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悪役令嬢の中身が私になってしまった。  作者: iBuKi


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第四十三話 レグルスの念話、スノウの嫉妬。

『……オスカー聴こえる?』


 レグルスさんの低すぎないけど耳に心地よい声が頭の中で響く。


「聴こえる! しっかり聴こえるぞ!!」


『………っ!! よかったっっ!!』


 レグルスさんの感極まった声がまた聴こえた。


 レグルスさんの片手をガシッとオスカーさんが両手で握りしめブンブンと上下に激しく揺すった。


「さすがレグルスだ! もう話せるようになるなんて! お前は本当に凄いヤツだよ! それにっこれでまた話せるようになったなっ! 二人のこれからの事、色々相談して決めたい事もたくさんあるんだ! ほんとうに…ほ、んとうに…よかったっ……」


 物凄いハイテンションで語りだしたオスカーさんは、段々と涙声になっていく。

 最後はボロボロと大粒の涙を零して男泣きしてしまった。


 うう、私も涙がジワリと浮かんで鼻がツンとする。

 貰い泣きしちゃうじゃない。


(ううぅ、良かったねぇ…レグルスさん、オスカーさん)


『有り難う…オスカーがこうやってユキくんとスノウくんを見つけて来てくれたおかげだよ、もちろん、リティシアちゃんもね。皆、本当に本当に有り難う…』


「こんなに早く習得するとは、俺も驚いている。レグルスの必死な想いと天性の才が結んだ結果だろう。まだ個人とだけ念話する繊細な魔力操作は難しそうだが、何度も何度も繰り返すうちに精度が上がるだろう。何度もオスカーと念話を使って慣れさせる事だ」

『分かりました。有り難うございます』

「どちらかといえば広範囲に念話を届ける方が大変なんだが、レグルスは魔力量が多いのだろうな。最初から広範囲とはな…くくっ」


 ユキは何だかとても嬉しそう。レグルスさんとその後の事を話していた。




「リティシア、腕の痛みは落ち着いた?」


 レグルスさん良かったね! と、ほっこりしてる時に突然スノウに話しかけられて、私はパチパチと瞬きする。


 腕はだるさは残るけど、もう痛くはなくなっている。


 治癒魔法をかけようとしたスノウを止めたのだった。


「腕が痛いのは腕の筋肉が傷ついてるから痛いらしくってね? それを修復する時に筋肉が更に太くなって強くなるらしいの。って事は、治癒魔法とかでなかった事にすると折角筋肉が成長するチャンスだったのに、無かった事になるんじゃないのかな…ってね? だから、自然と直すのが一番いいと思うの」


 と、滔々と語って休憩していたのだった。


「まだ痛い…かな」


 今日はもうあのポーズは勘弁して下さい。


「ほんとうに?」

 スノウの黄金の瞳の中央にある瞳孔が、私の嘘を見透かすように開いたり閉じたりしている。


「ほ、ほんとうに」


 私の馬鹿っ、話す言葉がつっかえってしまっては、疑ってくださいと言ってるようなものだよ!


 スノウの瞳が獲物を見つけた肉食獣のように瞳孔が開く。


「リティシア?」

「痛みはだいぶよくなりました」


「僕に嘘ついたの?」

「いえ、その時は痛かったのです。今は少し痛みがおさまってます」

「なにその話し方」


「おまえがリティシアを壁際においつめて両腕で囲って脅すからだ馬鹿!」


 スノウの後頭部をユキが強めに叩いた。


「いっっ! 何するのさ!」


「もう朝日が昇る。今日はこれくらいにしてまた明日だ。リティシアは心は大人に近いかもしれないが、体はまだ小さな女の子だぞ、あまり無理させるな」


 ユキ…優しい。

 ユキに強めに叩かれたというのに、いまだにスノウに壁際に追い詰められて両腕で囲われる、所謂“壁ドン”されてる状態の私。

 ユキの優しさに目がうるうるしてくる。


「リティシア、目に♡浮かべてユキ見るの禁止」

 スノウが私の目元を片手で塞ぐ。


 いや、貴方のせいじゃ? 最近ちょっと色々おかしいよスノウ。


 納得いかない気持から、子供っぽくリティシアの頬が膨らむ。


「はぁ……スノウ、おまえ……いやいい。オスカー、レグルス、俺達はそろそろ戻る。また明日の同時刻にまたくる」


「あ、ああ…(お嬢ちゃん大丈夫か?)わかった。明日の同時刻待ってるよ」

『スノウくん、あまりリティシアちゃんを苛めないであげてね、また明日待ってるからね』


「はいはい、じゃあ行くよ」

 片手はリティシアの目を塞いだままに、もう片方の手でユキの腕をガシリと掴むと、すぐにも飛ぼうとする。


 そのことにいち早く気付くと、慌ててリティシアはお別れの挨拶をと声を張り上げた。


「オスカーさん、レグルスさん、また明日!」


 それが二人に届いたかどうか、スノウは挨拶もそこそこにさっさと転移したのだった。


 リティシアのユキを見る瞳に、スノウはご機嫌斜めである。


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