーティーを組んでいる妹の朝香─朝霧─と弟の昌治─幸村─に話し掛ける。
「〈F.O.E〉の掲示板と〈エルダー・テイル〉公式サイトの書き込み情報…この二つを見て、どう思う?」
咲良からの問い掛けに、朝霧と幸村が各々に答える。
『……まあ、気になる内容だな』
『面白そうだよね~』
ヘッドホンを通じての二人の返答に、咲良も頷く。
「そうなんだよ!スッゴイ気になるよね!!
だからさ……このキャンペーンに、アタシ達も参加しない?…駄目?」
咲良が、この話を話題に挙げてきた時点で…朝霧には、彼女の意図が読めていたので…返答は決まっていた。
『駄目と言っても、姉さんは挑戦するつもりなんだろう?
なら、私達も一緒に参加する。
その代わり、23人分のレギオンのメンバー探しを姉さんも手伝って貰うからな』
「ありがとう!あーちゃん!!
あ、ついでに大隊規模戦闘指揮官は、あーちゃんが務めてくれない?」
お礼を言いながらも、指揮官の役割を押し付けてくる姉の言動に…朝霧は、思わず苦笑いを浮かべる。
『まあ、指揮官役を引き受けるのは別に構わない。
姉さんはフリーで動いてもらった方が、レイドの勝率が上がるからな』
「ありがとねー。とりあえず、挑戦する日時は今日から三日後の午後6時頃って事で……後は宜しく!!」
『了解。それじゃあ、今日はこのまま解散って事だよね?』
『そうだな。では、私は今から〈F.O.E〉に挑戦の申請をしてくるな』
そう言って、朝霧と幸村の二人はパーティーから外れ…その場から離れていく。
その場に残された夜櫻─咲良の方は…マウスを操作してメニュー画面を呼び出し、〈フレンドリスト〉の中から参加当日にパーティーを組んでもらおうと考えている知り合いの名前を探している。
まずは、自分の旦那様であり…〈施療神官〉のシーク=エンスへと連絡を入れる。
数回の呼び出し音の後、澄んだ木琴の着信音が鳴ると同時に、シークの声がヘッドホンから聞こえてきた。
『夜櫻、どうしましたか?』
彼の話し方から、今日はシークの“演技”はしていない様だ。
「実はね…今、北米サーバーで〈エルダー・テイル〉開始五周年記念のキャンペーンレイドが開催されているんだよ。
アタシ達は、三日後に挑戦する予定なんだけど…シークさん、三日後の予定はどうなってる?」
『そうですね…現実でも、ゲーム内でも、特に予定はありませんから…レイド参加、構いませんよ』
「本当?ありがとー、シークさん!それじゃあ、三日後は宜しくね~」
そう言って、咲良はシークとのボイスチャットを終了する。
「さて、残り22人分の人数を確保しないとね~」
そう呟くと、咲良は再び〈フレンドリスト〉から知り合いの名前を探し始めた……。
◇◇◇
──〈フレンドリスト〉から探し出し、二時間掛けて連絡を取った結果…日本サーバーの知り合いは23人中16人(※レオ丸&にゃん太含む)のみしかOKは貰えなかった。
この芳しくない結果に、咲良は思わず頭を悩ませる。
「う~ん…。このままだと、あーちゃんに頼まれた人数が集めらんないよ~。
……ん?待てよ?『参加者は同サーバーの人間のみに限定』って指定は…無いね。
なら、別サーバーの知り合いを加えたって問題無いよね?
そうと決まれば!早速、海外の知り合いにも声を掛けまくるぞ!!」
〈エルダー・テイル〉公式サイトと〈F.O.E〉の公式サイト…両方の告知を再度確認した咲良は、〈妖精の輪〉のタイムテーブルを確認しながら…まずは、北欧サーバーへと移動を開始したのだった……。
◇◇◇
──三日後。北米サーバー、〈紅き砂漠〉。
日本サーバーから北米サーバーの〈竜の渓谷〉近隣に転移する〈妖精の輪〉を利用して…91人の〈冒険者〉と5人の〈古来種〉の混成レギオンチームが〈紅き砂漠〉へと訪れていた。
96人のレギオンチームは、そのまま…レギオンボスの〈混沌の狂気竜〉が出現しているであろうポイントまで移動を開始する。
その移動中…夜櫻─咲良へと朝霧がボイスチャットで話し掛けてくる。
『……姉さん。確かに、23人のレギオンのメンバー探しは頼んでいたが…まさか、海外の〈冒険者〉にまで協力要請しているとは思わなかったぞ』
朝霧のその言葉に、咲良はニッコリと笑いながらヘッドホンに付いているマイクのスイッチをONにしてから口を開く。
「そう言う、あーちゃんの方だって。集めたメンバーの中に、チラホラと海外の〈冒険者〉が居るみたいだけど?」
咲良のその言葉に、ニヤリと笑み(※声音から判断)を浮かべながら朝霧が返答する。
『……バレていたか。ああ、そうだ。告知内には、“同サーバーのメンバーのみで”とは書かれていなかったからな。
海外の知り合いにも、声を掛けて参加してもらった』
それを聞いて咲良は、朝霧も同じ事に気が付いていた事を嬉しく思った。
「よし!俄然やる気が出た!!
