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九話

3600PV感謝です!これからもよろしくお願いいたします。

 イズン上級騎士の体が完全に消えたのを見届けて、俺は視線を隣へ向ける。


 そこではイリーナが黒金の鎧を着た一騎と激闘を繰り広げていた。


 黒金の騎士――、黒騎士の獲物は一般的な片手半剣(バスタード・ソード)両手剣(グレート・ソード)のような破壊力も、小剣(ショート・ソード)のような機動力もない中途半端な武器であるが、裏を返せば両手剣(グレート・ソード)よりも機動力が、小剣(ショート・ソード)よりも破壊力がある武器であり、達人が持てばこれ一本でいかなる状況にも対応が取れる万能の武器となる。


 そして、あの黒騎士の腕は間違いなく超一流、達人と呼ばれる人々には半歩及ばないが、それでも一国の騎士団長程度ならば十二分に務まるであろう技量の持ち主である。


 そんな彼を相手にしてイリーナが互角かそれ以上に戦えているのは、武器の相性によるところが大きい。


 柄頭に聖銀(ミスリル)を使い、柄は硬く、魔力を通しやすい霊木に真鋼(アダマンタイト)の芯を仕込んだ特注品の戦棍(メイス)、剣と違い刃が付いている訳では無いので、あるときは普通に戦棍(メイス)として、またあるときは柄頭の方を握って棍棒(クラブ)として使い、魔術も併用しながら多種多様な黒騎士の攻撃を凌ぎ、反撃を繰り返していた。


 イリーナめ、俺の・・・新陰流の杖術を盗んでやがったな。


 日本において、いわゆる古流と呼ばれる流派では、一刀流とその分派以外で剣のみ、無手のみというのは極めて少ない。それぞれの流派に剣術、槍・薙刀術、小太刀術、組討術などが存在し、その中でも杖術は、ほぼ全ての流派に存在するありふれたものである。


 無論、新陰流でも例外ではなく、隻眼の剣豪、柳生十兵衛三厳が考案したとされる杖術が伝えられており、『ギーラ』としての稽古中に何度か使ってしまったことがある。


 その何回かを見て、真似て、理解し、己のものにしたのだろう。どうやら、この世界でも屈指の戦闘種族である『鬼人族』その中でも希代の戦士になるであろう彼女の実力をずいぶんと過小評価していたようだ。


 うん、彼女が名乗りを上げたときは見ていて心臓に悪い戦いになると思ったが、これは嬉しい誤算だな。


 黒騎士の胴薙ぎをイリーナは戦棍(メイス)の柄で受けるとその小さな体を生かして懐にもぐりこむ、さらに驚くべきことに戦棍(メイス)を手放し、両手で黒騎士の腰を抱えるかのように掴むとそのまま後ろへ反りつつ、彼の体を投げ捨てた。


 フロント・スープレックス!?いや、裏投げか!そういえば、新陰流のそれを含む古流柔術の甲冑組討術も何度か見せたり、それでイリーナを投げたりしてたが、まさかあれまで盗まれてるとは。


 なあ、諏訪部よ。俺がお前から盗んだ起倒流の投げ技、それをさらに盗んで自分のものにするような天才がここに居る。今世の俺の仲間も凄い奴ばかりだぞ・・・!


 投げられた黒騎士は立ち上がろうとするが、鎧というものは意外と体の動きを阻害する。彼の着ている全身鎧(プレート・アーマー)は白兵戦で使うものである以上、『転んだら起きれない』ということは無いだろうが、それでも起き上がるのに手間取っているのがわかる。


 そして、共に倒れた状態から先に起き上がったのは、俺と同じ聖銀(ミスリル)鎖帷子(チェインメイル)という動きやすい防具を着ていたイリーナだった。


 「はぁっ!」


 地面に落ちた戦棍(メイス)を拾い、気合と共に振り下ろす。嫌な音が響いて、黒騎士の首がありえない方向へ曲がり動かなくなる。最後にイリーナに何か言っていたようだが、俺の耳では聞くことが出来なかった。


