クマに襲われるのは人間の自業自得と「シカ」のせい!? 人里に大量発生している3大原因
筆者:
今回はご覧いただきありがとうございます。
僕はちなみに子供の頃、開園から夕方まで1日中エサをやっていたことがあるぐらい動物が好きです――今もたまに「シカ公園のヌシ」をやりますけど(笑)。
質問者:
(いや、どれだけだよ……)
今回はクマ被害についてですが、いったい何が原因なのでしょうか?
筆者:
どんなことでもそうなのですが、複合的な要素が絡み合っているために“これ一つ!”と断言することはとても難しいんですね。
それを前提としたうえで今回は3つほど僕がクマが人里に出てしまった重要な要素としてピックアップしましたので皆さんも一緒にこの“クマ問題”について考えていただければと思います。
まず一つ目のクマが増えてしまった要素としては「シカの増加」が挙げられます。
質問者:
え……シカとクマって何がそんなに関係あるんですか?
“シカ好き”だから強引に結びつけてるんじゃないですか?
筆者:
一応違います(笑)。
歴史をふり帰ると、1950年代まではシカは禁猟でした。
1955年からオスジカのみ解禁され、全国でメスジカが狩猟解禁されたのは2007年で、現在は400万頭以上が日本列島に生息していると言われています。
シカが餌を求めて日本海側に移動し、シカの増殖により餌不足に陥り、クマが餌を求めて市街地に出没しているという要素がまず一つあるんです。
今年これだけ多いのはクマの大好きな木の実であるドングリが減少してしまったことが大きな理由として挙げられていますね。
大日本猟友会によると、1980年の狩猟免許交付数は約46万件だったのに対し、2016年には約20万件と半数以下と狩猟をする方の高齢化も原因の一つとしてあるんです。
質問者:
クマを射殺した方もボランティアと言いますものね……。
筆者:
やっぱりお金にならないと若い方は職業に就かない傾向にありますよね。
ちなみに、2021年度の日本の林野庁の『野生鳥獣による森林被害調査』で野生鳥獣による森林被害面積は全国で毎年約5000ha、そのうち約3,500haがシカによるもので、実に約7割を占めます。このように、シカの増加は一次産業にも多大な影響を及ぼしています。
※クマの森林被害はちなみに9%
このように残念ながらシカは問題を起こしているので、年に50~60万頭駆除されてています。
本来、駆除したシカは土に埋めなければいけないのですが、山の中で深さ1メートル以上の穴を掘るのは至難の業です。
ほとんどは埋めずに、落ち葉をかけて隠すとか、沢に捨てるというのが現状でしょう。そうした駆除されて残った遺骸シカがクマの餌になっているのです
こうして、本来は木の実や野草を食べているクマも“シカの肉の味を覚えた”ために、家畜や人間を襲うようになってしまったのです。
質問者:
なるほど、シカを殺した後に処分が困っているということですか……。
筆者:
クマもそうなのですが、シカが本当は食べられればいいんですけど、
感染症の問題、調理方法の普及のしてい無さなどもあって、その多くが人が食用にすることができないみたいなんですよね……。
2つ目の要素として取り上げたいのが、近年の都市計画です。
クマが多く生息する北海道では80年代から始まった札幌市の都市計画で、緑地が整備されました。
さらに、河川・街路に沿った緑を連続的に整備することで、野鳥や小動物が生息する自然豊かな都市を目指したのです。
このことにより山間部と人里との境界が曖昧になっていきました。
そのほかの地域でも過疎化や相続した方があまり管理をしないことなどによって耕作放棄地や、樹木が管理されていない土地が増えているという実情があるんですね。
こうしたことから、クマの頭数が極端にも増えていないにもかかわらず近年目撃情報が急増しているというわけです。
質問者:
シカで肉の味を覚えたクマが、境界線が曖昧になったところで迷い込んで人を襲っているというわけですか……。
筆者:
そういうことです。農家の野菜なども“美味しい”とクマが思っているようですけどね。
ここまではメディアも報じているところが多いと思います。
しかし、近年最大の要素でありながらあまり報じていない要素として
“太陽光発電”があると思うんです。
23年10月までの人的被害の173人のうち166人が東日本、そして東北は131人(北海道は4人)となっています。
この原因として、東北でのメガソーラー開発が進みエサを求めて市街地にクマが出没している可能性について考えてみたいと思います。
質問者:
確かに東北地方ばかりがクマ被害が多いのは気になっていました。
筆者:
東北6県について調査した結果、メガソーラーおよび太陽光発電所は5613ヘクタールという広大なエリアになっていることが分かりました。
この広さは東京ドーム約1200個分に相当しており、
1メガワット以上の事業のうち標高250メートル以上の山間部での事業の割合は、平成25年度の6%から令和元年度は46%に急増しています。
「メガソーラー」と言える太陽光発電が北海道で177基に対し東北地方は439基(経済産業省・資源エネルギー庁23年などのデータより)と面積比(北海道83,423㎡、東北地方66,951㎡)で見たらかなり多く密集していることが解ります。
質問者:
なるほど1.2倍の面積差に対して、2倍以上のメガソーラーは多いですね……。
筆者:
福島市の先達山では約60ヘクタールのメガソーラーを造成し、2021年11月から工事に着手しました。
それによって、広範囲にわたって森林が伐採されて“ハゲ山”と化してしまったようです。
更に森林伐採がはじまって以降、クマ、ニホンザル、カモシカといった動物が山の麓まで下りてくることが増えたようなんです。
特にクマはこれまで月1回程度しか現れなかったのに、『POLICEメールふくしま』(福島県警メール配信システム)では、毎日のようにこれらの動物の目撃情報が寄せられるようになったようです。
しかしこういったことは大手メディアこの可能性・要素についてすらも全く報道しないのです。
これはメディアとしての責任を果たしていないと言え、重大な問題だと思います。
質問者:
どうして大きく報道してくれないんでしょうか?
