表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/10

初恋の彼に会ったら…

――――でも私はときめかない

挿絵(By みてみん)


     イラスト提供:天甲斐エコ様




午後の光が降り注ぐ明るいカフェのラウンジで友人が私に語りかけます。

「初恋の彼と街でばったりと会ったらさ~」


「やっぱさ、ときめくよね~」と嬉しそうに私の友人は言うのです。

でも私はときめかない。そのきもちがわからない。

だから久しぶりに街角で合った彼が、懐かしそうに話しかけてきた時。

私は彼を認識したけど、「ときめき」は感じなかったのです。

彼はちょっと寂しそうな笑顔を浮かべて「またね」と言って去っていきました。


だって、しかたない。

二十歳を迎えた日に、私の肉体は交通事故でロストしてしまったから。

悲しみにくれた両親が、財をつぎ込み複製した人造人間が今の私。

金属とICチップでできた頭脳は優秀だけど、過去の記憶は欠落し感情もないのです。

彼に会って学生時代のアルバムと日記帳を探し出し、

「人間だった頃の私のきもち」を初めて知りました。


ところどころ涙で文字が滲んだ日記帳。

辛い恋心が綴られていました。

でも、今の私には「心」も「涙」もないのです。




こんな時に人は泣くんですね…


記憶と概念はインプットしたけれども。

泣けないのは幸せなのか不幸なのか。

感情がない私にはそれはよくわかりません。

ただ少しだけ「うらやましい」というきもちが理解できるような気がしました。

この短篇集の全て、あるいは一部は予告なく削除される場合があります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