第八十二話 『急転』
――ストライカーからの緊急連絡が、オレの耳に飛び込んできた。
(方位・北東、距離三キロ。三~五メートル級の生命体、約三十体がこちらへ接近中です! このまま進めば、約十分で到達します!)
(生命体ってなんだっ!?)
(分かりません。ですが、迎撃の準備を整えることを推奨します)
たしかに、何事もなければそれはそれでいい。
だが――三~五メートル級の生命体が三十体も迫っている。
何事もない、なんてことがあるかよ。
オレはそのことを兄さんに伝えた。
すると早速、グリムヘッドに乗り込み魔力探知を始めた。
この世界はレーダーのような探知はない。
野生動物であれば、ローダーや兵士でなんなく追い払える。
また、戦争であれば周囲を警戒するが、平常であれば警備だけで事足りる。
そんな考えがあるため、索敵技術は発展してはいない。
だが、大型、中型魔獣や魔物は別だ。
魔力を持った、魔の名を持つ生物は普通の動物とは違う。
しかも奴らは知恵も持ち、時に群れで動く。
自然界の生き物とはまるで違う存在だ。
魔力により力も耐久力も攻撃力も遥かに凌駕する。
そのため、警戒を強めなければならない。
また、グリムヘッドにしてもローダーにしても、魔力が必要。
そのため、魔力の感知の技術が発展。
グリムヘッドにはそれが備わっている。
この倉庫にも、もちろん設置している。
しかし、範囲は狭く周囲一、二キロ程である。
そのため、未だ皆、危機が迫っていることを知り得なかったのだ。
その時、真っ先に索敵したストライカーの声が響く。
「こちらに驚異が迫っている可能性があります! 直ちに防衛体制の移行を推奨しますっ!」
その声に、整備士、兵士たちにどよめきが起こる。
ストライカーの判断で、安全のために早めの警告を発した。
(おい、いいのか? 怪しまれないか?)
『怪しまれようと、危険が迫っています。それとも、フィルは対応を遅らせて、見殺しにするつもりですか?』
(うっ……たしかに、おまえの言うとおりだよ。たしかに数的に早く手を打たないとまずいよなっ!)
そうだっ……!
オレは、いったい何を迷っていたんだ……っ!
もたもたしてたら――誰かが傷つく。
いや、それだけじゃない……
ヒュリエにもしものことがあったら?
チスタに何かあったら?
ねぇさんや、他の人たちが巻き込まれたら?
そんなの、絶対に――耐えられないっ!
後悔するに決まってる!
できることがあった……
それなのに、何もしなかったなんて――
そんな自分を許せるわけがないっ……!
……だから、動くんだ。今すぐに!
兄さんの1/12(ワン・トゥエルブ)がある!
ストライカーもいるっ!
なら、なんとかできるのではないか!?
だが、問題は……その数だな……
「な、なぁ……ほんとに何かが迫ってきてるのか?」
整備士の一人が訪ねてくる。
「間違いありません。もし、間違えていたとしても、最悪な自体が起こる前になんとか対策をすることを推奨します。何事もなければそれはそれでいいのですから」
「ストライカーの言っていることは本当だ。こっちの魔力探知にも引っかかったっ! わたしは、先に外に出て、体制を整える!」
兄さんはそのまま、1/12(ワン・トゥエルブ)に乗り込み、倉庫の外へと出撃した!
その様子を見てとった、周りの人たちもさらに騒ぎが広がる。
「これは……大変なことになったな……どうやら、おめぇの言うことが正しいようだ! 何かあった後に嘆いても遅いってことだな!?」
「その通りです」
「ならっ! おめぇ~らっ! ローダを動かせるやつは周りの警備をしろっ! 誰か、外の兵士に今の状況を教えてこいっ! 嬢ちゃんらは安全のために倉庫の奥で隠れてな!」
「いやよっ! わたしもたたかうっ!」
威勢良く、言い放ったのはヒュリエだった。
その言葉を聞いたアマーリエは、思わず眉を寄せ、不安げに唇を噛んだ。
チスタとケーニッヒ姉さんも、顔を見合わせて無言のまま小さく頷く。
アマーリエの手元で、握りしめたセンスがわずかに震えていた。
整備場に緊張が走る。
言葉を失った整備士たちの間で、ベルクボッグの顔がみるみる険しくなっていく。
「はあっ!? ガキがなま言ってんじゃねえっ!」
怒声が響いた。
「ガキじゃないっ! わたしの家に伝わる英雄譚『黒い翼』に出てくる、英雄『マドゥーラ』は五歳で魔獣を倒したのよっ!」
「それ、おとぎ話だろうがっ! 現実とは違うっ!」
「ちがわないわっ! わたしだって……!」
ヒュリエは悔しげに唇を噛み、ぐっと拳を握りしめた。
