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レッド・ヘッド・ドレッド・ドラゴン ~希代の暴君は蘇る~ [※尚、転生先は中途で新婚です]  作者: 夏野ツバメ


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悪巧みをするなら、ココしかない

週に2~3話くらいの更新です!時々増えます!

是非ブックマークよろしくお願いいたします!

 ヴィクター・ロチルドとの偽の商談を持ち掛けた俺とアンドリューは、簡単な打ち合わせをしながら待ち合わせの場所へと足を進めていた。


 しかし、こんな恥ずかしい格好で出歩くことになるなんて……うぅ、気のせいか町行く人々が皆、好奇の目で俺を見ている気がする……


「おいおい、大丈夫かぁ? ちゃんと役になりきれよな、そんなんじゃすぐ偽物と見破られるぞ。美人秘書さん」


 アンドリューはわざとらしくニヤケ顔で背中を叩いた。


「わ、わかってるよ。店主(マスター)……いや、地盤業者の社長さんこそしっかりやってくれよ?」


 精一杯の皮肉を返したつもりだが、彼は社長と呼ばれて満更でもない様子だ。アンドリューの見た目はその体格の良さもあってか、とてもかたぎの仕事人にはみえない。しかしその分、迫力は申し分ないだろう。


「待ち合わせ場所は、ヴィクターの泊まっている宿の前だっけ。肝心の打ち合わせ場所は考えているの?」


「ああ、まかしとけ! こうゆう時のとっておきの場所を手配したさ」


 アンドリューはまた口元を綻ばせた。


 やけに自信ありげだな……流石はラピッシュ生花店や花畑を経営しているだけあって、こうゆう商談は慣れているのかもしれない。


 僅かに見えた勝機を感じとり、俺も少し頬を緩めるのであった。




 宿場の前についた頃にはすでに太陽は沈み掛けていた。サンスビア唯一にして最大の宿【サン湯~トピア】の外壁も、真っ赤なオレンジ色に塗りつぶされている。


 ……いくら田舎町とはいえ、このネーミングセンスはどうかと思うな。


 俺は一人その独特な名前に首をかしげてしまう。


 待ち合わせの場所に到着した俺達がしばらく待っていると、堅苦しい貴人服(スーツ)に身を包んだ神経質そうな顔の男が出てきた。先日同様、黒服の取り巻きが数名見える。つい身構えてしまう俺は無意識に強張っていると、アンドリューは颯爽とヴィクター・ロチルドの前に出たのである。


「はじめまして、この度は急な御呼び立てにもかかわらず、貴重なお時間を頂きありがとうございます。ラピッシュ商会代表のアン・リューです。どうぞよろしく」


「いえ、こちらこそ有益なお話を出来ればと思います。ロチルド財団青年部部長、ヴィクター・ロチルドです」


 二人は固く握手を結ぶと、互いに微笑みあった。


 さ、さすが、アンドリュー。堂々と偽名まで……胆が座ってるな。


「こちらのご婦人は?」


 ヴィクターの視線が俺を見つめている。まずい、何か挨拶をしなければ。背中に嫌な汗が流れるのを感じた。


「私の秘書のシア……シアーヌです。恥ずかしながら細かい事務的なことは全部彼女に任せていましてね、同行させてもらっても宜しいですか?」


 僅かの時間、ヴィクターは俺をまじまじと見つめると「構いませんよ」と応えた。一瞬正体がバレたのかと思い、いっそう冷や汗が流れた気がする。


「シアーヌさん、宜しく!」


「ハ、ハイ……」


「すいませんね、見かけによらず引っ込み思案な秘書なもんで。さぁ、それじゃあさっそく移動しましょう。ヴィクターさんにふさわしいVIPな店を用意してありますから」


 アンドリューはそう言って金髪男の肩に手を置いた。僅かに動いた黒服達に合図をすると、ヴィクター・ロチルドはわかりやすい作り笑顔で頷いた。


「それは楽しみだ。是非とも伺いましょう」


 歩き始めた二人の後ろを、離れないように俺もついて歩く。その後ろを取り囲む黒服達の視線をチラチラと盗み見ながら、アンドリューが用意したという店を目指したのであった。




◆◆



「ここは……」


「さぁ、到着しましたよ。ヴィクターさん、こちらへ、VIPルームへ向かいましょう」


「す、スゴい……」


 俺は、はじめて見る光景に硬直した。目の前に輝くきらびやかな店。すっかり日の暮れた夜闇の中、アンドリューが用意したと言う店はなんとも妖艶で派手な明かりを放っていたのである。


「こういった店は初めて入るのですが……」


「大丈夫ですよ。我々の席は特別に用意された個室です、騒がしい一般客はいませんから」


 僅かに気後れするヴィクターを後押しするように、アンドリューは彼の背中を押した。豪勢な扉をくぐるとそこは大音量の音楽と、これまたきらびやかな照明がそこかしこと輝いている。


「さぁ、こっちへ。おい、シアーヌ。後ろの黒服さん達には外で待っていていただきなさい。あの人達の格好じゃあ、この店のドレスコードに合わないからな」


 俺の後ろで黒服達が何やら騒いだが、確かに中に入るには目立ちすぎると察したのであろう。「外で待つ」と一人が言うと大人しく店を出ていったのであった。


「……あ、あの。マス……いや、社長。この店は一体?」


 ヴィクターも見慣れない店内を眺めるように、右に左にと顔を向けている。俺は隙を見てコソコソとアンドリューに尋ねた。


「あん? キャバレーだよ。キャバレー【エル・メルラルド】。この町で一番の高級店だ」


「キャ、キャバレー……? な、なんでこんな店で、商談を?」


 アンドリューは小馬鹿にしたように軽く笑うと、俺の肩を叩いて背中を押した。


「バカかお前? 悪巧みと言えばキャバレーと相場は決まってんだよ」


「は、はぁ?」


 訳のわからない事を呟くと彼はさらに店の奥へと俺達を進めた。





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