 「タイダル王国が騎士、ネルム・ブル・クリフ・ハトリウスは、ギーラ殿下が『学友』イリーナ・ナル・フレイム・リオ・ノーリリアが討ち取った!」


 戦棍(メイス)を高々と振り上げ、宣言する。


 その様子を確認し、新たな髑髏の騎士(スケルトン・ナイト)が俺とイリーナの前に進み出て・・・その瞬間、上空から火球の雨が降り注いだ。


 


 「一体、何が起きた!?」


 俺は叫ぶが、その問いに答えるものは居ない。しかし、髑髏の騎士(スケルトン・ナイト)たちの言葉が現状を理解させる。


 「おのれ、貴様ら!我らより命と故郷だけでなく、騎士の誇りまで奪おうというのか!」


 空に向けらた怨嗟の声、そして声の向けられた空間より七つの影が染み出すようにして出現する。馬鹿な・・・空間転移だと!?


 染み出した影は徐々に形を変え、豪奢なローブを着た骸骨の姿となる。


 死者たちの王(ノーライフ・キング)・・・! 


 死体(リッチ)とも呼ばれる不死の魔物(アンデッド)の頂点、銀か魔法の武器でなければ傷つけることは出来ず、魔術で対抗しようとも生前は極めて優れた魔術師であった彼らには効果が薄く、仮に倒せたとしても、彼らの魔力の源である『箱』を破壊しない限りは数日で復活するという理不尽の塊。


 「何を言っておるのだ」


 「貴様らに下された使命は、その二本角と三本角を生死を問わず手に入れ、幽霊船(ゴースト・シップ)の供物とすること」


 「騎士の誇りに拘っての一騎打ちなど笑止千万」


 「あれらの相手は我らがしよう」


 「貴様らの体を使わせてもらうぞ」


 「心はいらぬ、完全なる闇の中に封じておこう」


 「さあ、覚悟は良いか子鬼どもよ」


 言葉が終わると同時に髑髏の騎士(スケルトン・ナイト)たちの目から光が失われ、操り人形のような動きに変わる。



 【現れよ】



 さらに死者たちの王(ノーライフ・キング)の魔術が発動し、俺たちの周囲に無数の影が染み出す。


 殺人猿(マーダー・エイプ)血赤鳥(ブラッド・モア)!?


 だが、その姿は一目で死んでいることがわかるものである。動物の不死の魔物(アンデッド)など聞いたことがない・・・いや、こいつらからは不死の魔物(アンデッド)固有の瘴気を感じない、ならば屍人形(フレッシュ・ゴーレム)か!


 人や獣の屍を材料として作られた屍人形(フレッシュ・ゴーレム)は、この世界でも呪術師の館を中心に時々見かける事のある自動人形(ゴーレム)の一つである。


 おそらくは死者たちの王(ノーライフ・キング)の中に屍人形(フレッシュ・ゴーレム)を作ることのできる個体がいたのだろうが、それでもこの数は半端ではない。


 数えるのも馬鹿馬鹿しくなるほどの、数千に迫ろうかという屍人形(フレッシュ・ゴーレム)の群れ。


 そしてその群れを前に、不覚にも俺は死者たちの王(ノーライフ・キング)への警戒を忘れていた。


 「ギーラ!危ない!!」


 叫び声と共に俺の体が突き飛ばされる。

 

 手加減などする余裕は無かったのだろう、俺は十メートル近くも吹っ飛びながら、かろうじて受身を取り立ち上がる。


 そして、立ち上がった俺の目に入ってきたのは、おぞましい瘴気をまとった暗黒の槍に腹を貫かれたイリーナの姿だった。



 《・・・タイ》



 「イリーナ!!」


 おびただしい量の出血と共に崩れ落ちる彼女に向かい、脇目も振らずに駆け寄る。


 暗黒の槍は彼女の右脇腹を貫いており、おそらくは肝臓の一部も抉り取られているだろう。


  

