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奇才家三女の政略結婚  作者: 鳴木 空
1章 ある屋敷にて
8/47

8 ニヤリ

 コンコンコン

 

「フレデリカ様、起きていらっしゃるでしょうか」


 呼ばれた気がして目を覚ます。見慣れぬ天幕が張られたベットから起き上がると、そういえばここはムニリア公爵家だったことを思い出す。



 昨日は慣れない環境で圧迫面接されたため横になったらすぐに寝てしまったのだった。


 そんな事を考えながらベットから降り、扉を開ける。


「あ、おはようございます!フレデリカ様。昨日はよく眠れましたか?」

「うん、お陰で快眠だったよ」

「‥‥‥それはよかったです!そろそろ朝食が出来るので支度の手伝いに伺いました!」

「ありがとう、よろしくお願いします」


 そういえばこの寝間着、少し布が薄い。朝はまだ少し寒いので今日からは生地の違う服にしてもらうか、実家から持ってきたものにしよう。


 顔を洗い、スキンケアをして緑色の動きやすいドレスに着替える。

 私はあまり自身の髪と同じ色をした服を着るのは好きではないが、アリーの熱に押されて負けた。


 侍女とはいえこれ以上彼女に迷惑をかけるわけにはいかない。



 そしてアリーが髪の毛を整え結き、メイクを薄くしてもらった。


 アリーは本当に美容関連が得意なようで短時間で髪の毛をまとめ、ふんわりとした三つあみをしてくれた。


「フレデリカ様は元が整っているので化粧を厚くし過ぎるとあまり良さが引き立たないと思うんです!」

「確かにお母様も薄くのせる程度だったなぁ」


 私は髪の色や背丈は違うがそれを抜きにすれば母と瓜二つである。お母様の方が身長が高いが、よく影武者として髪を染め、面倒事を押し付けられていた。

 なので身体能力は別としてお母様のマネは得意である。



「完成しました!これで旦那様もフレデリカ様の魅力に慄いてしまいますね!」

「絶対にないと思うけど‥‥‥」



 公爵様が私に惹かれる以前に私が公爵様とそのような関係になろうと思っていない。

 それよりも奇才目的であろう彼にどう誤魔化しながら、公爵家へ利益をもたらすか考えることの方が重要だ。




 準備が終わったので食堂に向かう。アリーによるともう公爵様は食事を始めているらしい。


「おはようございます、公爵様」

「ああ」


 公爵様は顔を上げると何故か不機嫌そうに眉を少しひそめた。


 ん、なんで?もしかして私の顔なぞ見たくないのか。それとも既に奇才が無いことがバレたのか。

 


 あまり彼に顔を見せないようにするため、冷や汗をかきながら後に控えるアリーに視線を向ける


 

 すると彼女は笑顔で公爵様を見つめていた。


 え、なんで?私の視線に気づいたのか直ぐに表情は整えたが、あれは‥‥強いて言うなら挑発、自慢にも似ていた。



 この家、クセの強い人多いなぁ



 このような時、奇才家とも社交界1の性格破綻家とも呼ばれる実家のことは全く頭に無いフレデリカであった。



 もう大方食べ終わっていた公爵様は途中で退席し、王宮へ向かった。


 見送りは不要と言われたのでそのまま一人で朝食を済ませ、今日の予定について考える。


「流石に来て2日目でお仕事をしてもらうのは負担でしょうので、今日明日はフレデリカ様のご自由に過ごして良いそうですよ」

「そうなのね」


 

 好きなこと、自由なことか‥‥

 


 それが見つかればどれ程気が楽か。家族と対等に並ぶことが出来たならば‥‥‥


 分からない。私は何をしようか


 「書斎で本を読むのも良いですし、ご趣味があればそれをなさっても構いません!ただ、我々は仕事があるので付きっきりではいれませんが‥‥」

 

 

 仕事、使用人‥‥


 

 あっそっか、家でいつもやってきたことをしよう!少し賭けだが、あれを把握するには丁度良いかもしれない


 少しの間、この後の行動から導き出される結果を考える。


「大丈夫だよ、付きっきりに嫌でもなるから」

「はい?」


 素っ頓狂な声を上げるマリーをよそに私は使用人達が集まっている部屋へ向かう


「え、フレデリカ様?」

「あの、まだ準備が‥‥」

「マリーをつけておいた筈ですが‥‥‥」


 困惑する彼らに私は手を前で揃え、自己紹介をする


「本日より臨時でムニリア公爵家使用人となります。ディーカです。まだ不慣れではありますがこれからよろしくお願いします」


 私は顔を上げ、使用人のように笑った



フレデリカ→デリカ→ディーカ

誰も使わないフレデリカの愛称です。フレデリカ曰く「身分を偽る時に丁度良いんだよね」

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