アニメ「チ。」を見ての雑感 その2
アニメ「チ。」を見ての雑感 その2です。
ネタバレがありますので、注意お願いします。
前回配信サービスが14話という中途半端な終わり方をしていたのですが、何か大人の事情なのでしょう。急に15話以降が公開されたので見始めました。
残酷な現実と奇妙なロジックが交錯していきます。
時代の変革期で羅針盤と活版印刷と火薬が同時期に世界を変えていく時代と重なっていく。時代の変革期、キリスト教を中心とする特殊な状況下で起こったことと変遷する世界。
とりあえずのストーリーの流れは見えてきたが、最初に登場する異端審問官と異端思想の娘との直接対決は回避されてしまった。それが現実であったと歴史を語るのであればそれで良いけれども、そこはフィクションだろう。対峙しないと物語として肩透かしを食らった気分だ。一応娘の存在に気づいたような表現は入っているが対決も和解もない。
セリフは多くない。登場人物は入れ替わり時代も変わっていく。そこで示されるのは世界に対する姿勢、思想そのものであり、これまでの物語では隠されていたテーマみたいなものの枝葉のないそのものを露出することでストレートに語りかけているようにも見える。
この中には共感する部分もあるけれども、最初の主人公に感じた違和感、信念を貫くための死を選択するという行動が繰り返されるのが気になる。これはある意味テロリストの思想だ。語られる思想のどれもが原理主義であり危険な香りを漂わせている。
この物語では創造神を否定するのではないかと危惧していたが、こちらも肩透かしを食らう。現在の宗教の考え方に近い思想が語られ、過去の考え方を否定する。
危険なのは原理主義だ。その宗教思想信念こそが世界を貫いておりそれ以外は間違いであるとする原理主義になると他を排除しなければならなくなる。容認できなくなる。その勢力が権力を持ってしまうと残酷な世界を作り出してしまう。
最初から具体的な地名などは気にしていなかったが、最終的に歴史上の有名人コペルニクスに繋がるところで終わっていた。本来の物語がどう続いているのかは知らないが、そこにリアルな歴史を繋がれると違和感がある。
NHKアニメでありたぶん若い人にはある程度のインパクトがあったのだろうと思うが、どうも人が死に過ぎるのが気になる。現実の世界は残酷ではあるが希望や救いも欲しい。間違っても信念の為に命を落としておいて、それを希望や救いとして欲しくない。そう勘違いして欲しくない。
そういう意味でこのアニメはお勧めしたくない。