雪割草に願いを込めて
一回限りの記念デート。そんな思いで、優希は試験の成績勝負の勝者の権利として約束を取り付けた。
優希と岳人の関係は、端的に言うのであれば幼馴染、あるいは腐れ縁。保育園時代から一緒にいることが多かった二人にとって、相手が隣にいることはひどく自然で。けれど高校三年生の春、大学進学という別れが見えてきたことで、優希は関係を変える決断に出た。
けれどそこにはまだ、覚悟が足りなかった。
恋とか愛とかとは少し違う気がすると、そんな言葉で目をそらして。
デートの日である今日も、二人は一緒にいて、懐かしい道をたどっていく。
やがて訪れる別れの後、もしも二人を繋ぎ直すものがあるとすれば、それは「秘密」を重ねた鉢植えの花だった。
一話ごとに視点が岳人と優希で入れ替わります。
優希と岳人の関係は、端的に言うのであれば幼馴染、あるいは腐れ縁。保育園時代から一緒にいることが多かった二人にとって、相手が隣にいることはひどく自然で。けれど高校三年生の春、大学進学という別れが見えてきたことで、優希は関係を変える決断に出た。
けれどそこにはまだ、覚悟が足りなかった。
恋とか愛とかとは少し違う気がすると、そんな言葉で目をそらして。
デートの日である今日も、二人は一緒にいて、懐かしい道をたどっていく。
やがて訪れる別れの後、もしも二人を繋ぎ直すものがあるとすれば、それは「秘密」を重ねた鉢植えの花だった。
一話ごとに視点が岳人と優希で入れ替わります。