このレギオンレイド…頑張るぞー!!」
咲良のその言葉に、朝霧は僅かに苦笑していたのだった…。
◇◇◇
──レギオンボスの〈混沌の狂気竜〉が居るポイント付近へと到着すると…そこでは、他の海外サーバーからキャンペーンに参加した〈冒険者〉の幾つかのレギオンチームがいる。
大半は、レギオンチームが壊滅している為か…レギオンボスからかなり距離をおいているのだが、一つのレギオンチームが現在、ボス戦に挑戦中らしく、果敢に〈混沌の狂気竜〉へと攻撃を仕掛けていた。
その光景を目にした瞬間、レイド用のパーティーチャットが一気に騒がしくなる。
『ノォォォオオオオオー!!?
セフィード達のHPが、レッドゾーンじゃないか!!!』
『ちょっと!白龍達が瀕死になっているじゃない!!
彼らを瀕死にした馬鹿は、何処の誰よ!絶対に許さないわよ!!』
『う…嘘だろう!ナージャ達が……ナージャ達がぁぁぁあああああ!!!』
『やめてぇー!エカテリーナ達が、死んじゃうぅぅぅうううううー!!!』
『エヴァ達が死にかけるって……一体、何をしやがったぁぁぁあああああ!!!』
『ジャネットォォォオオオオオ!!?』
咲良が呼んだ各サーバーの知り合い(※運営関係者)達から悲痛な悲鳴が上がっている。
騒がしい海外の〈冒険者〉(※運営関係者)達の声を聞いていた…人間の〈召喚術師〉─西武蔵坊レオ丸が、咲良に尋ねてみる。
『夜櫻の御前さん。何でっしゃろ、海外の〈冒険者〉達がえらくワーワーと喧しい位に騒いでますけど?何か御存知おまへんか?』
「……さぁ、何でだろうね?」
レオ丸からの質問に対して、咲良はニヤリと笑いながら…サラッと、とぼけてみせる。
『……さいですかー、所謂ひとつのオフレコ無しのノーコメントでっか?ほな、聞くんは止めときますわ。下手に藪を突く様な質問攻めして、出て来たアナコンダにパックリ食われるんもなんですしねー』
「そうした方が良いよ。世の中、知らない方が良い事もあるよ~」
咲良のその言葉に…レオ丸は、苦笑いを浮かべるしかなかった。
◇◇◇
──現在、ボス戦に挑戦しているそのチームは…北欧サーバーの〈冒険者〉達によるレギオンチームらしい。大隊規模戦闘指揮官だと思われる〈守護戦士〉の周りにいるパーティーメンバーの中に、〈古来種〉のエリアス=ハックブレードらしき姿がある。それと、残りの〈古来種〉達は全てエルフ族で揃えられている。
多分…北欧のレギオンチーム─〈女王の親衛騎士団〉─のメンバーが、全員エルフで統一されていたので…北欧の運営が、それに合わせたのかもしれない。
──そんな事を頭の片隅で考えながらも、北欧のレギオンチームがレイドボスへと挑戦の様子を見物している最中…咲良はある事に気が付く。
「ねぇ、あーちゃん。北欧のレギオンチーム…明らかに人数が足りてないよね?」
咲良の指摘に、朝霧も同意する。
『……確かに。だが、あのギルド…〈女王の親衛騎士団〉は、北欧の大手戦闘系ギルドとして有名な筈。
そんな彼らが、参加人数不足という…初歩的なミスをするとは思えないのだが……』
朝霧の言葉は…熟練の大規模戦闘者としては、当たり前の常識である『参加人数をきちんと揃える』という初歩的な準備を…大手戦闘系ギルドと名高い〈女王の親衛騎士団〉が怠るとは思えないからこその発言である。
──その事を疑問に思っていると…レギオンチームのメンバーの何名かも、明らかにおかしいと思ったのだろう…周りにいる壊滅した海外のレギオンチームに事情を聞きに行ってくれて、その内の一人…咲良の北米の知り合いである〈海賊〉のヴィルヘルム(※実は、北米の運営関係者)が説明してくれた。
『夜櫻。周りにいる〈冒険者〉から、詳しい事情を聞いたんだが……どうやらレギオンレイドに挑戦の最中に、背後からMPKを受けたらしい』
「……どういう事?」
『今いる場所には、他のモンスターは出現しない様に設定されているんだが…その他の場所には、普通にモンスターが出現する様になっていたんだ。
