第四十五話 アッサリ解決できるなら…
魔力を全身に巡らせるという一見すると単純なのに酷く疲れるという苦行を終えた後に習った魔力コントロールは、魔力循環の日々は何だったのかという程にすぐに魔力の制御と解放を習得出来たのだった。
魔力循環に励む傍ら、オスカーさんとレグルスさんの所へも少しだけ顔を出してユキとスノウが新たに何か指導しているのを横目に、魔力循環に集中しながら頑張る。少し早めに切り上げれる時は、ユキとスノウと一緒に森へも何度か通う。
その際、ギルドに貼りつけてある依頼をこなして、ギルドポイントも貯める。
―――ギルドポイントとはギルドの依頼を達成出来た時に貰える貢献度をポイント化したもので、ポイントの蓄積が低ランクが上がる時には必須なのだ。
高ランクに近づくと、難しい討伐以来を数件達成しないとならないとか達成条件が厳しくなるらしいけど…
最低ランクから始まってる私は、納品依頼を達成してるだけでギルドポイントが上がるので、結構楽にポイントを入手出来て、冒険者ギルドのランクを上げる事が出来るのだった。
これぞチートという出来事があった。
念話まで覚えさせた後、最初からこれすれば全て解決していたのでは…? という事をユキとスノウがやらかした。
私もチラッと思ったけれど、それをした後の事ばかり気になっちゃって言いだせなかった事。
ユキとスノウはそれぞれの聖獣チート力を使って、
オスカーさんの怪我を治癒魔法で過去の古傷まで綺麗に完全に回復させた後、レグルスさんの呪いを浄化して祓い、治癒魔法で完全回復させた。
―――である。
オスカーさんとレグルスさんの唖然とした顔、ユキとスノウの凄い得意げなやってやった! な表情……一生忘れないだろうと思う。
「それが出来るんだったら、最初から念話を教える前にそれをしてあげれば良かったのに」っていう私の問いかけに「必死に念話を覚えようとしたレグルス、友の為に必死になったオスカー、この二人のそういう姿を見たからやってやる気になった」二人とも口を揃えて言った。
苦労知らない者に安易に楽にさせてやらないと…
正論ですけども、チート全開の所業に二人とも固まって動いてないですけど…?
その後、硬直状態から正気に戻った二人は、うわあああ!と何故か叫びだし、ガシッと共に抱き合って大泣きしていた。
そして、ユキとスノウに床に平伏して感謝を延々と泣きながら口にしていた。
そうだよね、泣いちゃうよね。
辛い未来しか想像出来なかったし、きっとそうなると思ってた所に念話という希望を貰って、そして、今度は以前と同じ生活を取り戻してくれたんだから。
ユキとスノウは居心地悪そうにした後、自分らが女神から遣わされた聖獣だと明かす事になった。
この世界の治癒魔法では全ての傷を完全回復出来る力なんてないらしい。
治癒士だと言い訳した所で、ここまでの凄い力を振るわれた者達を誰も知らないのは違和感しかないだろう。
冒険者ランクがSとAで各国のダンジョン巡りをしていた二人の耳に入っていないのはおかしいしね。
という訳で、ユキとスノウの素性を明かすに至った。
ここまで色々してくれて、そして助けてくれたユキとスノウ。
聖獣様と訊いてしまっては、本人たちが嫌がってもオスカーさんとレグルスさんは二人を崇拝するようになってしまった。
(善行をしたけれど、その後のことは自業自得だから責任持って二人の崇拝を受け入れるがいい!)
たまにオスカーさんやレグルスさんと一緒に森へ行く二人。
それを尻目に私は採集に励む。
たまに戦闘に混ざる事もあるけれど、私は剣や魔法で戦うよりも、魔法での後方支援に徹していた。
そんな生活が続き、やがて私は冒険者ランクがCになった。
冒険者ランクがCからダンジョンの高位層へも潜れるらしいから、今度オスカーさんとレグルスさんと一緒に行く約束をしている。
そんなこんなで気付けば、私は八歳になっていた。




