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第九十八話 『甘いジャムとまずい状況』

 魔術師のような風貌の女の子は、足早にその場を後にした。

 オレは、つい気になって彼女の背中を見送る。


 ……なんだったんだろう、あの娘。

 人間には見えるけど――

 胸元の赤い宝石が妙に気になった。


 年齢も読めない。

 見た目は十五、六くらい。

 けれど、大人びた仕草もあって――


 ……少し、変わった子だったな。


 うーん、正体はまったくわからない。


「……はっ!」


 しまった、ヒュリエは!?

 気を取られているうちに、どこかへ行ってしまった!


「どこ行ったんだよ……」


 さっきのゴタゴタで、完全に見失っていた。

 だけど、そう遠くへは行っていないはずだ。


「……ったく」


 焦りながらも、辺りを見渡す。


 ほんと……どこいったんだよ……


 ………………いたっ!


 少しカフェに近いスタイルの飲食店で甘味を貪っていた……


「………」


 あいつぅぅ……オレが大変な時に、いいご身分だな! ほんとにっ!


 そんなオレに気づいたのか、手を振ってオレを呼んでいる。


「フィルゥゥ~ こっちだよ。むふぅ~最高ぉ~」


「……っとに……ふぅ」


 なんだかんだ言っても、こいつの無邪気な笑顔にオレは弱い……

 それだけで、なんでも許してしまいそうだ。

 それは、良くも悪くも裏表がないこいつだからなのかもな。


「フィル! このジャムおいしいんだよぉ。ねぇ、食べて食べて」


 まるで、自分だけが知っているお気に入りを誰かに知って欲しそうな感じでオレに勧めてくる。


「まぁ、それじゃあ……ゴクンッ」


 オレは、試しに少し固めのパンに塗って食べてみた。


「……ほんと、うまいなこれ。なんのジャムだ? 持って帰りたいくらいだ」


 ジャムの甘さがしっかりと口の中で広がる。

 ほんのりとした酸味が後から追いかけてくる。

 パンと一緒に食べると、その味わいが一層深く感じられた。


「だよねだよねっ! ふふん♪」


 自分と同じ感想に同意して、嬉しそうだった。


 なんて言う店だ? ここ?


 気になって看板を見てみる。


 ――『ワイルドキャッツ(山猫亭)


 へぇぇ。そんな名前なのか。

 結構、いい名前だな。


 姉さんや兄さん、チスタやアマーリエ様、ほかの人にも買って帰るか。


 ちなみに、少し気になって店の人に何で作っているのか聞いてみた。


 人の良さそうな店のオーナーさん。

 オレたちが美味しそうに食べていたのが嬉しそうで、喜んで教えてくれた。

 

 なんでも、プラム農家の人に伝があるそうだ。

 そして、そのプラムを安く卸してもらっている。

 そのワケは、痛みかけの熟しすぎたものも引き取っているからだそうだ。


 だが、オーナーが言うにはその熟しすぎたのがいいらしい。

 熟しすぎたものは甘さがよく出ている。

 それを新鮮なプラムと混ぜて煮込むと甘さが際立つらしい。


 この世界は砂糖が高いため、こうすれば単価を抑えられると言っていた。


 農家は売り物にならないものを引き取ってくれる。

 店はそれで、プラムを安く買える。

 どちらにとってもいい契約なのだそうだ。


 だからなのか、この店、お客が多い。

 元々、食事処のようなのだが、このジャムは人気があるのだそうだ。


 たしかに、納得できる美味さがある。

 人気が出るのも納得が出来た。


 けれども……


「……おまえ……それにしても、食いすぎじゃないですかね……?」


「それは……あたりが出なくて、むしゃくしゃして……やっと、収まったのだから、思い出させないでよっ! もう! ああ、思い出したら、また食べたくなったっ! もうひと皿おねがいします!」


「おおおおい! おまえ……」


「いいじゃないっ! これくらい! ふん!」


 ……っとに……


「はいはい、それを食べたら帰るぞ。いいな」


「うんっ!」


 そういう、ヒュリエの笑顔は輝いていた。

 

 そして、さいごにジャムをいれた紅茶もつけてくれた。


 「これ、紅茶も美味いよなぁ……」


 フィルが紅茶を口に含む。

 すると、ほんのり甘いジャムの風味が紅茶の香り。

 それが一緒に広がり、思わずうっとりとした。


 ヒュリエも気に入ったのか「またこようね」と言い出した。


「この紅茶はサービスですよ。こんな美味しそうに食べてくれたら満足ですよ」


 そう言ってくれた。


「それじゃあ、フィル、代金おねがいね。ん~ふふ♪」


 はいはい……


 少し、億劫なオレだが今回はこんなに美味いものを食べれたことに満足して、支払うのがそれほどいやじゃない。


 人って、なにかに納得したら財布の紐が緩むねぇ。

 などと、そう思ってしまった。


「………」


 のだが……


「あ、あれ……?」


 そのオレの慌てぶりにヒュリエが気づいて尋ねる。


「フィル、どうしたの?」


「え、あ……いや……その……財布がない……」


「え……ど、どうするの?」


「どうしようか……?」


 なんでだ!?

 どこかで落としたのか!?


 どこで!?


「……はっ!?」


 ……もしかして、あの時かっ!?


 あの冒険者ギルドのところでぶつかった拍子にでも落としたの……か?


 いや、今はこの状況をどうするかだ……


 店主は穏やかな笑顔を浮かべている。

 だが、フィルの動揺に気づいた様子で、少し首を傾げた。


 フィルは焦りながらも何度も周りを見渡した。

 そして、座っている客や棚の隙間に目を凝らす。

 だが、財布は見当たらない。


 見つからないオレの焦燥にヒュリエも動揺していた。


 どうする? どうする? どうすればいい?


 オレは何も思い浮かばないまま、しばらく立ち尽くすのだった。

ワイルドキャッツ――


結構古いパチスロの筐体ですが有名なので、知ってる方がいるかもですね。


これ、貯金方式の裏モノでした。

ただ、貯金といっても今の筐体とかと違い。

たしか、二千分の一くらいだったかな。

その貯金解除フラグを引くと、筐体に溜まっていたボーナスを全放出するんですよね。

2千ゲームとかハマっている台があれば、胸アツになりますよ(藁


ちなみに、二百分の一くらいだったかな?

のビックボーナスのフラグを引いた時にすべてのリールでビタ押しをするとビックを獲得できます。

が、いつフラグが立つかわからない状態で毎ゲーム、ビタ押しはできませんよ(`・ω・´)


まぁ、そんな古い筐体の豆知識です。

使い道はありませんが(・ω・`)


でも、名前の響きが好きなので、店の名前にしてみました。



そんな、作者ですが、これからもよろしくお願いします。

それから、意見などがあれば、気軽にお願いします。


また、誤字脱字の報告、感想などもお待ちしております。

そして、面白ければ★、ブックマークなどをポチって頂ければ、目汁流して喜びます。

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