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プロローグ

 死んだ。石ころに躓いて階段を転げ落ち、頭を強打してしまったようだ。

 なんてことだ。

 あまりにも唐突であっさり過ぎる死に、呆然とするしかない。


“………? 呆然と、する……?”


 考えれば死んだのに、『呆然とする』意識があるのはおかしい。しかも、『考える』って……思考能力があるって。


“あの世って、考えたりとかもできるのか?”

『ここは厳密に言えばあの世――つまり天国ではない』

“え”


 気がつくと俺の前に、体長30cm程の美少女がいた。


“え、と…?”

『ここは天界と地上の狭間にある空間だ。私は所謂、門番といったところだ』

“狭間の空間? 門番、ですか?”

『そうだ。そなたは天命を多く残して死んだ為、裁定の階の手前にある、この場に魂を留められた。私はそなたに選択肢を与える為にここで待っていた。与える選択肢は2つ――裁定の階を登り魂の行方を試すか、残りの天命を使い転生するかだ』

“裁定の階…ってもしかして天国か地獄かを決める場所ですか?”

『その通りだ。言っておくが、どちらに逝くことになるかは私には預かり知らぬことだ』

“転生で”

『…逝き先と転生後の器は選べぬが構わぬか? 転生後でどのような人生を歩むことになろうと、こちらは干渉できない。いいかね?』

“う…はい!”


 やんちゃしたことがない、嘘をついたことがない。とは言えない人生を送ってる奴なんて稀だ。

 そして、その『やんちゃ』がどこまで許容されるかなど、わからない。裁定の階とやらを選択して地獄落ち――なんて嫌だった。ならばどんな目に遭おうと異世界で残りの寿命分楽しみたい。


『……よかろう。ならば、天命の残数に見合った能力を付与した上で、そなたを異世界に転生させる』

“能力ってなんですか?”

『所謂、魔法や異能というやつだ。転生して直ぐに死にました、という展開にならぬようにそういう特典――謂わば贈り(ギフト)を贈ることになっている。

 ちなみにこの贈り物の内容も向こうで生まれてからでなくては確認できぬから過度の期待はせぬ方がよいぞ?』

“わかりました”


 何に生まれ変わるかも、どんな力を得るかもわからないのか…でも地獄に落ちて責め苦を味わうよりはいいだろう。

 この時の俺はそう思っていた。でも、それが決していい結果になるという結末には至らないのだ、と後に悟るのだった……。



 ★ ★ ★ ★ ★



“う……ここは…? 俺はちゃんと転生できたのか??”


 俺は自意識が覚醒するのを感じた。しかし、『瞼を開いた』というよりも『急に視界が開けた』という感覚に戸惑う。


“っ……な、んだ? 空が高く感じる。それにここは…森、か?”


 どうして森に? と思うと同時に転生前(前世?)の記憶があることと、体が動かせないことに気付いた。

 そして、己の新たなる体が非常に小さいということにも。

 自分の体の状態を確認すべく、試行錯誤していると情報が脳内(?)に表示された。


┏         ┓

 石見 輝晶


 種族:鉱物


 存在階位:小石


 Lv:1


 能力:魔力収集(微)

    魔力流動(微)

┗         ┛


“は……?”


 種族は鉱物、存在階位…………小石?


“………せ、生物ですらねぇええええぇっっっ?!”



 これが第二の人生…(石生?)の衝撃の始まりで、永くて波瀾に満ちた物語の幕開けだった。


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