 《・・・喰イタイ》



 「ギーラ君、どいて!」


 俺と同じように、すぐさま駆け寄ったターニャが傷口に回復薬(ポーション)を振り掛ける。炭酸水を振りかけた時のような音を立てて傷口は塞がるが、槍に込められた瘴気が彼女の体を蝕んでいく。



 『癒えろ!』



 俺も魔力回復薬(マナ・ポーション)を飲み治癒魔術を発動させるが、腹の穴と傷ついた内臓は修復出来たものの彼女を冒す瘴気を消すことが出来ない。



 《喰イタイ、喰イタイ、喰イタイ、喰イタイ》



 「・・・『不可視の障壁』」


 「『炎の渦よ』!」


 「『火炎の矢よ』!」


 イリーナの傷を癒している間に襲い掛かってきた屍人形(フレッシュ・ゴーレム)の軍団はアリシアの作ったドーム型の障壁に遮られ、ティオの炎の渦に、ライラ姉の火炎の矢に焼かれていくが、一切かまわずに波の如く押し寄せる屍人形(フレッシュ・ゴーレム)は障壁に取り付いていく。


 僅か数十秒、数十秒で障壁は屍人形(フレッシュ・ゴーレム)に覆い尽くされ上空の光源も、月の光も届かぬ闇の中に俺たちは取り残される事となった。


 「・・・『明かりよ』」


 アリシアの灯した白熱灯にも似た光が障壁の内部を照らし出す。


 照らし出されたのは一昔前のホラー映画のように障壁に張り付く屍人形(フレッシュ・ゴーレム)の軍団、・・・そして苦しげに顔を歪めるイリーナ。


 「傷口は塞がってるのに・・・この瘴気は消せないの!?」



 《喰イタイ、喰イタイ、喰イタイ、喰イタイ、喰イタイ、喰イタイ、喰イタイ》



 半泣きになりながら叫ぶターニャ、イリーナに撃ち込まれた瘴気は間違いなく死者たちの王(ノーライフ・キング)が組み上げた特別品の呪い。必死の思いで解析を進めるが、解呪の糸口さえ見えず、その間にもイリーナの呼吸は小さく、弱々しくなっていく。


 「よ・・・かった・・・、ギーラ・・・が無事・・・で・・・」


 「イリーナ!しっかりして!!」


 「どうした、イリーナ!俺に勝つんじゃなかったのか!?」


 俺たちの呼びかける声も聞こえなくなっているようで、彼女の命が消えていくのがはっきりと分かる。



 《喰イタイ、喰イタイ、喰イタイ、喰イタイ、喰イタイ、喰イタイ、喰イタイ・・・早ク、喰ワセロ!!》



 「うるせえんだよ!幽霊船(ゴースト・シップ)が!!たかが、伝説の魔物の分際で!!俺はもう二度と仲間を手放したりしない!!彼女の髪の毛一本たりとも手前(てめ)ぇなんぞにくれてやるものか!『癒えろ』!『治せ』!『助けろぉ』!」


 回復した魔力を振り絞り、必死の思いで治癒の術を注ぎ込むが効果は無い。


 「ギー・・・ラ、と・・・過ご・・・した、アタシの・・・人生・・・楽しかっ・・・た」


 ふざけるな・・・ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな!!


 気ばかりが焦るが、打つ手は何一つ見当たらない。そんな状況で俺は無意識のうちにある言葉を口にしていた。



 ―― オン コロコロ センダリ マトウギ ソワカ ――


 ―― 帰依し奉る、病を取り除きたまえ、取り去りたまえ、センダリ、マトウギの神よ、成就させたまえ ――



 密教、特に天台宗系の台密で重要視される薬師如来の小咒、あらゆる病と苦痛を癒すとされる東方浄瑠璃世界の教主である薬師如来の真言。『俺』が、義威羅が外法師に堕ちる前に幾度と無く唱え続けた治癒の真言。


 だが、外法師に身を堕とし、異世界の住人となった俺にその仏が力を貸すはずも――、え?


