神様に一番近い少年
僕の父は神様と呼ばれる。
人間を造りだし、殺し、同じ事を繰り返している。
彼は死神にココロを中途半端に与え、余計な感情を持つ死神を“無”へ送る。
その余計な感情の持ち主は、小さな少女だった。
皆に平等で、残酷で、絶対唯一の父。
僕は父に初めて反抗することになる。
弟の雷神と共に。
「小夜、どうする?」
死神の少女に勝手に付けた名前を、当然の如く使う弟に少し呆れながら返した。
「様子見る。…この子の感情なんて言うのかな?好意、じゃ違うよな…。」
実は気になっていた。
小夜…の感情とはなんなのか、きっと他の死神も持っているだろう。
なのに、神がわざわざ息子を使ってまで消そうとする感情なのか。
彼岸花が好きなだけだろう?
だから何だと言うのか。
死神が自分の感情を必死に守ろうとするのが、消さなければならない理由…なのだろうか。
死神とは普通感情なんて持っている意味すらないものなのに。
とりあえず彼女の意識を飛ばし、天界の自室に運んできたものの、死神をいつまでも神の世界に隠せるものではない。
小夜を見ると、かすかに目が動いた。
「…う、あれ…??」
「ここは僕らの世界だ。…君は、何故彼岸花が好きなんだ?」
彼女は目を擦りながら、
「…神様には関係ない。」
知らねぇし、と付け加えた。
小夜の目には光がない。
薄い青色と濃い赤色。
彼女の見つめる場所はわからない。
思考を読み取れない。
僕はいつか、この少女のココロを消すことになる。
その前に、父の思考を読みとるべきなのかもしれない。
次の神になるために。