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元悪役令嬢、悪女皇后を経て良妻賢母を目指す 〜二度目の人生、息子に殺させない〜  作者: 白猫


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13/40

13. 婚約者の絆

 ——私の朝は、皇子妃教育のスケジュール確認から始まる。

 月曜から金曜まで毎日みっちりと詰め込まれるスケジュールは、子供にとって楽なものではない。


 12歳になれば私も、殿下が通う『メラヴィオ学園』に入学することになる。だから学園の勉強が始まる前に、皇子妃教育を可能なかぎり片付けてしまおう——というのが皇室のお考えらしい。


 馬車事件からしばらく『療養中』として妃教育を休んでいたから、今日は授業復帰の日。——ようやくのことである。


 朝食を済ませ、長い回廊を歩いて授業へ向かう。

 薔薇の咲き誇る庭園を見ながら歩く回廊は、美しいけれど静まり返っていて、以前は苦手な場所だったのに——。

 平穏な日々を取り戻した今、喜びと元気がみなぎって、その静けさもまた味わい深く感じるから不思議なものだ。

 今日は授業拒否な気持ちも起きない。

 いや、起きていないと信じたいだけか?


 ——人間というものは勝手なものね。


 そして、殿下と我が父クレメント公爵にお願いした件——義妹リディアの件は、前向きに検討していただけたようだ。

 彼女が皇城で下女として働かせてもらえることとなったのだから、良い結果と考えて間違いないだろう。


 ことの詳細をリディアに話すのは、お父様の役目だそう。

 本人が断るようであれば、その意思を受け入れ、予定どおり修道院送りにするとのことだった。


「クリスティナ様、ぼんやりなさっては内容が頭に入りませんよ!」


 ——おっと!

 リディアのことを考えていたら、うっかり意識を失っていたわ。


「大変申し訳ございません。以後気をつけます」


 このセリフを何度言ったことか?

 人知れず恥じらった私は、しばらくしてアルフォンス殿下が待っていることに気が付いた。——扉に寄りかかる姿もまた麗しい。


「殿下、リディアの件でお待ちですか?」

「違うよ。妃教育に疲れてないか心配になってね。オウルード夫人、私の婚約者はまだ本調子じゃないみたいなんだ。今日のところは、このへんで解放してやってくれないか?」

「殿下の仰せのままに。私はこれにて失礼いたします」

「ティナ、庭園を散歩しないか?」


 ——今回は私が悪いのに、夫人には申し訳ないことをしたわ。


 それにしても殿下、学園はどうしたのかしら?

 今日はまだ水曜日なのに。


「はい殿下。今日はお戻りが早かったですね?」

「今日は行ってないんだ。実はね、アレクシス兄さんの件が解決するまで、私も通学を控えることになって。だから嬉しいことに!ずっと一緒にいられるよ!」


「……殿下、本当はお辛いのでしょう?」

「辛いことだけど、王族として生きていれば……無い話じゃないからね」


 私たちもいずれ大人になれば、王族として今よりもずっと重い責任を与えられる。アルフォンス殿下と私は——王族から離れて爵位を賜ることになるのかしら?——結婚まで残すところ8年程度しかない。


 散歩もそろそろ終わる頃、城の方から殿下の侍従レイが走って来る。

 明らかに何かあった様子だ。

 聞くのが怖いわね——。


「殿下、すぐにお戻りください!パルディア様が保護されました」


 アレクシス第一皇子殿下のお母様——側室のパルディア様がお戻りになったとあらば、しばらくは城内も荒れることだろう。

 どうか浅い傷で済みますように。


「私はもう行かねばならないが、君のところへ仕立て屋が来るだろう?今回も私の瞳の色を使って欲しいんだ」

「はい、喜んで!」


 ——応接室では、既に仕立て屋が待っていた。

 これから仕立ててもらうのは、殿下の14回目の誕生日に身に着けるドレスだ。


 余程のことがなければ、同じ日に正式な婚約発表も行われるそうで。

 こうして一歩ずつ結婚に近付いて行くのだろう。


 今ではもう、一回目の記憶に怯えることもなくなった。

 アルフォンス殿下の婚約者として——将来は妻として、人生の良きパートナーでありたい。


 そう決意を新たにした時、この時の私はまだ——変わりゆく未来を知る由もない。

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