……そのMPKどもは、モンスターが出現する場所から大量のモンスターを引き連れて、レイドに挑戦していた連中の背後を襲わせやがったんだ!!ジーザス!!』
『しかも、レギオンボスの広範囲技の〈拘束の咆哮〉による一時拘束が発動した最悪なタイミングにMPKが行われたらしく…回避のしようが無かったそうです。そのせいで、対応に動けなかった多くのレギオンチームが壊滅。唯一MPKの被害が軽微だった〈女王の親衛騎士団〉が彼らの退避を支援したのが…今の状況らしいです』
咲良に状況説明をしていたヴィルヘルムとクラリスの二人が、MPKに対する激しい怒りと今回の事態が起こってしまった事に悔しさを滲ませる。
◇◇◇
──当然だ。運営として…今回の記念キャンペーンは、五年間〈エルダー・テイル〉を長期に渡りプレイしてくれているプレイヤー達への感謝の気持ちと、今後も〈エルダー・テイル〉を楽しんで貰おうという思いから企画されたものだったのだ。
それを…悪意のあるMPK達によって踏みにじられ、台無しにされたのだ。
そんな彼ら(彼女ら)が激しい怒りを抱いたり、悔しさを滲ませるのは当然と言えよう。
──後、追加情報として…元々、このキャンペーンレギオンレイドは複数のレギオンチームが同時に挑戦出来るになっていて…今回、その様な特別仕様にしていた事も完全に裏目に出てしまった様である。
◇◇◇
──しばらくの間、ギルド〈女王の親衛騎士団〉によるレギオンボスへの挑戦の様子を黙って見守っていたのだが…やはり、序盤のMPKによる人数不足が大きく響いているのか…戦況の旗色はよくない様だ。徐々に、レギオンボスからの猛攻に押されつつある。
朝霧とクラスティも、その事に気が付いたらしく…レイド用のパーティーチャットで会話をしている。
『……御前、気が付いてますか?』
『ああ、気が付いている。〈女王の親衛騎士団〉が徐々に押されてきている』
『……という事は』
『おそらく、戦線維持に限界が近い証拠だ。このままだと、近いうちに戦線が壊滅する』
『ならば、早々に動くべきですね』
『……クラスティ。お前、少し楽しんでいないか?』
『気のせいですよ?』
そんな二人の会話を聞きながら…咲良は、既に動く為の準備を終わらせていた。
「……朝霧」
咲良から声を掛けられ、朝霧とクラスティの二人は会話をそこで終了させる。
姉妹弟としての長年の付き合いと経験から…普段は“あーちゃん”呼びする筈の夜櫻が、“朝霧”と普通に呼び掛けた事で…夜櫻の意図を理解している朝霧だが、大隊規模戦闘指揮官としてあえて声を掛ける。
『姉さんが、言いたい事は充分に分かっている。その上で…勝算はあるのか?』
朝霧の言葉に対して、咲良は淡々とこう答える。
「……まず、盾役は〈守護戦士〉じゃ無い方がいい。
レギオンボスは重量感ある見た目に反し、小回りの利く攻撃を幾つも持っているみたいだからね。主盾役は、回避重視の〈武闘家〉か軽装の〈武士〉が務めた方がいいよ。だから…主盾役は、アタシが務める」
そう宣言すると、咲良はさらに言葉を続ける。
「後、大体の攻撃の再使用規制時間も把握した。
〈拘束の咆哮〉が300秒。
一時的に行動を阻害する〈雄叫び〉が900秒。
状態異常の無い〈咆哮〉がHPが1割減らす毎。
尻尾の凪ぎ払いと尻尾の叩き下ろしが60秒。
噛み付きが120秒。
体当たりが90秒。
踏み潰し攻撃が30秒。
溜め無しの直進型の〈暴風の息吹〉が180秒。
溜め有りの凪ぎ払い型の〈業火の息吹〉が300秒。
狂気化による攻撃上昇と防御力低下が420秒。
後は、HPを60%、40%、20%に減らす度に大技の息吹系や咆哮系攻撃以外の攻撃の再使用規制時間がリセットされるみたいだね。
……以上だけど?まだ、勝算が無いって思う?」
咲良のその言葉にサナエが賞賛の声を上げ、朝霧が軽く溜め息を漏らす。
『夜櫻しぇんぱい、すげぇー!!』
『……分かった。姉さんの好きにしていい』
