11話「変わりゆく状況」
ガットソーの命令でレイビアを取り戻しに来た人間たちは「レイビアを解放しろ!」とまるで魔物らが彼女を誘拐したかのように言う。それに対して魔王を筆頭とした魔物たちは「本人はそれを望んでいない」と主張、すぐに渡すことはできないと返した。
すると人間は兵器によって街を破壊し始める。
魔物たちは突如戦争が始まったかのような災難に見舞われることとなってしまう。
「どうやら人間が攻撃を仕掛けてきたようです」
「そんな……」
そのことをレイビアに伝えたのはアムネリアだった。
「どうして、私を取り戻すためにそんなことを……許せない……身勝手に捨てておいて今さら何だっていうの……」
人間の身勝手過ぎる振る舞いを耳にしたレイビアは怒りに身を震わせる。
昨日まで平和だったのだ。皆笑顔だった。誰もが穏やかに暮らしていた。なのにそこに兵器で攻撃を仕掛けるなんて。
「レイビア様のせいではありませんが、これから少々ややこしいことにはなりそうな気がします」
レイビアは沈黙。
「どうかお気をつけください、どこに人間がいるやら分かりませんので」
アムネリアが淡々と述べると。
「……ごめんなさい、こんなことになって」
それまで黙り込んでいたレイビアが弱く声を絞り出した。
「全部私のせいです」
今にも泣き出しそうであった。
そんな彼女をアムネリアはそっと抱き締める。
「大丈夫、大丈夫ですよ」
その声は落ち着いたものながら優しい。
まるで母親であるかのよう。
「どんな夜もいつかは明けるものです」
「アムネリアさん……」
「けれど、泣きたいのなら泣くのも良いでしょう」
「え……」
「色々辛かったのでしょう。泣きたければそうしてください。ここには他には誰もいませんし、たとえ貴女が泣いたとしても誰も知らないまま終わります」
アムネリアの前掛けを掴むレイビアの右手は微かに震えている。
「さぁ、お好きなように」
レイビアは大粒の涙をこぼす。
「良いのですよ」




