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第四十三話 『AI、舐めプを学ぶ』

 陽の光を反射してキラキラと輝く『グリムヘッド』の外装の欠片。


 姉さんが持っていたペンダント。

 ストライカーの光学センサーでは探知できないという事実が明らかになった。


「問:この物質の構成はなんなのでしょう?  これでは、わたしの探知能力を大きく阻害される可能性があります。早急に対策を行う必要があります」


「へぇ、これがそんなに凄いんだ」


 オレが姉さんにペンダントを返すと、まじまじと観察し始めた姉さんが呟いた。


「解答:これは……非常に危険です。これを使われたら、探知不能=ステルス性能を得られます。もし敵がこれを使えば、探知能力が大きく低下し、戦術的に致命的なリスクになる……いや、ほぼ確実に」


「『1/12(ワントゥエルブ)』って、そんなに凄いんだね」


「否:外装が凄いのです。ほんとに何を使っているのでしょうか? 興味深いです。それに、先ほど『機体』と仰っていましたが、それは兵器なのですか?」


「みたいだよ。大型の魔獣を駆除したり、どこかの戦争で使われたりしたって聞いたことがあるかな」


「問:わたしを『小さいグリムヘッド』と呼んでいましたが、その兵器はわたし同様に人型なのでしょうか?」


「そうだね」


「驚:驚きました。このような時代に二足歩行兵器が存在することが不思議でなりません。どのようなメカニズムなのでしょうか? 興味深い……一度、見ることは叶うのでしょうか?」


「う~~~ん……それは難しいんじゃないかな? 東の離れの向こうに建物の中に入ってるけど、警備が厳重だしね」


「問題無:光学迷彩を使えば……」


 ストライカーがそう言いかけた瞬間、オレはすぐに止めた。


「まてっ! それはまずい! 見つかったらどうするんだっ!」


「問題無:このわたしがそんなヘマなんてしません」


 探知をサボって舐めプしていたヤツのどの口が言うのかっ! って、いいたくなった!


「えっ! 行くのっ!? ボクも行きたいっ!!」


 姉さんが反応した。その食いつき方にオレは頭を抱えた。


「いやいやいや! ほんと、止めてくれってっ!」


「「ええっ!」」


「そこっ! ハモらなくていいっ!」


「ダメ! ダメだって! 絶対にダメ! ダメ! 絶対!!」


「「なんでなんでなんでっ!」」


 こいつらぁぁぁ……!


 姉さんはともかくっ!


 ストライカーは絶対にこの状況を楽しんでるだろっ!


 だけど……なんとかなだめないと、オレがいないうちにこっそり見に行きそうな勢いだ……


 ストライカーなんか、今でも舐めプしてるぽいし、間違いなく勝手にいってもおかしくない……


 なにか……なにか……あきらめさせる方法がないのかっ! 


 うう~ん……んんっ……むぅぅぅ……あっ……これなら?



「なぁ、姉さんは知ってるよね?」


「なにを?」


「近々、兄さんの功績を称えて『英雄祭』を行うことになってるのを」


「ああ。あの嘘くさい噂ね」


 ……ああ、やっぱり嘘くさいと感じるのかぁ。


「ま、まぁ、それの祭りね。そこで、それにちなんで派手にやるそうで『グリムヘッド』も街の中央に飾られて大々的に行うらしいよっ! だから、そこで見ればいいんじゃないかなっ!?」


「……ボクも強制的に参加させられるんですけどぉ……はぁぁぁ、億劫だわぁ……」


「ま、まぁ、姉さんは元がいいからきっと可愛くて、ちやほやされますって……はは」


 ――ボッ!


 と、おべっかを使ってみると姉さんは頬を手で押さえながら、目を逸らして――顔が真っ赤になっていた。


「べべべ別に、かかか可愛くなんてない……っよっ! ででででも、フィルがそそそそう言うなら、見るのはその時でも……その……いいよっ!」


「肯定:分かりました。わたしもその時まで大人しくしていましょう」


「ほっ……」


 良かったぁぁぁ……


 オレは、胸をなでおろし安心するのだった。


「……でも、このストライカー? だっけ? どうやって街まで行くの?」


「解答:ご心配には及びません。きっとフィルが考えてくれるでしょう。でなければ、わたしが勝手にその倉庫とやらに行くことになるのですから」


 ……こいつっ! 脅してきやがったっ!


「わ、わかったよっ! なんとかするよっ!」


「了――それは重畳」


 ほんとにっ! こいつはっ!


「決めたっ! ボク、フィルと一緒に祭りを回るっ!」


 はぁ!?


 みんな、好き勝手いいやがってぇぇぇ!


「姉さんとわたしは、家の体裁のために兄さんたちと一緒に出ないといけないでしょっ!」


「……そうだった……はぁぁぁ……億劫だわぁ……」


 それ、さっきも聞いたんですけどぉ……


「まぁ、いいわ。今日はこれくらいで勘弁してあげる。今度、じっくりこの「ストライカー」ちゃんのことを聞かせてもらうわね。じゃあね~♪」


 と、スキップをしそうなくらいにはしゃぎながら姉さんは戻っていった。


 その姿を見て、一旦は「ほっ」としたが、次のことを考えると鬱になりそうになった……


「はぁぁぁ……おまえ、案外抜けてるんだな……」


「否:それはセンサーのことを言ってるのでしょうか?」


「そうだよ……舐めプしないで全力で探知してれば済んだ話じゃないか?」


「否:このような時代背景の世界で、そのような物質が存在するなどと、どのAIが考えるでしょうか? よって、わたしに非はありません。時代設定がおかしいのですよ」


「……言ってて気付かないか? それを舐めプと言うんだ……」


「………了」


 ストライカーは少し理解したようだった。

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