「嬢ちゃん、これは遊びじゃねぇんだぞっ! 相手は魔獣だっ! 中型クラスが複数……おまえみてぇなやつが出て行ったら、足手まといどころか、命が危ねえんだよっ!」
「その通りですよ、お嬢様っ! 相手は魔獣ですよっ! 人の身であれば、数人がかりでしかも魔術師や回復術師も必要になりますっ! お考え直しをっ!」
ラサラさんもヒュリエの暴挙を諌める。
だが……
ヒュリエは拳を握りしめ、二人に負けじと睨み返した。
「それでも、わたしは行くっ! 鍛えてきたのは、こういう時のためよっ! ブラックバード家の者として、逃げるわけにはいかないの!」
それでも二人共一歩も引かず、睨み合いが続く。
おいおい、そんなこと言ってる場合じゃないって……
もう、そこまで近づいてきてるんだ。
ラサラさんとベルクボッグさんの言葉が正しい。
ヒュリエはただ、無謀な子供のワガママだ。
けど……ヒュリエは言っても聞かないだろうし……
むしろ、意固地になるに違いない……
なら……
「ちょ、ちょっと、落ち着きましょうよ。こんなことしている時間もないでしょうし」
「そうは言ってもな……この嬢ちゃんの無茶を止めなきゃ、死んじまうぞ……」
「それは、オレが言い聞かせますから、ベルクボッグさんは皆に指示してください」
そう言うと、しばらく考えて、
「……わかった。ぼうず、くれぐれもバカなことだけはさせないでくれ。死なれちゃ目覚めが悪い」
「わかっています」
それを聴くと、ベルクボッグさんは皆に支持しだした。
「はぁ……さて……と、ヒュリエ……」
「なによっ! フィルも止めるつもり!? わたしはいやよっ! ふんっ!」
……まぁ、そうなるよな……っとにっ!
さて……どう、言い聞かせるかな……
「なぁ、たとえば、ヒュリエが外で戦っているとして、この倉庫の中にも魔獣が入ってくる。そして、キミのお姉さんが襲われたら、どうする? お姉さんだけじゃない。そうなったら、ここにいる皆が危険だ」
「そんなの、外で全部倒せばいいじゃないっ!」
「そうだな。それが出来れば一番いい。けど、今回は数が多い。それに、オレたちは少ない。たとえ、ヒュリエが何体も倒したとしても、五体も相手してたら、一体くらいは抜けてくるんじゃないか?」
「……そ、そんなの……」
「その一体が、入ってきたら、戦えない人たちが危ないとは思わないか?」
「………」
「それで、ヒュリエのお姉さんのアマーリエさんが、亡くなったとしても、ヒュリエはそれでもいいのか?」
「……っ! そ、それはいやだ……」
「だろ。なら、ヒュリエはこの倉庫に残って、もし魔獣が中に入ってきたら、みんなを守ってほしいんだ。それでも、ダメか?」
「……ダメじゃ……ない。わかったわ。わたしはここでみんなを守るわっ!」
はぁぁぁ……分かってくれた……
ほんとに……手間がかかる。
「……フィル様、お嬢様の説得ありがとうございます。当主に代わりお礼申し上げます」
「い、いえ、当然のことですよ」
ラサラさんはオレに小声でお礼を言ってくれた。
「わたしも、お嬢様と共にここで皆をお守りします」
「そうしてくれると助かります」
ラサラさんが護衛してくれるなら、安心出来るな……
いや……それでも、ここに魔獣が入ってきたら、ほんとに戦いそうなのだが……
うう~ん……もう少し、何かあれば……
「………」
なにか、身を守るものが……
「……あっ!」
そうだっ!
あのストライカーのアーマーっ!
あれをヒュリエに装着してもらうか?
あと、もうひとつのインナーはチスタにでも。
そうだよっ!
チスタは回復魔術が使えるじゃないかっ!
なら、安全に回復してもらうためにもチスタにも装着してもらえばいいんだっ!
オレは、そう考えると早速、行動に移すのだった。
バーチャロンはフォースに一番はまっていた作者です。
E1ライデン……大好きです(`・ω・´)
どちらかと、いうと重量級が好きです。
硬い、痛い、うざい……だいすきです。
対戦ではガンマ……嫌いでした……
とにかく当てれないっ!
イライラする。
あの、近接のターボ、カンチョウが大っ嫌いでした(まる
ダブルロックオン外しのターボセンターの二択がうざい!
だけど、いざガンマを使ってみるとすごい大変で、そっと使わなくなりました。
ちょっと、思い出はここまでで、今回キャラをたくさん出すと大変ということが、嫌というほど思い知りました……
人が多すぎて、他のアマーリエやケーニッヒとかチスタとか、書く余裕がありませんでした……
ほんと……こう、キャラがいっぱい出ていると大変ですね……
誤字脱字の報告、感想などもお待ちしております。
また、面白ければ★、ブックマークなどをポチって頂ければ、目汁流して喜びます。