朝霧から許可が下りた事で、咲良は早速動き出した。
◇◇◇
──まず、レギオンボスの敵愾心を自分に向けさせる必要がある。
今は、〈女王の親衛騎士団〉のレギオンチームの大隊規模戦闘指揮官のパーティーに居るエリアス=ハックブレードがヘイトトップなのだろう…レギオンボスが、彼に向けて強烈な攻撃を繰り出しているのが見える。
それを見た大隊規模戦闘指揮官の〈守護戦士〉が咄嗟に〈カバーリング〉を発動してエリアスを庇うが…彼と共に、尻尾の凪ぎ払いでかなり吹き飛ばされ…エリアスのHPが1割弱、指揮官のHPに関しては1割を切っている。
(……いよいよ、悠長にしていられない様だね)
そう瞬時に理解した咲良は、パソコンに表示されている夜櫻のメニュー画面を呼び出し…アイテムの項目を開くと“とあるアイテム”をすぐに使用する。
それが終わると、メニュー画面の特技の項目からサブ職業〈救済者〉専用の特技を選択して使用する。
最初に使用するのは、全体の状態異常回復の〈天使達の慈愛〉。
これは、全ての状態異常を治癒出来る特技で…本来は、レギオンチーム単位までの状態異常回復しか出来ないのだが…“とあるアイテム”のおかげで、この場所にいる全ての〈冒険者〉と〈古来種〉が対象となっている。
「よし。次は、HPの回復だ!」
そう呟きながら、咲良は素早くメニュー画面の特技の項目から次の特技を選択する。
次に使用したのは、全体のHP回復特技〈天上からの癒しの涙雨〉。
これも、本来はレギオンチーム単位を治癒するものなのだが…こちらも“とあるアイテム”のおかげで、この場所にいる全ての〈冒険者〉と〈古来種〉が対象となっている。
そうして…この場所にいる全ての〈冒険者〉と〈古来種〉の状態異常とHPの回復を行った結果、夜櫻が一気にヘイトトップとなっていた。
──それを少し離れた所から眺めているサナエは大興奮し、クラスティは笑みを浮かべ、朝霧はやれやれと溜め息を漏らしている。
『やっぱり、夜櫻しぇんぱいはすげぇー!!』
『派手にやらかしてますね』
『……ハァ、全くだ。
さて、私達も出るか。クラスティ、今回は姉さんが盾役となるから、お前は攻撃に回れ。派手に暴れても構わない』
朝霧のその言葉に、クラスティはニヤリと笑う。
『……分かりました。派手に、食い散らかすとしましょう』
クラスティの好戦的な発言に苦笑しつつも、朝霧はサナエにも指示を出す。
『サナエは、夜櫻姉さんが率いる第一レギオンチームに参加してくれ。出来るなら、夜櫻姉さんと共にヘイトトップを維持してタゲ回しをしてくれると助かる』
『あいさー!!』
『では……行くぞ!!』
『『『『『おー!!』』』』』
朝霧の掛け声と共に、朝霧率いるレギオンチームがレギオンボスに向けて進撃を開始した。
◇◇◇
サブ職の特技を使用しながらも、駆ける様に移動を続けていた夜櫻に追従する様に…〈付与術師〉のフェイディッド=アーデンハルト、〈暗殺者〉で弓アサのホーク=レッド、〈盗剣士〉のガブリエル、〈妖術師〉のヴェルダンディ(※北欧の運営関係者)、〈施療神官〉のシーク=エンスの五人が共に駆けている。
駆けている最中に、フェイディッドがサブ職業〈交渉人〉の特技〈スピーチ〉を使用して〈女王の親衛騎士団〉に向けて『ここからは、我々がレギオンボスに挑戦する。貴殿らは、体勢を立て直す意味でもそのまま後退する事をお奨めする』と書き込みをする。
〈女王の親衛騎士団〉の方も、自分達の戦線維持の限界を充分に理解していたのか…フェイディッドから促されのもあり、そのままチーム全体の後退を始める。
それを視界の端で確認しながら、咲良は接敵と同時に夜櫻に挑発特技〈飯綱斬り〉を発動させる。
それにより、夜櫻に対するレギオンボスの敵愾心はさらに上昇する。
「接敵!!」
咲良のその言葉に合わせ、パーティーメンバー五人が各々の役割へと移る。
シークは、反応起動型回復をパーティー全体に掛けつつも…攻撃魔法や武器による通常攻撃を行っている。
