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レッド・ヘッド・ドレッド・ドラゴン ~希代の暴君は蘇る~ [※尚、転生先は中途で新婚です]  作者: 夏野ツバメ


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飛び出し禁止。前後左右はしっかり確認!

週に2~3話更新予定です!

是非ブックマークよろしくお願いします!

 話の成り行きからヨリアイなるものに向かう事になった俺は、一人店の事務所で先ほど食べ損ねた弁当を開いていた。


 出掛ける為に支度をするというラズリを見て声をかけたリリィザは、二人で二階の部屋へと行ってしまった。


 俺は一人いつも通り旨い弁当に舌鼓をうちながら、二人の支度を待っていたのだ。


 いったい二人で何してるんだ? 支度なんてそんなに時間かからんだろ……


 しばらくもくもくと箸を進めていると、ラズリの騒がしい声が聞こえてきた。


「シアンさんこれ見て?! リリィザさんって凄いの!」


 二階から下りてきた彼女は、よそ行きの服を着て楽しそうにはしゃいでいる。良く見れば栗色の短い髪で細かく編み込みを作り、大きなカチューシャのように結ってある。彼女は嬉しそうに角度を変えては、手鏡でソレを見ていた。


「ラズリちゃんの髪の毛があんまりにも綺麗だったから。少しだけ手を加えただけですよ」


 遅れて下りてきたリリィザもどこか嬉しそうに微笑んでいる。


「シアンさん、待たせてしまってごめんなさい。そろそろ出ないと遅れてしまいますね」


「ああ、そうだね。それじゃあ店主(マスター)、店番お願いします」


 俺の声に、ソファーで寝転んでいるアンドリューは片手を上げて応えた。絶対店番する気ないだろ……


「リリィザさん、憧れるなぁ。あんなに美人で優しくて……それに……旦那さんまで……」


 店を出るリリィザの後ろ姿を見ていたラズリがボソリと呟いた。


「何か言ったかラズリ?」


「ううん! あんな素敵な奥さんじゃ、シアンさんにはもったいないですねって言ったの」


 ラズリは悪戯に笑うと飛び出して行った。店の外で楽しそうな二人の笑い声が聞こえてくる。すっかり打ち解けた様子だ。


 ……(シアン)にはもったいないか。俺もそう思うよ。


 心の中で呟くと、二人の後を追うのであった。




 寄合とはこの辺りで暮らす人達の集まりの事であるとリリィザは教えてくれた。年に数回の日時を決めては、町の催しや細かな決め事を話し合っているのだそうだ。

 もっとも寄合に参加するのは基本的に自由で、中にはまったく顔を出さない者もいるようである。


 そういえばウイーク夫婦はこの町(サンスビア)につい最近引っ越してきたらしいが、その前どこに暮らしていたのだろうか? 


 寄合の住所が記された紙を片手に、一人前を歩くリリィザを盗み見る。


 今日の装いは確かに華やかで美しい。しかし、あまりにも垢抜けていると言えばいいのだろうか。こんな田舎の町には似合わないように思えてならない。

 それに普段の会話での言葉遣いや、立ち居振舞い、どれ一つ取っても洗練されたような高貴な雰囲気が漂っている。


 もしかして、(シアン)(リリィザ)は元々もっと都会的な町で暮らしていた? それもかなり洗練された、たとえば……へルセリアのような大都市とか……



「あー……シアンさん何見つめてるの? もしかしてリリィザさんに見惚れてる?」


「私がどうかしました?」


「な、なんでもない! バカッ、ラズリ何言ってんだよ」


 ラズリの茶々に慌てて返しているうちに、俺達は目的の場所にたどり着いていた。

 町の中央から少し歩いた場所に、ひときわ大きな建物がどっしりと構えていた。



「【サンスビア商工農会議所】? こんな立派な建物で寄合は行われているのか」


「そっか、二人はこの町(サンスビア)に来てまだ日が浅いんでしたっけ? この建物は寄合だけじゃなくて色んな目的で使われているんですよ。ほら、あっちの横の建物見て!」


 ラズリが指を指した方へ視線を向けると、複数階建てのさらに大きな建物が見える。目の前の建物より少し古いのだろうか、外観が少し剥げたように色が変わっている。


「あっちは昔使われてた会議所で、今は私達が通う学校に変わったんですよ。少し古いけど広さは新しい方より大きいんで、結構生徒の数も多いんです」


「ほぉー、毎日こんな所に通ってたのか」


「素敵な学校ですね」


 楽しそうにはしゃぐラズリは手招きして会議所へと進む。会議所の入り口で手を振る彼女に、後ろから出てきた人がぶつかった。体勢を崩したラズリは尻餅をついてしまう。


「お、おい! ちゃんと周り見ろって……」


 慌てて駆け寄ろうとしたその瞬間、急に横から飛び出してきた人物に俺もぶつかってしまった。


「おっ、と、すいません。慌ててしまって……」


 すぐに詫びの言葉が飛び出る。これもすっかり身体(シアン)に慣れてきた習慣だ。


「チッ……気を付けろよ、貧乏人が」


「……え?」


 俺にぶつかった人物はあからさまに嫌悪感を見せた。金髪の髪を撫で付けたようにピッタリと分けて、ギラギラと光る貴族服(スーツ)に身を包んだその男は俺を睨み付けくる。


 な、なんだコイツは、人が下手に出ていればいい気になりおって?!


 思わず拳を握りしめて、笑顔をひきつらせてしまう。


「ごめんなさい。私達、急いでいたもので失礼しました」


「り、リリィザ」


 彼女は俺の前に出ると、無礼な男に深く頭を下げた。

 

 いや、今のどう見てもアイツの方が失礼だっただろ?! それに向こうだって周りを見ていなかったはずだし……


「いえ! ご婦人頭を御上げください。こちらこそ前方不注意でした、非礼を詫びます」


 金髪スーツ男は爽やかに微笑むと少し頭を下げた。ホッとしたように微笑むリリィザはまた軽く会釈をすると、俺の手を引いてラズリの元へと歩きだした。


「ちょ、ちょっと」


「シアンさん、すぐカッとなっちゃ駄目ですよ。いくら腹が立っても、いつでも冷静に。頭を下げるのも大事なんですからね」


「い、いや、僕はちゃんと謝った……」


 リリィザに引かれたまま会議所の入り口まで辿り着くと、恥ずかしそうに笑うラズリが砂のついたお尻を叩いていた。


「もう、二人ともしっかりして下さいね? さぁ私達も入りましょう」


 リリィザはそう言ってガラス張りの扉に手を掛けたのであった。その後ろを空返事のラズリがついて行く。


 ……それにしてもさっきの奴、アイツも寄合の参加者なのか? 


 振り返るとすでに男の姿は見えない。俺は二人に続いて会議所に入った。


 

 

 


 




 


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