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第十八話 魔法研究機関

 アリアの回復魔法の修行もマンネリ化してきたので、今日は出かけることにした。

 と言っても、もちろん遊びに行くわけではない。また別の修行だ。

「師匠、ここは?」

 アリアが驚くのも無理はない。広い敷地に、高い建物、兵士が地上を巡回するだけでなく、魔法使いが上空を監視する程の警備の厚さ。

 そんなこの建物は王城の隣に位置しており、国としても重要視している施設だというのがひと目でわかる。

 が、外観は別に王城の様に豪華とか新しいということはなく、むしろ壁は古く蔦が這っている。

「ここは、旧王城を転用した魔法研究機関だ」

 そう、王城と比べてきたが、元々王城だったのだ。魔王を討伐した際にリーナが報奨として「魔法を研究する施設」を所望し、王国との研究成果の共有という条件を呑んだことで、王国に魔法研究機関が設立されることになった。

 だが、魔法の研究機関となれば、かなり重要な施設だ。警備もかなりの数がいるだろう。

 一つの新しい魔法が現在の魔法体系を一変させたことは、今まで、少ないが何度かはある。魔法の研究は、それ程に慎重に行わなければならないのだ。

 そこで、魔王が倒された記念にという体で、王城を新築し、旧王城を魔法研究機関にしたのだ。これなら王城か魔法研究機関のどちらかが襲撃されても、もう片方の兵士に応援を呼ぶことができる。

「すまない、リーナに用があってきた。ハヤトだ」

 教会と違い、ここにいるのは殆どが国の人間だ。流石に元勇者が来たからと言って、はしゃいだり、言いふらしたりする者はいないと信じたい。

 警備員に声を掛けると、見事な敬礼で返してきた。

「これはハヤト様。今、リーナ様に取り次ぎますので、それまで待合室でお待ちいただけますでしょうか?」

「ああ、ありがとう」

「待合室までご案内致します」

広い待合室に通される。王城と違って華美ではないが、洗練された品の良い調度品が並ぶ。まあ、魔法研究機関に来るのは国のお偉方だろうから、最低限の礼儀というところか。

 しばらくお茶をもらいながら待っていると、所長室へ通された。

「リーナ様、勇者ハヤト様をお連れしました」

「通して」

 リーナの声で返事があったので、俺達は遠慮せずドアを開ける。

 ドアを開けた向こうは重要な書類が山積みされた部屋だった。それこそ部屋の主が座している椅子辺りしか足の踏み場もないだろう。

 そんな書類へのニオイ移りや変色を構わず煙管を吸っているのは、この魔法研究機関の長にして、元勇者パーティーの魔法使い、リーナ・リドリーだ。

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