ホークは、少し離れた距離(※尻尾の攻撃範囲外)から弓による攻撃特技でダメージを与えている。
ガブリエルは、〈アーリースラスト〉によるダメージマーカーを設置しながらも…同時に攻撃特技でダメージを積み重ねていく。
ヴェルダンディは、複数の単体攻撃魔法を使用してレギオンボスのHPを少しずつ削っていく。
フェイディッドは、夜櫻達に支援魔法を掛けつつ…レギオンボスに対して阻害魔法を掛け、ブレスやハウリングの使用の兆候が見られたら〈ブレインバイス〉で封殺していく。
──夜櫻達パーティーを中心に第一レギオンチームは敵愾心操作に動き出し、クラスティ率いる第二レギオンチームがレギオンボス攻撃の主体を務める。
第三、第四の遠距離攻撃担当は、次々に弓や魔法による攻撃をレギオンボスへとダメージを与えていく。
その後も夜櫻は、的確に挑発を行いながらつつも…回避可能なら回避(※攻撃範囲のギリギリ外側という紙一重の距離で)を行い、回避不可能で吹き飛ばしがある場合は特技による受け流しを…無い場合は、防御する様にしてヘイトトップと前線を維持し続けている。
夜櫻の巧みな敵愾心操作に…仲間内からだけでなく、戦闘の様子を見守っている海外の〈冒険者〉達からも『凄い…』『見事だ…』『神技だ…』という感嘆の声が挙がっている。
──しばらくして…〈混沌の狂気竜〉のHPが二割を切った頃合いに、〈暴風の息吹〉を使用してくると判断した咲良は、素早く攻撃系特技〈鞘打ち〉─文字通り、鞘で敵を打つ。攻撃タイミングがジャストだと、敵の攻撃の妨害が可能─を使用して、強引に〈暴風の息吹〉を封殺してしまう。
『夜櫻の御前さんの無茶はホンマ、アッと驚くタメゴローやわ。
……放った魔法が五万ダメージ!ってか?』
従者による攻撃を行いながら、レオ丸が苦笑混じりに呟く。
『あれは、夜櫻っちにしか出来ない荒業ですにゃ』
レオ丸の呟きに対し、同じく苦笑混じりでにゃん太が答える。
『夜櫻しぇんぱい、やっるぅ~!!』
サナエは、夜櫻の無双っぷりに大興奮している。
『おや?これは、負けてられませんね』
クラスティは、ニヤリと笑みを浮かべて…そう呟く。
『姉さん、やり過ぎ……』
朝霧は、呆れながら溜め息を漏らす。
──レギオンボスの繰り出す強烈な攻撃の数々は、夜櫻&サナエによる巧みなタゲ回しによってあまり効果を発揮出来ず、レギオンチーム全体への被害は最小限に抑えられている。
「レギオンボスのHP、残り5%!!」
咲良のその言葉に、レギオンチームの士気は最高潮へと達する。
クラスティが、〈狂戦士〉の特技〈ルナティック・アーマー〉を発動させて、〈オンスロート〉をレギオンボスへと叩き込む。その一撃で、残りHPが3%に減少する。
だが、突然…〈混沌の狂気竜〉が大暴れし、広範囲の攻撃を連続で繰り出してくる様になり…近付いて攻撃する事が困難になる。
『クッソー!こうも暴れられたら、攻撃を仕掛けられねえ!!』
『……不味いな』
カンザキとベルセルクの二人が、若干焦った様な声を出す。
「クラスティ君、肩借りるよ」
『……えっ?』
咲良からの突然のその言葉に、クラスティは一瞬呆けた様な声を出してしまう。
しかし次の瞬間、クラスティの肩を踏み台にして…夜櫻の身体が宙を舞い、大暴れする〈混沌の狂気竜〉の真上に目掛けて跳んでいく。
『あれは…〈武士〉用の移動系特技〈牛若跳び〉!!』
同じ〈武士〉である幸村が、夜櫻の使用した特技を瞬時に見破る。
□□□
──移動系特技〈牛若跳び〉。踏み台となる対象…岩や欄干等のオブジェクト、〈冒険者〉や〈古来種〉等のキャラクター、果ては敵の武器や身体を利用して高所へと跳躍する特技である。なお、敵の武器は攻撃中でも踏み台に利用可能だが…タイミングがシビアなので、余程の腕前が無い限りは失敗する確率が高い。また、使いどころが難しい玄人向けの特技。
□□□
(大暴れしている〈混沌の狂気竜〉の攻撃の効果範囲外は、唯一背中のみ!だから!!)
