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第15話 回復魔法

「回復魔法? 何で? ハヤトが教えればいいじゃない」


「ああ、俺が教えてもいいけど、パーティー内じゃお前が一番の使い手だからな」


 俺がエレンに教えて欲しい理由を言うと、エレンは顔を赤くして髪をクルクルと弄りだした。


「ま、まあ教えてあげてもいいけど」


 どうやら受けてくれるようだ。よかった。


 魔法は使い手毎に癖のようなものがある。悪い師匠に当たると変な癖がつくことがある。


 俺が自分で回復魔法を教えないのもそれが理由だ。


 まあ、唯一自信のあった《火球》の魔法だけは教えたが、あれは魔法を早い段階でかじったほうがいいと思ったから教えたに過ぎない。


 エレンはアリアと対面の椅子に座り、ポケットからメモを取り出し、鉛筆で何やら書き出した。


「いいアリア。魔法は大きく分けて「属性で分ける」方法と、「用途で分ける」方法があるわ。その他にも、規模で分けるなんてのもあるけど、メジャーなのはこの二つ」


 アリアはエレンの書いたメモを受け取ると、フムフムと頷く。


「今回は用途で分ける方法。これはたくさんある魔法を簡単な枠に収める方法よ。大きく分けて「攻撃魔法」「防御魔法」「回復魔法」「妨害魔法」「移動魔法」の五つに分けられるわ。これは人によって差異があるけど、私はこう習ったわ」


 エレンはメモに五つの魔法の種類を書き足していく。


「で、今回教える回復魔法だけど、その名の通り傷を癒やす魔法ね。まずは自分の傷を治す。それができたら他人の傷を治す。それもできたら今度は遠くにいる人の傷を治す。これができたらまあ一人前ね」


「なるほど。でも、魔法というのは一朝一夕には覚わらないのでは?」


「そうね。ハヤト、どのぐらいを目指せばいいの?」


「そうだな、しばらくは王都にいることになっても構わないから、一通り教えてやってくれ」


 回復魔法を使えるのと使えないのでは、冒険での安全性が大きく変わる。一通り覚えておけば、回復役としてパーティーに入ることもできるだろう。


「じゃあ、ちょっと痛いけど、我慢してね」


「え?」


 言うが早いか、エレンはアリアの手を取ると、その人差し指に裁縫用の針を突き刺した。


「っ!?」


「はい、じゃあその傷を回復魔法で治してみて」


 人差し指から血の玉が浮かび上がる。


「いきなりですか」


「アリア、あなた魔力による肉体強化は使えるのよね?」


「はい。この王都までもそれで走ってきました」


「なら、やることはあまり変わらないわ。肉体を活性化させて、再生能力を強化するの」


 アリアは魔力を自分の指に集中し始めた。


「そうそう。まわりの皮膚で傷を塞ぐ感じでね」


「……んん〜!!」


 アリアが魔力を込めると、少しずつ傷が塞がっていく。


 が、これは……。


「失敗ね」


 エレンが言う。別に誰も一発で成功するなんて思っていない。当然の結果だ。


 とはいえ、失敗から学ばなければ成長はない。


「ちょっと魔力込めすぎかな〜。皮膚が分厚くなりすぎてるね」


 エレンが適切なアドバイスをする。


「じゃ、ちょっと削るよ」


「え、な、何を?」


 流石にいきなり針を刺されただけあって、アリアはエレンの行動に臆病になっているな。


「厚くなった皮膚を削るの」


 言うが早いか、エレンは紙やすりでアリアの皮膚の厚くなりすぎた部分を削っていく。


「じゃ、もう一回ね」


 そしてまた、指に針を刺されるのだった。

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