筆者:
これは僕の憶測ですが、中国のメガソーラー会社が多いことから追及をすると“国際問題“になってしまうことが1点。
政治家が群がる「太陽光利権」が批判によってしぼんでしまうことを恐れているのが2点目として挙げられます
質問者:
なるほど……結局はお金のわけですか。
筆者:
今回僕が考察した3つの主な要素を振り返りますと、
1 シカを野放しにしてしまったこと。近年は殺処分したシカをしっかりと処理しなかったこと。
2 都市計画や高齢化で山と人里が曖昧になったこと。
3 太陽光パネルのために山を切り開いてしまったこと。
と、どれも人為的な政治的な判断の誤りが大きく影響していることは間違いないと言えます。
質問者:
それでクマが殺されるだなんて可哀想です……。
筆者:
ここまで見た通りほとんどクマに罪は無いわけなので、「殺さずにクマを山奥に帰すべき」という意見があると思います。
ただ、人里に来てしまったクマはちゃんと“殺してあげる”ことが重要なんです。
質問者:
……やっぱりクマがシカの遺骸を食べているからですか?
筆者:
私情は挟んでいないつもりです(笑)
クマの多くの種類は、環境省が指定するLP種(絶滅の恐れのある地域個体群)に含まれているため貴重な存在ではあります。
しかし、一度人里近くに現れたヒグマは「ドングリよりも野菜や果物の方が美味しい」や「シカ肉の味が忘れられない」と思ってしまっているために、山に帰してもまた人里に下りてきてしまう可能性が高いのです。
そのために、心を鬼にしてでも駆除せざるをえないのです。
駆除しなくては更なる被害が拡大してしまいます。
クマを駆除したくない方は、被害に遭った方の保障と農作物の被害を補填できる覚悟がおありなのならそう主張されても良いと思いますけどね。
質問者:
山奥に帰せないことは理解できましたが、
動物園で引き取ることはできないんでしょうか?
筆者:
動物園からすればどんな病原菌を持っているかわからない野生個体の受け入れはそれだけでもハイリスクだと思います。
一気に動物園の動物が全滅ということにもなりかねませんからね。
また、同じ種類のクマでも生活環境が違うので性格なども全く異なると思いますので別の檻で育てたほうが良いでしょう。
これらのことを勘案するとちょっと多くは引き取れないのではないかと思いますね。
クマは人類社会の犠牲者ではあるとは思いますが、同時に人に害を及ぼす存在でもあるのです。
痛みが少なく殺してあげて、弔ってあげることが大事だと思いますね。
質問者:
そうなんですか。本当にクマが気の毒です……。
筆者:
このクマ問題は外国人の子供は社会の犠牲者ですが、不法滞在者であることには変わりないので日本から本国に強制送還をするのと同じような感覚だと思います。
撃ち殺されるクマと共に悲しいことは、クマが人里に下りてきてしまう要因となる政策を決定した上級国民が襲われるわけでは無く、田舎に住む一般国民が襲われることですね。
つまり、
「これらは政治の責任。それを正確に報道しないマスコミも同罪」
と言えるのです。
質問者:
なるほど……。
これらの対策はどうしたらいいんでしょうか?
筆者:
行政としては山を切り開くような太陽光パネルの設置は少なくとも新規には辞めさせるべきでしょう。
また、耕作放棄地などの管理されていない土地を接収して管理することも視野に入れるべきです。
あとはシカの適切な駆除です。
僕は動物園の飼育員と奈良県民以外じゃ誰よりもシカにエサをあげた自信があるぐらいなんで、
涙をのんで言いますが――しっかりと埋めてあげて自然に還してあげましょう。
本当に動物が好きだからこそ――クマもそうですが、 “「種」として迷惑がられている現状”から解放してあげるためにも一定数駆除することも大事だと思います。
質問者:
(ホントに泣いてるよ……)
辛いですが、それが本当の愛情なのかもしれませんね……。
しかし、もしもクマと遭遇してしまったらどうしたらいいんでしょうか?
筆者:
一般的に言われている対策としてクマ鈴や専用の撃退スプレー、大声を出すといったことがあります。
しかし、人に慣れているクマはそれすらも効かないことがあるらしいのです。
そんな時は“うつぶせ寝で首を手で防御をしてやり過ごす”ことが登山のプロなどからすると良いらしいです。
お腹を守りながら、致命傷になりかねない首を守ることができる最善の形の様です
これでも100%生存できるわけでは無いそうですが、それでもやらないよりかは生存率は大幅に上がるようです。
質問者:
なるほど……これを知っておくだけで生き残れそうですね……。
筆者:
ということで、今回はご覧いただきありがとうございました。
正直、シカ派の僕としても書いていて涙が迸るぐらいこの問題は辛いんですけど、
それ以上に政治判断やマスコミの報道は重要だということです。
これまで政治・経済、マスコミの問題、国際情勢などの個人的な考えに基づいたエッセイを書いております。
これからも随時書いてまいりますのでどうぞよろしくお願いします。
普段、殺伐とした文章ばかり書いていてどの程度のものになるのか知りませんが、
「シカの餌やりの1日」についてもいつか書いてみようと思います。