第八十五話 『オーバライド・ルイン』
――『ディノベイダー』――
群れをなして襲ってきている中型の土龍の名だ。
オレは兄さんに魔獣の特徴を伝えた。
すると、そう魔獣の名前を教えてくれた。
基本的には山岳の中腹あたりに生息する。
そうそう、人里には降りては来ない。
だが、希に群れをなして襲撃された文献もあるらしい。
それが今回だと言うことだ。
恐竜のような容貌で、獲物を噛み砕き狩る。
だが、魔術も使い、口から火球を吐く。
さらには、魔力を帯びた咆哮で攻撃を仕掛けてくることもあるという――
――プロトコル・アクティベート!
ストライカーの瞳が紅く閃いた。
次の瞬間、静寂を裂くように戦闘が幕を開けた。
「まずは、ミューオン誘導レーザーで先制します。数体の敵を分割補足して発射します。そこで、タキオンセンサーを発動しますが……フィル、少しの間我慢してください。そして、ロックオンサイトの全てが赤くなれば、引き金を引いてください」
「わ、わかった」
オレは、ストライカーの指示に従う。
だが……少しの間我慢ってなんだ?
タキオンは前にストライカーが説明してくれたからわかるが……
どうなるってんだ?
と、考えていると、ストライカーがレーザー照射の準備を始めた。
右腕の砲台が展開した。
そこから出てきたコードのピンプラグを腰部のポートに差し込む。
それと同時に、腰部ユニットの内部で高圧縮コンデンサーが駆動を始めた音が響いた。
レーザーや超電導兵装に必要な膨大な電力は、この超高圧縮コンデンサーによって賄われている。 電子基板に使われていたミューオンが崩壊した際に発生するエネルギーは、電子とニュートリノに分かれたうえで、効率よく変換され蓄積されるのだ。
ストライカーは、そのエネルギーを必要なタイミングで正確に取り出し、照射系統に送り込んでいく。
そして――
「タキオンセンサー。イグニッションッ!」
ストライカーが告げる。
――ビリッ……!
頭の奥で何かが破れるような衝撃音が響いた。
――キィィィィィ……ンッ!
高周波の音が耳を突き抜け、視界がグラグラと揺れる。
世界が――ズブゥ……ズブゥ……と粘つく。
そんな感覚が何層にも重なって滲んでいく。
レンズ越しに見るような……
いや、まるで脳そのものがバグっているような感覚だった。
なんだこれっ!
ぐっ……頭が痛い……
しかも、視界がおかしくて吐きそうだ……
敵も地面も空も、全てが……
何重にも重なって揺れているように見える……
どうなっている……
「なんだ、これ……どうなっているストライカー……?」
「今は説明している暇がありません! 目標の補足に集中してください!」
「わ、わかったよ……ぐっ……」
オレは言われた通りに、標的を捉えようとする。
意識をかき乱す痛み――
だが、オレは歯を食いしばる。
そして、すべての標的を補足し終えた。
その瞬間、オレはトリガーを――引いた!
* * *
平原に張り出した岩肌を踏みつけたっ!
ストライカーは跳ねるように加速する!
緑に染まる大地が高速で後方に流れる。
風が裂ける音とともに、ストライカーはディノベイダーの群れへ――突っ込んだ。
敵も気づいたのか、数体が口を開けた。
次の瞬間、火球が三連で撃ち出される。
――ゴオオォォッ!
三発の火球が唸りを上げて飛来する。
ストライカーは「シュバッ!」と滑るようにリニア移動で回避。
火球が地面に着弾する!
――ドガァンッ!! ボゴォォォッ!!
と爆裂し、地面が「メリメリッ」と盛り上がった。
煙と炎が渦を巻き、大地をえぐる!
「回避成功。敵補足、継続」
すれ違いざま、右腕のレーザー砲が閃光を放つ。
――バシュゥゥゥゥゥッ!!」
赤い閃光が大気を裂く!
焼けるような熱風が前面に押し寄せた。
狙撃の線が「ズパァンッ!」と空を貫く。
と、同時に命中点で「ドゴォォンッ!」と爆裂する!
ディノベイダーの身体が「ビキィッ」「グシャッ」と音を立てて裂け、黒煙と肉片が宙を舞った。
ロックオン済みのターゲットに向けるっ!
九十度の急制動ターンを決め、砲身を正確に向け直す。
重力すら無視したような動き。
その中、レーザーがさらに数本、直線で空間を切り裂くっ!
――刹那。
咆哮すら上げる間もなく、ディノベイダーの身体が崩れ落ちる。
戦場の空気が一瞬、凍りつくように静まった。
群れの中の約半数――十数体が、一撃で沈黙した。
「……っ、すげぇ……」
オレはその光景に息を飲む。
これが、ストライカーの――本当の戦闘能力なのか。
「……う゛っ……き゛も゛ち゛わ゛る゛い゛……」
既にセンサーは切れていた。
それでも、その後遺症のひどさに吐き気が止まらなかった……
「なんだったんだ……あの感覚……うっぷ……」
「……申し訳ありません。あれは現在と五秒後の未来を同時にみていたのです」
「え……?」
「ですので、照準を合わせたのではなく――正確には、五秒後の照準を合わせていました。……私は敵に向かって撃ったのではなく、敵が動いたその先に撃った――つまり、相手に撃ったのではなく、撃ったところに相手が来る。それが、『未来照準』の本質です」
「はぁぁぁ?」
ストライカーの言葉にオレは少し混乱する。
つまりは……相手は回避できないってことか?
なんだよ、それ……無敵感半端ないなっ!
「詳しくは後で説明します。それよりも……」
「ああ、分かっている。もう一度やるのか……?」
この時のオレの顔はすごい嫌そうな顔をしていたんだろうな……
後で、そう思ってしまった。
「いえ。これ以上の負荷はフィルにも厳しいですし、脳が死ぬかもしれません。それに、エネルギー切れです。ここからは通常兵装のレーザーと、超高周波ブレード(マチェット)で対応します」
脳が死ぬ……?
なに、さらっとそんな怖いもの使わせてんだよ……
「戦闘モード、第二段階へ移行します。フィル、作戦続行の意思を確認――応答を」
「あ、ああっ! もうこうなりゃヤケだっ! いつでもいいぞっ!」
「では、次フェーズへ移行します。戦闘開始命令を確認しました――準備完了を認識」
ストライカーは、その圧倒的な火力で初撃から十体を撃破!
だが、残りはまだ十四体。
――戦闘は、まだ終わらない。
『ディノベイダー』――
なんか、響き良くないですか?
わたしは、すごくいい感じがしました。
この名前、実はかなり古いパチスロの筐体名です(`・ω・´)
これを知っている人は、結構なパチスロマニアですね。
打ってみたかったのですが、近くに入ってなくて残念でした(´;ω;`)ウッ…
あの頃のパチスロの筐体名とか、ゲーム性とか独自性の強いものが多かったですね。
それだけに、面白ものがたくさんありました。
出玉が壊れているものもとか、バグとか裏基盤とか多かったですが……
ときたまに、その手の方から名前取ってくるかもですが、その時々にこうやってネタを書こうと思います。
こんな作者ですが、これからもよろしくお願いします。
誤字脱字の報告、感想などもお待ちしております。
また、面白ければ★、ブックマークなどをポチって頂ければ、目汁流して喜びます。