跳躍し…夜櫻が〈混沌の狂気竜〉の背中へと見事に着地した瞬間に、一つの強化系特技と一つの攻撃系必殺技を発動させる。
「〈朱雀の構え〉!〈岩石割り〉!!」
〈朱雀の構え〉で攻撃力を増加させ、必殺技〈岩石割り〉─岩石を打ち砕く様に、相手の防御を貫通させて大ダメージを与える特技─で残りHPを削り切る。
〈混沌の狂気竜〉の僅かに残っていたHPは、夜櫻の発動した〈岩石割り〉によって完全に0となり…ドロップアイテムを残して身体が虹色の泡となって消滅する。
──それと同時に、戦闘用のBGMから通常の〈紅き砂漠〉のフィールドBGMへと音楽が切り替わり…それは、戦闘が終了した事を示していた。
咲良は、戦闘終了時の毎回のお約束…真っ直ぐに刀を切り下ろしてからの納刀する動作を夜櫻に行わせる。
「戦闘終了!!」
咲良から戦闘終了の宣言がされると同時に…レイド用のパーティーチャットが再び騒がしくなる。
『うおぉぉぉおおおおお!!勝ったぞぉぉぉおおおおお!!!』
『大・勝・利ーーー!!』
『……しんどかった』
『世界共通100人規模戦闘……レギオンボス〈混沌の狂気竜〉の征伐完了』
『これもまた、神による御加護の賜物であろう』
『皆さん、お疲れ様ですにゃ』
『ひゃっほーーー!!勝ったぞぉーーー!!打ち上げだー!お酒だー!!おいレオ丸!祝勝会だーーー!!!』
『この後のワシには、地獄の時間が……御前さん!頼みますさかい!!憐れな子羊であるワシをお守り下さいな!!!』
『ええ。法師の身は(早苗から)必ず守ってみせます』
『おいしいところは全部、夜櫻さんに持っていかれてしまいましたね』
何処か楽しげで賑やかになったレイド用のパーティーチャットの喧騒に、咲良は穏やかな笑みを浮かべていた。
そんな、レイド用のパーティーチャット中で賑やかに騒いでいるレギオンチームの近くへと…海外のレギオンチームの指揮官達とパーティーを組んでいる〈古来種〉達が、次々とやって来る。
その内の一人、北欧のレギオンチームの指揮官─どうやら、〈女王の親衛騎士団〉のギルドマスターで、女性だったみたいだ─の〈守護戦士〉であるアルトリアが(※夜櫻を〈フレンドリスト〉に登録した上で、ボイスチャットを使用してから)最初に声を掛けてくる。
『貴女が、我々のHPの回復や状態異常の回復を治療を行い…撤退を支援してくれたパーティーのリーダーか?』
「そうだけど?何か用?」
問い掛けてくる咲良に、アルトリアが笑みを浮かべて言葉を続ける。
『私達は、この大隊規模戦闘で〈古来種〉を攻撃の主力として前線へと出し…結果、彼らのHPをレッドまで減らすという危うい事態を招いた。
だが、貴女達のレギオンチームは…〈古来種〉を状況に応じて、遊撃や戦闘支援に回復等…と、各々の職業の持ち味を理解して上手に戦闘で大いに活躍させていた。それに比べて、私達は…〈古来種〉の持ち味を上手く活かせず…むしろ、その持ち味を完全に殺してしまっていた……。
その事を気が付かせてくれた事、本当に感謝する。次に再挑戦する際には、今度は〈古来種〉達の持つ強みを上手く活かせる様に頑張ろうと思う』
「いやいや。〈古来種〉達の持ち味を上手く活かしたのはアタシじゃなくて、アタシの妹で指揮官を務めた朝霧だよ」
そう言って、アルトリアの言葉に答える咲良だったが…そこに、北米のレギオンチームの指揮官の〈海賊〉のジャック(※多分、例の海賊をイメージした訳じゃない)がボイスチャットで話し掛けてくる。
『……けどよ。実は俺ら…この世界共通100人規模戦闘の完全攻略は、もう少し時間が掛かるだろう…と、半ば諦めムードで見ていたから…アンタの巧みな敵愾心操作、瞬時に回避と防御の選択を見極めての冷静な対応、咆哮や息吹の攻撃が発動する際は、常に仲間がいない方向に誘導する計算高さ……
何より…〈暴風の息吹〉を力業で封殺した事やレギオンボスが大暴れして直接攻撃が難しくなった時に背中に跳び乗ってトドメを刺す思い切りの良さ、それらの結果を総合して…戦闘の流れを完全に自分達側に引き寄せたアンタは、『神が起こした勝利を呼ぶ風』─“神風”と呼ばせてもらうぜ!』
「……へっ?」
ジャックのその言葉に、咲良は思わずすっとんきょうな声を上げている。
──だが…その場の状況は、咲良に待ったを掛けてはくれなかった。
