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桜草  作者: 元樹
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第一章 はじまり

それは大体春の陽気に溢れている4月の末ごろだった。

まだ春は出会いと別れの季節だという感覚がなかったころだ。

「さっちゃんきょうはぼくをあきちによんでどうしたの?」

 あの頃の自分は幼かったためそこにあった悲しい雰囲気に気づかず何か楽しい事や何かを発見したんだと思い、ただ純粋に聞いていた。

今思うとすごく残酷なことを聞いていたんだと思っている。

彼女は俺にそう聞かれるととても泣きそうな顔をして、

「しんくんにさよならをいいたくてよんだんだよ」

 そういうと涙を流しながら悲しげに微笑んでいた。


ギリリリリン ギリリン

パッチ

俺はまだ眠たかったが目覚まし時計がうるさく、頭が覚醒してしまった。

「ん・・・・もう朝か・・・まだねむたいな・・・・それにしても懐かしい夢見たな・・・」

覚醒は微妙にはしたのだがまだ少しぼ〜っとしていると窓の外から近所迷惑になりそうな大きい声が聞こえた。

「おい、起きているか!」

「はいはい起きているからそんな近所迷惑な大きさで俺の名前呼ばないでくれ」


俺は言いながらドアの前にいるそいつを睨んだが全く気にもしてない。

「それならさっさと着替えて降りて来てくれんか?あまりわしを待たせるな」

そいつはさっきと比べて声の大きさをさげてはいたが、自分勝手な事を言っているため俺の気は晴れなかった。

そいつは相良(さがら) 健二(けんじ)といい、なんか知らないが高校一年のころにちょっとしたことがあって、友人となってから家が近くもないのに学校がある日は毎回毎回起こしてくる。

俺的には凄く男に迎えに来るのは微妙な気分だがな……

だがやはりそれでも人を待たせるのは凄く抵抗があるため、特技の早着替えを活用してちゃっちゃと行く準備を整えた。

着替え終わって、部屋を出て、駆け足で居間に向かい、両親が海外にいるため、いつものように前日にスーパーで買って用意しておいて居間のテーブルの上に置いておいた昼飯セット(パン二つとペットボトルのお茶)を鞄の中に詰め込み、家を出た。

出てすぐ待っていたのは「おそい・・」という健二の非難めいた言葉だった。

かなり頑張って急いだのにその言葉はあんまりなんだが・・・・

俺が拗ねたのを気づいて少し反省したのか苦笑いを浮かべたがすぐまじめな顔になると

「まあいいが・・・・と話している場合じゃない。早く行く」

健二は少し焦り気味に言った。

あれ・・部屋の時計を見たときにはまだ三十分も時間あったはずだがな・・・と思いながらもかなり嫌な予感をしたため、ポケットの中に入っていた携帯で時間を確認して、俺は固まった。

まあ健二がすぐ俺の頭をこついたため、すぐ戻されたが……

「なぁ…?これは何かの間違えか?」

俺はもの凄くすがりたい気分で問いかけたが、

真司(しんじ、現実、間違いなく走らないと遅刻する」

と返され、必死に走ることが決定的になり、俺たちは急いで学校に向かうべく走り出した。


「うおぉぉぉぉ!」

俺達が住む時雨(しぐれ)(ちょう)自体坂が多い土地柄で、俺達の通う睡蓮(すいれん)高校は俺の家から歩いて二〇分だがその坂で最も急坂の上にあるため、こうやって叫びながらじゃないと走る気もしないほどの道のりだ。

俺の少し前を健二があまり疲れない様子で走っていて

「なにへばりかけているんだ?」

と余裕がまだまだあるようで俺に普通に声かけてくる始末。

「お前ほど運動神経がないんだ!お前はバケモノか!」

というわけで悔しいのでバテながら頑張って言い返したりもしているが、健二はただ涼しげな顔をして走っていって効果無し。

健二運動神経良すぎだし頭もいいし、こいつは本当に化け物なのかもしれない…と自分のこの疲労具合と健二の疲労具合の違いについて最もらしい言い訳を、頭の中でしつつ、走っていると坂に終わりが見えてきて、俺たちの通う高校の校門が見えてきたので、俺は最後の力を振り絞りいつもの要領で、校門を通り過ぎ、下駄箱まで素早く行き上履きに履き替えると教室のある3階まで階段を二段飛ばししながら登り廊下を走り抜け時間までにドアを開けることに成功した。

「ぜぇぜぇ・・ま・・に・・・あっ・・・た・・・」

やっぱり息のあがった状態だと声を上手く出せずに肩で息をしていると少しドアの近くの席に座っていた女子がこっちを向いてすこし微笑みながら

「真司今日はめずらしく遅刻ぎりぎりだったね。はいはい息を整えて。」

こっちに向かって歩いてきてドアをあけたまま止まっていた俺を教室の中まで引っ張りこんだ後、その女子が俺の軽く背中をさすってくれているときに俺が入ってきたドアからニヤニヤとしながら健二が登場して、俺達の横を通り過ぎると