 そんな俺の予想に反して、イリーナの体が瑠璃色の光に包まれると、彼女は以前とまったく変わらぬ様子で目を開ける。


 「イリーナ!?イリーナ・・・良かった・・・!」


 「ん・・・?なあギーラ、あたしに何をしたのだ?優しく大きくて、暖かい力が通り過ぎたと思ったら、呪いも痛みも苦しみも消えていたぞ・・・」


 抱きつくターニャを無視して俺に問いかける。


 馬鹿な・・・、外法師となった俺に神仏が力を貸すなどと・・・


 と、そこまで考えたところで一つの可能性に思い当たる。


 義彦の不動火界咒・・・あらゆる邪悪、煩悩を焼き尽くす不動明王の炎が俺の魂の穢れを焼き尽くしていたのか?



 「・・・障壁が・・・持たない・・・!」


 そんなことを考えているうちにアリシアの張った障壁に髑髏の騎士(スケルトン・ナイト)の剣が突き立てられ、そこからヒビが拡がっていく。


 一瞬の間をおいて、硝子の割れるような音と共に障壁が砕け散り、数千の屍人形(フレッシュ・ゴーレム)が襲い来る。だが俺の考えが正しいのなら、たかが数千体の屍人形(フレッシュ・ゴーレム)など、数十体の髑髏の騎士(スケルトン・ナイト)など、七体の死者たちの王(ノーライフ・キング)など敵ではない!



 ―― オン ランケン ソワカ ――



 東西南北を守護する四天王の真言、その真言と共に俺を中心とした東西南北に四色の光の柱と、柱と柱を結ぶ壁が生まれ出る。


 多聞天・持国天・増長天・広目天のいわゆる四天王と呼ばれる、四柱の護法善神の力を借りた結界は迫り来る屍人形(フレッシュ・ゴーレム)を寄せ付けず、それどころか結界に触れた個体を片端から消滅させていく。


 真言と己の魔力を触媒として神仏の力を降ろす密教、修験道系の呪術――これならば魔力が底を尽きかけた今の俺でも発動が可能である。


 だが、四天王の力を借りて創りあげた結界の中、あからさまに不自然な黒い影が見える。


 凶霊(スペクター)か、おそらくこれこそがイリーナを蝕んでいた呪いの正体。


 肉体を持たない、霊体系の不死の魔物(アンデット)の中でも最強クラスの魔物そのものを呪いとして使っていたとは、通りで解呪の糸口さえ見えなかった筈である。


 当然、俺の仲間を苦しめた報いを受けてもらうとしよう。


 『オウカ、キッカ!!』


 結界を張り、初めて気付いた俺の周囲を離れずに動く二つの魂に声を掛ける。


 お前たちもこの世界に来ていたのか・・・ひょっとして今までずっと側に居てくれてたのか?


 「承知しました、ご主人様!!」


 「ご命令、お待ちしておりました、わが主よ!!」


 二人分の返事と共に、顕現した二匹の犬神は凶霊(スペクター)を一瞬で無に返す。


 「・・・ギーラ・・・、これは一体?」


 「説明は後で、まずはこいつらを片付ける!」


 俺はそう言うと、印を組み新たな真言を唱える、かつて義威羅の体を、魂を、妄執を焼き尽くした炎の真言。



 ―― ノウマク サラバ タタ ギャテイ ビャク サラバ ボッケイビャク サラバ タタ ラタ センダン マカロシャダ ケン ギャキ ギャキ サラバ ビキナン ウンタラ タ カンマン ―


 通常ならばここで降ろした不動明王の力を開放するが、力を身のうちに止めたまま再び真言を唱える。


 ―― ノウマク サラバ タタ ギャテイ ビャク サラバ ボッケイビャク ――


 かつて義威羅が修めていた修験道、その法流は真言宗は醍醐(だいご)寺に端を発する当山派と天台宗の聖護院を本寺とする本山派の二つ、そしてその片方の真言宗では真言を三回ないし七回を一セットとして唱える。