『……確かに。今回のレイドの勝利の女神の祝福を引き寄せた姫侍は、“神風”と呼ばれるに相応しいな』
『戦場の流れが、彼女の巻き起こす“追い風”で一気に変わったものね』
『そのまま勝利の風に乗って、レギオンボスを仕留めたしな!』
『華麗な跳躍からの着地…きっと、あれも“神風”の加護だね』
『『『『『かーみかぜ!かーみかぜ!!かーみかぜ!!!』』』』』
「うぇぇぇえええええ!?ちょ、ちょっとぉぉぉおおおおお~!?」
突然の“神風”コールに、咲良は思わず朝霧達に助けを求める。
「あ、あーちゃ~ん!皆~!助けてよぉ~!!」
しかし、レギオンチームのメンバーからの返答は……
『“神風”、夜櫻さんにピッタリじゃないですか?“風の様な”自由人ですし』
クラスティは、しれっとそう言いながらも…面白がってニヤニヤと笑みを浮かべいる。
『夜櫻しぇんぱい、またカッコいい二つ名が増えましたねぇ~♪』
サナエは、クラスティを筆頭とした…夜櫻をからかっている面々と一緒にニヤニヤと笑みを浮かべながら声を掛けてくる。
『夜櫻っち。今回のこの事態は、夜櫻っちが自ら招いた種ですにゃ』
そう言って、にゃん太は全く助け船を出してくれない。
『海外の〈冒険者〉達に認められたって事で…喜べばいいんじゃない?』
ガブリエルは、全くフォローになっていないフォローをする。
『あー……。夜櫻、大暴れしたもんな』
『それはもう、見事なまでに……』
『否定の仕様がないな』
『完全に自業自得です』
カンザキは苦笑し、幸村は呆れ、ベルセルクは断言し、フェイディッドはバッサリと切り捨てる。
『姉さんが、今回も派手に大暴れするからだろう』
『コレが現実やったら、ビルを壊して地響き立てて辺り一面焼け野原的な、どえらく派手な大立ち回りの大暴れ。
必殺技の贈り物でレギオンボス退治に使命をかけてはるって言うか……、轟く叫びも何のそのって言うか……』
朝霧からは呆れ混じりの返答が、レオ丸法師に関しては…声音から、おそらくパソコンの前で遠い目をしながらなのだろう…全くフォローの無い発言が飛ぶ。
──海外の〈冒険者〉から“神風”と賞賛される中…誰も一向に助け船を出してくれない状況に、咲良はパソコンの置いてある机に思い切り突っ伏すのであった……。
◇◇◇
──その後…この時、夜櫻達が挑戦してクリアしたレギオンレイドの様子は、北米のプレイヤーの一人が一部始終を動画として撮影していた事もあり…その動画はそのままwebへとアップされ、それを見たプレイヤーの多くが大規模戦闘者を目指す様になる。
さらに、このレギオンレイドの動画がきっかけで…しばらくの間、夜櫻は国内外の〈冒険者〉達からレイドの助っ人救援要請がひっきりなしに来る様になり、国内外問わずの“引っ張りだこ”な状況に…夜櫻は、正直げんなりしていたそうだ。
また、このキャンペーン企画に水を差した悪質MPK達は…全サーバーの運営達の綿密な連係と『必ず見つけ出してやる!』という強い執念が実り、居場所を特定後…一番重い処罰の『アカウント停止処分』が下されたという。
──なお、この時の祝勝会では…落ち込んでいる咲良を慰める為に参加していた賢亮が、松永法師に襲い掛かる早苗の首根っこを片手で掴み、床に直に正座をさせての二時間説教地獄を科す事で、松永法師の身の安全が確保されるという…なんとも皮肉な結果になったそうだ……。
◆おまけ その1
【祝勝会にて①】
朝香「……言っておくが、晴秋も姉さんといい勝負な位の暴れっぷりだったぞ? (¬_¬)」
晴秋「おや?そうでしたか?(しれっ)( ̄ー ̄)」←とぼける(笑)
朝香「……お前は……(呆れ)(´д` ;)=3」
◆おまけ その2
【祝勝会にて②】
早苗「レオ丸ぁーーーー!!≡(ノ゜Д゜)ノキシャー!」←(酒瓶片手に、松永法師へと飛び掛かる)
松永法師「ぎゃあー!((( lll´Д`;)))」←(襲い掛かってくる早苗に恐怖)
賢亮「早苗さん?(#^_^)」(ゴゴゴゴゴ…)←(賢亮、お怒りモード(笑))
早苗「ヒギィ!?( ゜ロ゜)!!」←(空中で首根っこを掴まれる(笑))
──しばらくして……。
早苗「ううっ……賢亮が、凄く厳しい……
( >Д<;)」←床に直に正座中(笑)
賢亮「早苗さん!きちんと聞いていますか!!
