鍵
短編です
長年かかってようやくたどり着いたダンジョンの最深部。
[途中の宝箱やモンスターを倒して得られる鍵を集めろ]と入り口に書いてあった通り、最深部のでかいドラゴンを倒したら、そこに大きな宝箱が現れた。
「ようやく・・・ようやくだっ」
俺は感動に打ち震えた。
初めはパーティーを組んで、仲間たちと探索していたんだけど、鍵を持っているモンスターがどのくらいいるのか、宝箱がどのくらいあるのか、まったく未知数だったため、細心の注意をはらいつつ、目に入ったモンスターを片っ端から倒して、分かれ道があれば、先が行き止まりだろうと、俺たちは迷わずに寄り道をした。
そのおかげで、鍵は順調に集まったけど、仲間たちは、牛歩並みのダンジョン侵攻に耐え切れなくて、俺の元を離れていった。
一人だってやってやる。そう決意して、ようやくたどり着いた最深部。まさか最後にドラゴンがいるなんて思っていなかったけど、様々なモンスターを倒すことで、俺は結構強くなっていたようだ。おかげで一人でも何とかドラゴンを倒すことはできた。
こんな大きな宝箱の中身、いったい何が入っているんだろう。この中身が、全部俺の、俺だけのもの。そう思うと、頬が勝手に緩んでいく。
「さて」
とバッグの中の鍵を取り出した。ざっと数えて十五本はある。
・・・・。どれだ?
いや、うん、薄々わかってはいたんだけど、コレ、どれがこの箱を開ける鍵なんだろう。いや、普通に考えたら、ドアを開けたりするのに使うだろうけど、まじでここのダンジョンは、一切鍵を使用しなかった。
ドアは押せば開いたし、道中の宝箱は触れたら開いた。だから、この鍵をどこで使うのか全く見当もつかないまま、まぁ入り口の石碑には[集めろ]と書いてあったし、と俺は深く考えずに手に入れた鍵すべてを持ってきたんだけど・・・。宝箱はこの一つ・・・。十五本を試すしかないのか?
げんなりした気持ちを押し込んで、俺はとりあえず同じ色の宝石のハマった鍵を押し込んでみた。案の定開かない。
5種類ほど試したあたりでようやく開いた。なんだ、存外簡単だな、なんて思っていた俺をぶん殴りたい。宝箱の中には、もう一つ、宝箱が入っていた。これ、もしかして・・・十五個分あるってこと?
次の箱に合う鍵を見つけるのにまた一本ずつ試す。今度は十本分かかった。俺は何をやらされてるんだろう。
次の箱も、次の箱も、開けたら次の箱が出てくるだけ。だんだんイライラが募る。
十個目の箱は、もうだいぶ小さくなっていた。
最初の箱は、人が三人くらい入っても問題なさそうなサイズ感だったのに・・・ここまで来るともう普通の宝箱よりも小さいんじゃないだろうか。
イライラしつつも、残りの五本の鍵を試していくしかない。
まあ試すのはあと五本だ、長い戦いもようやく終わりが見えてくる。
箱を開けると、[あともう少し!]と書かれた紙が入っていた。
「うるせえな・・・」
そんな言葉をかけられたとて、何の喜びも感じない。でもこんなメモは今までなかったことだ。俺は終わりが近いことを悟った。
4、3、2、1・・・。ようやく最後の箱を開けると、婚約指輪を入れるようなサイズ感の箱が現れた。
「やっと、やっとだ!!」
そう思って箱をじっくり見回すと、小さな鍵穴があった。
「え・・・」
コレ開けるのにも鍵必要なの?
——ふざけんなよぉ——
何だよぉ!ばかぁ!( ノД`)シクシク…