「いつもながら仲がいいな ご両人」

俺をさすっていった女人の前に立ち、そのニヤニヤした顔を向けて言った。

向けられていた方の女の子は健二を少し眉間にしわを寄せて睨みつけるような目で見つめ

「そんなんじゃない!馬鹿健二のくせに変なこと言うな!」

「こんな純粋無垢の男に向かってなにを言うんだ?」

健二がすぐそんなことを言うと彼女は疲れたようにため息をつき

「それすごく嘘っぽいよ?」

とすごく疲れた感じで言った。

俺はそのやりとりをその女子の横で少し笑いながら見ているという傍観者の立場に立つという一番安全な立場に立っていた。

この女子は西原(にしはら) (あおい)といい、高校一年生の頃にある出来事がきっかけで仲良くなり、友人となった。

毎回二人を見て思うんだが俺の友人の二人は両方とも顔立ちがきれいに整っており、健二は身長も高く顔はシャープな感じで葵はどこぞのアイドルのように顔で非の打ち所のない美人であるため二人ともそれぞれの一年の頃の出来事無ければ友人になることも無かったと考え事をしていると

「ねぇ真司ぼ〜っとしてどうしたの?」

といつのまにか会話が終わっていたのか、葵が俺の顔を近くで覗きこみながら、心配そうに言った。

「あぁすこし考え事をね ほらもうすぐチャイムが鳴るから!」

少し恥ずかしくなったため誤魔化して会話を変えようとしたがタイミング良くチャイムが鳴り、葵は元の自分の席にしぶしぶ戻っていった。

その様子いつの間にか自分の席に座っていた健二が微笑みながら見ていたのを気づいて、さっきよりもなぜか恥ずかしくなって俺も急いで教室の一番後ろの窓際にある自分の席に座った

俺が座ったと同時に男の担任が教室に入ってきた。

「全員おるか?遅刻者はおらんな?」

とバンバン教卓を出席簿で叩いて騒がしかったクラスを静かにさせようとしたため騒がしかったクラスの中が少しずつ静かになっていった。

それに満足したのか。小さく何度も頷き話を再開した。

「ここで出席を取りたいがその前にやらないといけないことがある。ほら入ってきなさい」

担任の言葉にせっかく静かになったクラスがまた騒がしくなった。

だが健二だけは事前に知っていたのか知らないがただニヤッと笑いながらドアの辺を見つめるだけだった。

そう周りを見ていると

「じゃあ入ってきなさい」

という担任の声でドアがゆっくりと開く音がしたのですぐさまそっちに目を向けた。

そして綺麗な女子が軽く頭を下げて教室に入ってきて、担任の横に立つとクラスは静まった。

その女子は、髪は背中にかかるくらい長く顔は葵と比べてもほとんど差ないくらい整っており、背は低めの身長をしていた。

「ほら自己紹介をしたまえ」

と担任に急かされると緊張気味に、

「今日から2―Bのみなさんと勉学を一緒にさせて貰います。近藤(こんどう) 早耶(そうか)です。どうぞよろしくお願いします」

とまた深々と礼をすると同時に静まっていたクラスが勢いよく盛り上がった。

特に男子が特に綺麗な子が増えるためその勢いの度合いはもの凄かった。

「えっと近藤はどこの席がいいかね……そういえば田村、お前の席の横空いていたよな?そこを席にしようか……いいか?近藤」

俺の席の方を担任が指をさしてそういうと近藤さんは軽く頷き承諾をすると健二以外の男達からなぜか嫉妬や恨みをこめた目で睨まれることになった。

なんで俺が睨まれる羽目にあうんだ・・とそう思いながら下を向きながら深いため息をついた後、再度顔を上げると、

いつのまにか近藤さんが目の前におり、微笑みを浮かべていた。

「田村君よろしくお願いしますね。」

近藤さんはどうやら俺が顔を上げるのを待っていたようで俺の方にちゃんと挨拶をした後

「あと近藤今日教科書あるか?ないのなら田村に見せて貰え、あと学校の質問はすべて田村にきいてくれ」

という担任のなぜか責任逃れにも似た言葉が聞こえてきた。

近藤さんは担任の言葉に小さく頷くと指定された俺の隣の席に座った。

今後どうなるんだろうな〜とあまりにも漠然的なことを思いつつ、それでも何事もなく過ごしたいなと呑気なことを考えていた。


だが、まだこのときの自分はまさかこの出会いをきっかけにあんなことになるとは夢にも思いはしなかった。


はじめまして元樹です。まだまだだめだめな点が多々ありますがどうか温かい目でみてください

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