(#`Д´)ノシ」←まだ説教中
早苗「うひぃー!? Σ(。>Д<。)」←若干涙目(笑)
《少し離れたテーブルにて》
松永法師「はぁー……。賢亮さんのおかげで、ほんま命拾いしましたわぁー (;´д`) =3」←安堵中
晴実「賢亮は、咲良と違って…こういう席でのマナーには厳しいからな ( ´・ω・`)」
隆史「早苗には、いい薬になったんじゃないか? (―_―) =3」
保坂「そういう意味では、所長が落ち込んでくれたおかげですね Σd( ̄ー ̄)」
松永法師(……なんでやろう。全く素直に喜べへんのは……(汗) σ(´・д・`;))
◆おまけ その3
【アキバにて】
夜櫻『シークさん。サブ職〈救済者〉の離職クエ、協力してくれない?』
シーク『おや?折角、カンストさせた〈救済者〉をやめるのですか?』
夜櫻『うん。例のキャンペーンレイドで、アタシがやった大規模回復行為が運営内で大問題になったらしくてね……。
『ゲームバランスに影響があるから』って事で、テコ入れが入る事になっちゃった~』
シーク『成程、だからですか。ところで…次に取るサブ職の候補は決めてあるのですか?』
夜櫻『とりあえず、面白そうなやつ!!』
シーク『……夜櫻らしいですね(苦笑)』
◆おまけ その4
【四年前のアキバにて】
カナミ『シロ君、シロ君。このレイド、凄く面白そうだよ~♪ε=ε=(ノ≧∇≦)ノ』
シロエ『えっ?どれ?
…………。(※カナミから動画の情報を聞き出しつつ、webの動画サイトを検索中)
これは、記念キャンペーンレイドみたいだね(・_・)』
にゃん太『そのレイドは、既に終わってますにゃ。
11年前にあった開始五周年記念のレイドで…知り合いの御厚意で、我輩も参加させて戴きましたにゃ(―ω―)』
直継『へぇ~、そうなのか。
カナミ、残念だったな。キャンペーンレイド祭りは、もう終わってるってよ(* ̄∇ ̄)ノ』
カナミ『むぅ~、残念だなぁ~。スッゴく面白そうだったのにぃ~(´・ω・`)、』←心底残念そう
シロエ『アハハハハ……(苦笑)(^_^;)』
にゃん太『にゃはははははは……(苦笑)(^ω^;)』
直継『ハハハハハ……(苦笑)(^o^;)』
◆おまけ その5
【??年前のニューヨークにて】
???「…………。(webにある〈エルダー・テイル〉公式サイトを覗きつつも、動画サイトを閲覧中)
へぇ~。この人物が、大規模戦闘者の間で超有名人の“神風”か……。(しばらくの間、web動画を注視)
……ジーザス!!こんなギリギリの距離で攻撃を回避出来るのかよ!?
……はぁー、信じられないぜ。流石は、“神風”だな」
◇データベース
〈女神の慈愛の宝玉〉
サブ職業〈救済者〉専用クエストをクリアする事で、入手可能な消費アイテム。使用する事で、サブ職専用回復系特技による広域の回復や状態異常回復が可能となる。
また、使用する事で〈古来種〉や〈大地人〉、レイドチーム以外の〈冒険者〉もサブ職専用回復系特技での回復対象に含む事が出来る。
但し…ゲームバランス調整の為のテコ入れ後は、アイテム自体が無くなってしまった。
【フレーバーテキスト】
癒しの女神の深き慈愛で創られた宝玉。
その宝玉の力が及ぶ限り、全ての善なる者達に女神の癒しの祝福が与えると言われている。