 その形に習い、三度の真言を一つの言霊として、より深く、より強い力を降ろす。


 ―― サラバ タタ ラタ センダン マカロシャダ ケン ギャキ ギャキ サラバ ビキナン ウンタラ タ カンマン ――


 三度目の真言を唱え終えると同時に、今日何度目かになる炎の海が周囲を包み込む。だが、今までと違うのはその炎に触れた存在は一瞬で灰となるまで焼き尽くされること。


 通常の不動火界咒で創られる『不動明王の力を宿した炎』などではなく、『不動明王の纏う炎』そのものの召喚。


 地球においても、この炎を召喚出来る術者は『俺』と義彦を含め片手で数えられる程という『俺』の、義威羅のかつての奥の手。


 その聖なる炎は数千の屍人形(フレッシュ・ゴーレム)を、操られるままに動く髑髏の騎士(スケルトン・ナイト)を、高みの見物を決め込んでいた死者たちの王(ノーライフ・キング)を一瞬で灰と化し、浄化する。


 焼き尽くされ、灰となった髑髏の騎士(スケルトン・ナイト)の体から彼らの魂が抜け、穏やかに光りながら昇天していくのが見える。


 はるか沖合いに浮かぶ幽霊船(ゴースト・シップ)からも七筋の光が同じように天へと昇っていく。どうやら、死者たちの王(ノーライフ・キング)の体を通じ、彼らの『箱』まで不動明王の炎に込められた力が届いたのだろう。


 そして、もはや勝ち目が無いと悟ったのか、小船ほどにその姿を縮めた幽霊船(ゴースト・シップ)が船首を沖に向けて逃げようとするのが見える。


 ・・・・・・・・・逃がすものかよ!



 『伝えよ』



  言霊に込めた意思は声を伝えよ、そして意味を伝えよ、という二重のもの、魔術が発動したのを確認すると合掌して読経を始める。



 ―― 仏説 摩訶 般若波羅蜜多心経 ――


 

 日本の仏教各派、特に密教や禅宗、修験道でも唱えられ、一部の在家信者からは悪霊の力を(くう)ずるとされた『(くう)』を説く教典、般若心経。


 いわゆる『西遊記』の玄奘三蔵法師が天竺(インド)より持ち帰り、漢文に訳したとされるそれは、わずか三〇〇字足らずの中に大乗仏教の真髄が説かれていると言われ、経典でありながらも呪文的な扱いをされる最も有名な経の一つ。


 

 目を閉じ、経で説かれているように心を空にして唱える。



 ―― 羯諦羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 菩提 僧婆訶 般若心經 ――

   

 


 読経を終え、目を空けた俺が見たものは、穏やかな凪の海と霧の晴れた満天の星空。この国の住民を恐怖の底に陥れた伝説の魔物は、その痕跡さえも残さずに(くう)へと散じていた。


 

 「終わった・・・ね」


 俺はそう呟くと、その場に倒れ込む。体力も気力も魔力も使い果たし、指一本動かすことも出来そうにない。


 「なあ、ギーラ今のは一体・・・」


 戸惑いを隠そうともせずにティオが聞いてくる。ちょっと待てや、少し、もう少し休んだら答えるから・・・


 「ギーラ!?それにティオ君やイリーナちゃんも!これは、一体どうなっているんだ?」


 ふいに横から聞こえる聞きなれた、しかしここで聞こえるはずのない男の声。おい、ちょっと待て・・・ 


 「伯父さん!?」


 「フォルムス陛下!?何でここに!?」


 ったく・・・もう着いてたのかよ、あれだけ派手に燃やしてりゃあ当然目立つよなぁ・・・つまり四天王咒の結界も、不動火界咒の炎も、般若心経で幽霊船(ゴースト・シップ)を消したのも、全部見られてたって事だよなぁ・・・


 さて、どうやって誤魔化そうか・・・・・・・・・

 



 冷静になって読み直した結果、真言と般若心経が凄まじく読みにくい事に気がついたので、大幅に削りました。 


 孔○王リスペクトな本作ですが、あちらじゃあ長目の真言を唱えない理由を身を持って実感してます・・・


 一月七日、プロローグと一緒に改訂しました。


 オウカ、キッカはプロローグの改訂分で登場しています。

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