第21話 「権利擁護(アドボカシー)と奴隷制度という名の闇」
元兵士の地域移行支援が成功し、悠斗の支援事業所『悠悠自適』は、王国の公的な福祉機関として確固たる地位を築いた。悠斗は、これまでの成功を足がかりに、この世界に根付く最大の構造的な闇に挑む決意を固めた。
「この王国から、『奴隷制度』を根絶する」
奴隷は、その全てが『自己決定権を剥奪された利用者』であり、悠斗の支援理念の対極に位置する存在だった。
悠斗は、王都の地下深くにある、最大の奴隷市場へと潜入した。そこで目にした光景は、前世のブラック施設よりもさらに凄惨だった。
「これは……人間を『資源』として管理しているだけだ」
奴隷たちは、疲弊しきり、精神的に完全に絶望していた。彼らには、『個別支援計画』どころか、『人間としての尊厳』さえ存在しなかった。
悠斗の脳内で、【障害福祉サービス:神級】スキルが、奴隷制度の構造を解析した。
【制度構造解析:奴隷制度】 【経営理念:無限の労働力と安価な資産確保】 【問題点:人権剥奪、自己決定権の欠如、心身の機能低下(LVMAX)】 【制度的防御:貴族の私有財産権、王国の法律】
「やはり、敵は貴族の『私有財産権』と、それを守る『法律』だ。この闇を打ち破るには、『個人の尊厳』と『経済的な合理性』の両面から、法律そのものを上書きするしかない」
悠斗は、新たな支援戦略を策定した。それは、奴隷を解放するだけでなく、『奴隷を所有する貴族』にも利益をもたらし、自ら奴隷制度を放棄させるという、狂気的な計画だった。
「フィオナ、我々は、『奴隷の解放』ではなく、『奴隷の自立支援』を王国の公式プロジェクトとして提案する」
「奴隷の自立支援、ですか?」フィオナが驚いて聞き返した。
「ああ。奴隷を解放した後の彼らを、我々の『就労継続支援B型』や『共同受注ネットワーク』に組み込み、『高付加価値なプロの労働力』として再生させる。貴族が奴隷として使役するよりも、『支援サービスを提供することで得られる利益』の方が、遥かに大きくなるように、制度を設計する」
これは、悠斗がこれまでに培った『工賃革命』と『制度設計』の集大成だった。
悠斗は、まず奴隷所有者の貴族で、最も経済的に困窮している男、ヴィンセント子爵に接触した。
ヴィンセントは、数百人の奴隷を所有していたが、その維持費と非効率な労働力のために、財政は火の車だった。
「ヴィンセント子爵。あなたの奴隷を、解放してください」悠斗は言った。
「馬鹿な! 彼らは私の財産だ! 貴様の言う『福祉』とやらのために、私の全財産を捨てろというのか!」
「いいえ。あなたの財産を、『未来への投資』に変えるのです」
悠斗は、フィオナが緻密に算出した『奴隷一人あたりの潜在的収益』を提示した。
「奴隷一人あたりの年間収益は、奴隷の維持費と劣悪な労働効率のせいで、銀貨100枚にも満たない。しかし、我々の【就労移行支援】を受ければ、彼らは『専門職』として再生し、あなたの懐に、一人あたり金貨50枚の収益をもたらします」
「そんな馬鹿な!?」
「これは、慈善ではない。合理的なビジネスです。奴隷を解放し、我々の『支援サービス』の対象とすることで、子爵は、『非効率な私有財産』を、『王国の支援制度から利益を生み出す権利』へと変換できるのです」
この提案は、奴隷を所有するよりも、『奴隷を支援する権利』を売る方が儲かるという、極めて合理的な仕組みだった。
悠斗は、最後に最強の武器を抜いた。
「【障害福祉サービス:神級】――権利擁護法!」
悠斗のスキルが、王国の『貴族法』と『私有財産法』に干渉し、「支援を拒否するよりも、支援を受け入れる方が経済的に優位である」という、新たな『経済的人権条項』を強制的に付帯させた。
ヴィンセント子爵は、その合理性と、法的な圧力に抗えず、震える手で奴隷解放の契約書にサインした。
こうして、異世界最大の闇である「奴隷制度」は、悠斗の『経済的な自立支援』という名のチートによって、内側から崩壊を始めたのだった。
どもー、作者です!ついに来ました、「奴隷制度」との決戦!
この物語のクライマックスにふさわしい、究極の『人権擁護』スキルを発動させました!悠斗くんの理念は一貫しています。「感情論ではなく、制度と経済合理性で、社会の闇を合法的に打ち破る」ことです。
奴隷を支援対象者にする方が、奴隷として所有するよりも儲かるという、このチート級の制度設計は、奴隷制度という巨大な壁を打ち破る唯一の方法でした。
これで、王国の貴族たちは、次々と奴隷を解放し、『悠悠自適』の支援サービスに委託する流れが生まれるでしょう。
次回は、解放された元奴隷たちの支援と、その後の王国の変化を描き、物語を大団円へと導きます!最高のラストに向けて、邁進します!
また次話で会いましょう!感想と評価、お待ちしてます!




