第5話: サウナとオオマグロと、汗臭い友情 !!
——これは、汗と熱と魚臭さにまみれた男たちの、最後の戦いの記録である。
これより、サウナ決戦を開幕 する!
灼熱のサウナに集結したのは、人間と魚人、そしてサウナをこよなく愛する猛者たち。
戦いの舞台は「超巨大サウナ」。
天井の高さは10メートルを超え、中央には灼熱のサウナストーンが鎮座していた。
ひげとおっさんは、オオマグロ様が、大のサウナ好きと聞き、意気投合!
無人島の奥深くにある伝説のサウナに来ていた。
周囲には、魚人の戦士たちが立ち並び、サウナの熱気に負けじと息巻いている。
その中には、かつて戦ったシーラカンスや黄金のタイの姿もあった。
オオマグロ様がゆっくりと立ち上がると、重々しい声が響いた。
「我らはサウナと共に生き、サウナと共に汗をかく者……だが、このサウナを制するのは、真に熱を極めし者のみ!」
魚人たちが一斉に雄叫びを上げる。
「ウオオオオオオ!!!」
「くっせぇ……!」
ひげが鼻をつまむ。
「湿度90%の中で魚の群れが汗をかくと、こんなに生臭くなるのか……」
おっさんは腕を組み、フッと笑った。
「だが、これが俺たちの最後の試練ってわけか……。」
オオマグロ様がヒレを上げ、静かに告げる。
「最強のサウナ戦士を決める……“最後の熱闘”を始める!!」
ドォォォォォン!!!
巨大なバケツが持ち上げられ、サウナストーンに大量の水が注がれた。
ジュワァァァァァ!!!!!!
瞬間、地獄のような蒸気がサウナ室全体を包み込み、温度が急上昇する!!
「ぐっ……!!!」
「くっ!……ヤバすぎる……!!!」
視界が歪むほどの高温。
汗が噴き出し、体中が燃えるように熱くなる。
だが——おっさんは、一歩も引かなかった。
「この程度の熱でひるむようじゃ、サウナ歴40年の名が廃る……!!!」
そして——おっさんは、マグロを持ち上げた。
「極熱必殺技!! “マグロ・スチームインパクト”!!!」
おっさんは蒸気をまとったマグロを振り回した!!!
ゴォォォォ!!!!
その熱風がオオマグロ様の正面を襲う!!
だが——
「甘いな……!!!」
オオマグロ様は両腕を広げると、汗と蒸気をまとい、堂々と受け止めた。
「貴様の熱意……確かに伝わった!!!」
「大鮪流・奥義・海蒸し蒸気ィィィ!!」
オオマグロ様を中心に、サウナの蒸気が爆発し、全員が吹き飛ぶ!!!
——そして、気がつくと。
「勝負は…………?」
ひげがゆっくりと体を起こし、隣に倒れているおっさんを見る。
オオマグロ様も膝をつき、息を荒げていた。
サウナの戦士たちが、静かにその場を見守る。
すると——オオマグロ様は、にやりと笑った。
「これほどまでに熱を極めた人間がいるとはな……ひげ、おっさん……お前たちこそ、真のサウナ戦士だ。」
ひげとおっさんは、お互いを見つめ、微笑む。
「……認めてくれたか。」
オオマグロ様は立ち上がり、ひげとおっさんに手を差し伸べた。
「今日から、お前たちは“魚王熱波者”フィッシュ・キング・ロウリュだ……!」
サウナの中に、歓声が響き渡る。
帰還! そして、新たな戦いへ——
数日後——
ひげとおっさんは、ついに本土へ帰還した。
魚船の上で、二人は並んで座る。
「なぁ、おっさん……帰ったら、まず何をする?」
「決まってるだろ。」
おっさんは、遠くを見つめながら、ポツリと呟いた。
「サウナだ。」
ひげは噴き出すように笑った。
「結局、それだな!」
「当然だ。俺の人生は、汗と共にある。」
二人は海風に吹かれながら、目の前に広がる陸地を見据えた。