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【短編ギャグ】新訳・シンデレラ

作者: 野蛮人
掲載日:2026/04/07

昔々あるところに、性格の悪い継母とその娘達にいじめられる、シンデレラという少女がおりました。

ある日、王子様の結婚相手を探す舞踏会が開催されることになり、当然シンデレラも行きたいと言いましたが、「お留守番なさいシンデレイッラ!!」の一言で行けなくなりました。


一人家で泣くシンデレラ。そんな彼女の前に魔女が現れます。


「おい小娘。今から私と城に乗り込むぞ。」


そういうと魔女は適当に呪文を唱えます。


「ビビン・バクエ・ブー」


すると不思議なことに何もなかったところから馬車が現れました。それはかぼちゃの馬車でした。


「あ、あの、魔女さん。かぼちゃの馬車って...。普通の形の馬車にしてほしいのだけれど...。」


「なんで?。おいしそうだからいいじゃない。目立つし、子どもにも人気でるよ。」


「あの...それって良くない目立ち方だと思うんです。いわゆる悪目立ちってやつじゃ...。」


「さっきからゴチャゴチャうるさいね、あんたは『ひ〇ゆき』かい?私を論破しようたってそうはいかないからね!!」


魔女は言う事を聞いてくれないようです。シンデレラの抗議を無視すると、再び呪文を唱えました。


「アバダ・ケバブ!!」


今度はシンデレラのみすぼらしい服が、たちまり美しいドレスに変わりました。これにはシンデレラも大喜びです。

そして魔女は仕上げと言わんばかりに、ガラスで出来た美しい靴を取り出しました。


「さあ、この靴をお履きシンデレラ。世にも美しいガラスで出来た靴だよ。」


しかし、シンデレラはすぐに履こうとしません。何かが気になるようです。


「あ、あの。この靴ってかなり堅そうだけど、履いても大丈夫かしら...。足を痛めたりは...。」


シンデレラの言葉を聞き、たちまち魔女の顔は青ざめました。

「しまった...。そんなこと全く考えていなかった...。」という顔なのです。

魔女の顔をみてシンデレラも青くなっちゃいました。


「ま...まぁとにかく一回履いてごらんよ。案外そこまでひどくないかもしれないからさ...。」


他にまともな靴がないので仕方なくガラスの靴を履くシンデレラ。

しかし案の定というか、まともな中敷きもないガラスの靴はシンデレラの足に激痛をもたらしました。

痛みに耐えて何とか立ち上がるシンデレラ。その健気な様子をみて魔女は喜び叫びました。


「立った!!シンデレラが立った!!痛みに耐えてよく頑張った!!感動した!!」


どこかで聞いたことがあるようなセリフを連呼する魔女を睨み付けながら、シンデレラは怒りと痛みをこらえ話します。


「魔女さん。"ほんとう"に、"いろいろ"と、"お世話"になりました。この"お礼"はいつかしますね。」


「いいってことよ、じゃあシンデレラ。一緒に行こうか。」


「えっ...、あの魔女さんも来るんですか?」


「なんで?。せっかくただ飯が食えるんだから行くに決まってんだろ。いいかい、こういう出会いの場はね、食い物だけ食うのが最適解なんだよ!!」


その時シンデレラは理解しました。なぜ「かぼちゃの馬車」だったのでしょうか。要するにこの魔女は食べ物のことしか頭にないのです。

そして、2人は馬車に乗り、お城に向かいました。

なお、途中ですれ違う馬車を魔女が煽り散らかしたため、何度か事故が起きかけましたが、それはまた別のお話です。


いずれにせよ2人は無事にたどり着きました。

しかし、城につくや否やたちまち異様な雰囲気となりました。


それもそのはず、王子様主催の格式高い舞踏会です。

そのような場に「かぼちゃの馬車」などというおふざけ満開の乗り物で来たのです。

最悪死刑となってもおかしくはありません。


かぼちゃの馬車から誰かが出てきました。

それはガラスの靴の痛みと、魔女への怒りで、憤怒の形相に変わったシンデレラと、

この後の食事が楽しみでニタニタした魔女のコンビです。どう考えても正気の沙汰ではありません。


「じゃあシンデレラ。私は今から食事を楽しんでくるからお前は王子様のハートを仕留めておいで。あと、0時になったら魔法の効果が切れるからあたしと一緒に逃亡するよ!!。」


