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第四十七話 『夜に響く声』

 ストライカーの浮遊システムを起動し、ゆっくりと上昇する。


 ふわり、と身体が軽くなる感覚。


「なんか、怖いな……ふらふらする……」


「サポートします。フィルは操縦桿を固定だけしててください。あとはわたしの方でコントロールします」


「………なんか、まるでダメな子みたいな感じだな。おい……」


「フィルの飛行経験:ゼロ。よって操縦不可。指示:操縦桿を持つだけでOK」


「くっ……」


 だが、ストライカーの言うとおりだ。


 飛行の訓練もなく、こんな状態でやれるワケがない。


 確かに、最近は操縦技術がSランクに到達した。

 だが、それはあくまで地上での話だ。


 だから、今は大人しくストライカーの指示に従ってやる!



 ―――移動中。


 六メートルほどの高さ――建物の二階より少し高い位置に達する。

 すると、祭り前夜の大通りの様子が一望できた。


 提灯の光が連なり、屋台の香ばしい匂いが夜風に混じる。

 人々の笑い声、楽団の演奏、道化師のパフォーマンス――街はまるで別世界のように浮かれ騒いでいた。


「……楽しそうだな」


 けれど、その賑やかな通りから少し外れた場所では、まったく異なる空気が流れていた。


 帝国製のグリムヘッドが、街のお大通りの広場で屹立している。


 その周囲には、槍と盾を構えた兵士たちが警戒態勢を取っていた。


 彼らの視線は、常に周囲を見張っている。


(やっぱり、警備が厳重だな……)


 当然か。


 グリムヘッドは、ただの象徴ではない。

 「圧倒的な力」があることを示している。

 そして、その力で人々を守りもするが倒すこともある……


 それだけに国でも厳重に管理されている。


 しかし、そんな物に何か不備があれば死罪にもなりかねないよな……


 それだけの兵器を見張るんだ。

 生半可な警備じゃないだろう。


(……だが、その視線にも「穴」はある)


 ストライカーの視覚システムが、グリムヘッドの死角と兵士の巡回ルートの隙間を計算する。


 いわゆる「デッドスペース」。


 そこに、オレは静かに身を滑り込ませた。


 光学迷彩の効果もあり、ストライカーの影は夜の闇に溶け込んでいく。


 視線の網を縫うように、静かに移動する。


 グリムヘッドの脚部――その真下の空間は、彼らにとって「認識されない領域」 だった。

 兵士の目も、その上を向くことはない。


 まるで、影のように。


(……今のところ、問題なし)


 オレは息を殺し、ゆっくりとストライカーを前へ進めた――


「ここで、大丈夫そうか?」


「解答:特等席ですね。では、少し準備して解析に移ることにします。これには時間がかかりますので、フィルは一旦屋敷に戻ることをおすすめします」


 オレはその提案に不安を覚える。

 こんな場所に何時間もいるつもりなのか? 

 本当に大丈夫なのか?


 もし警備に見つかれば――とんでもないことになる。


「……おまえ、本当に大丈夫か?」


「警備の兵は舐めプしないで監視をしていますので、大丈夫です。もし接近されても、二メートルほどならイオンクラフトで光学迷彩を維持したまま浮き上がれます」


 う、うーん……不安は拭えない。

 ストライカーを信頼するべきか?


「………」


 たしかに、俺がここに残ったところで、できることはない。

 結局、ストライカーの計画通りにしか動けないのなら、いてもいなくても変わらない。


「分かった。それじゃあ、戻るよ」


「了――その前に、フィルにはこれを」


 ストライカーが差し出したのは、A・M(アーマード・スーツ)の一部――手足だけの装甲だった。


「フィルは今、インナースーツを着用していますよね?」


「まぁ、してるな」


「なら、安全確保のために装着を推奨します。屋敷に戻るには夜が遅く、多少の無茶が必要と推測。用心のためにもどうぞ」


「フルアーマーじゃダメなのか?」


「解答:そんなに目立ちたいですか?」


「い、いや……分かった」


「一部だけでも十分な効果がありますので、ご安全に」


「分かった。おまえも気をつけろよ」


「了――当然です。わたしはヘマをしません」


「………」


 信用ならない……

 ま、いい。


「じゃあな」


「了――」


 オレは静かにハッチを開け、周囲を確認する。

 アーマーの能力を解放し、一気にジャンプ。

 物陰に身を潜め、警備の様子を伺う。


「……よし、大丈夫だな」


 見つかっていないことを確認し、そのまま離脱。

 アーマーの能力もオフにする。


 ……しかし、こんな時間に子供が歩いていて平気なのか?


「………」


 ま、まぁ、そのためのアーマーだ。


 屋敷へ向かって歩いていた。

 そんな時、あちこちから屋台の香ばしい匂いが漂ってきた。


 これは……やばい……


 オレ、夕飯ほとんど食べてないんですけど……


 腹の虫に負け、屋台で肉串を二本購入。


 トロトロのタレが絡んだ肉の香ばしい匂いが鼻をくすぐる。


 ――ゴクリ。


 たまらない……!


 と、その瞬間。


「キャァァァ!! 離しなさいよっ!」


 黄色い悲鳴が響いた。


 ……よりによって今か?


 オレは肉串を見つめ、心の中で嘆いた。

やっとヒロインが出ます(・ω・`)

50話近くまで来てやっと出るって、普通ありえないですよね。

自分でも笑っちゃいました(*´∀`*)


もっと早い段階で無理やり出すことも可能だとは思いましたが、作者自身が納得しない場所で出しても、なんだか嘘臭くなりそうで、物語の歪みも怖くて出せませんでした。


後、他のエピソードが思いの外、長くなりすぎたのもあります。


ごめんなさい。


こんなヒロインなしで、今まで読んでくれた皆様ありがとうございますm(_)m

これからも、励みますので応援おねがいします。


誤字脱字の報告、感想などもお待ちしております。


また、面白ければ★、ブックマークなどをポチって頂ければ、目汁流して喜びます。

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