それだけ言うと魔女は一目散に駆け出しました。

「どきな!!食い物は全部あたしのだよ!!」という声が聞こえましたが、シンデレラはもう無視することにしました。


舞踏会の会場はいかれたコンビ2名の話でもちきりとなりました。

「まず間違いなくアイツらは死刑となるだろう...。」そんな声まで聞こえてくる始末です。

シンデレラの継母達もシンデレラには気が付きましたが、他人のフリをしました。

もし関係者だとバレたら処罰の対象となってしまうからです。


一方そのころ、この異様な雰囲気は控室の王子様にも伝わっていました。


「爺や、どうも会場が騒がしいようだ。」


「ああ、王子様気にしないでください。若干オツムがアレな女が紛れ込んだようです。」


爺やはそういうものの、王子様はどうしてもその女性が気になって仕方ありません。


「いや、一度その女を見てみたい。」


「分かりました、もし気に入らなければ即刻処分しますので、ウィンク☆で合図してください。」


舞踏会の場に、足を踏み入れる王子様。

そこには、ガラスの靴の痛みに耐え、必死に立っているシンデレラがいました。

「可憐な女性が自分のためにガラスの靴まで履いて必死にアピールしている」そう解釈した王子様はますますシンデレラに興味を持ちます。


「すみません...私と一緒に踊っていただけますか...。」


「はっ、はい、よろこんんっ、でぇえ」


痛みに耐え、王子様と踊るシンデレラ。しかしながらその足はついに限界を迎えてしまいました。


「きゃあっ!!」


シンデレラは王子様の方に倒れこみ、胸の中にダイブしました。

しかし王子様はこの行動に大歓喜。シンデレラにメロメロです。


「なんて情熱的な女性なんだ...。私の運命の相手はこの人に違いない...。」


その後もシンデレラと王子様は楽しく過ごしましたが、突如魔女の叫び声が聞こえてきました。


「シンデレラ!!もう0時になっちまうよ。はやくあたしと一緒に逃げるんだよ!!」


シンデレラは我に返りました。これ以上はこの場に居られません。全力で走り...出せませんでした。

ガラスの靴を履いていたからです。


「もうそんな役に立たない不燃ごみは捨てちまいな」


お前のせいだろと思う気持ちを抑え、シンデレラはガラスの靴を2足とも放り投げて走り出します。

王子様が追いかけてきましたが、何とか魔女と一緒に逃亡することに成功しました。


帰り道のこと。

王子様と離れた寂しさで、シンデレラは泣きました。

王宮の食事を食えた嬉しさで、魔女は笑いました。


-----------------------------------------------


それからシンデレラはもとの生活に戻りました。

なお、継母達は舞踏会のことは何も聞いてきませんでした。あまりにも意味が分からなかったからです。

しかし、そんなある日。王宮からある命令が出ました。


「シンデレラを探している。王国の女性は一人残らず広場に集まるように。隠れたものは関係者も含め処罰する。」


このような命令が出ては仕方ありません。継母達 With シンデレラは広場へと向かいました。

そこにはシンデレラが投げ捨てたはずの靴が用意されていました。


「いいか、よく聞け。本物のシンデレラであればこの靴を履いてタップダンスを踊ることが出来るはずだ。名乗り出なさい。」


次々に「自分こそシンデレラだ」と名乗り出る者があらわれましたが、ガラスの靴は次々に挑戦者たちの足を粉☆砕☆していきました。

そしてついにシンデレラの順番がやってきました。


・・・プルプル・・・


まるで生まれたての小鹿のごとくシンデレラの足は震えるも、何とか立つことには成功しました。

しかし、問題はこれからです。何せタップダンスを踊らなくてはいけないからです。

いくら我慢強いシンデレラといえど、これは難しいでしょう。


しかし、その時でしたシンデレラの目に何かが写りました。


「く~。間抜けな偽物の足が粉砕されるのを見ながら飲む酒はうまいねぇ~。あっ、おっちゃんイカゲソ一つ...なんちゃって。ギャハハハハ!!」


間違いありません。自分をダシにして食事を食っていたあの忌まわしき魔女です。


「こんのぉ!!クソ魔女がぁ!!」


怒りに我を忘れ、痛みも忘れ、シンデレラは走りだしました。

その様子を見て皆は叫びます。


「間違いない。あの娘こそシンデレラだ。あんな馬鹿みたいな靴を履いて走れるのだから!!」


こうして、シンデレラは王子様に自分を見つけてもらうことができました。

2人は末永く幸せにくらしましたとさ。

ちなみにお城には、定期的に「あたしはシンデレラ姫の恩人だよ!!」といって食べ物を要求する胡散臭い女性が現れるようにもなったとか。


めでたし、めでたし

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