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悪役令嬢の中身が私になってしまった。  作者: iBuKi


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第二十五話 仮病。

 仮病を使い「体がとても重たくて辛いので、今日は部屋で一日中おとなしくしておきます…」と、一日の全ての予定がキャンセルになり、時間的余裕がたっぷりになったのはいいものの、罪悪感が半端ない…。


 この世界の両親は溢れんばかりの愛情を向けてくれる、とても善良な人達なので、娘が体調不良で一日休むという話を訊きつけるなり、大慌てで部屋に飛び込んで来られました。

 ガヤガヤと扉の外が騒がしくなってきたなー…? と思った直後に、「まさか…?」と一瞬掠めたけれど、突然扉が大きな音をたてて開き、まさかの存在の両親が立っていた。

 勢いを付けて扉を開けた為に壁に扉がバーン!と打ち付けられて大きな音を立ててたらしい。

 半泣きの父と母が、突然の事にポカーンとしてベッドで半身を起し座っている私の両隣からギュウギュウと抱きしめてくる。


「………お父様、お母様?」


「ああ!シア、私のシア! しばらくは何も無理しないでいいからゆっくり休んでおくれ。講師たちにも突然暇を告げる訳にはいかないから、数ヶ月分の給金を前もって渡して休暇を取らせるから! シアはしばらく何もせずもっと子供らしくゆっくりしておくれ。」


( えっ、それは講師たちは有難がるだろうけど、何もしないのはダメだろう。だって仮病だし!)


「そうよ、今まで頑張りすぎちゃったのよ。私の可愛い子。お願いだから休んでちょうだい。お母様とゆっくりしましょうね。」


( 魅力的だけどダメだろう。サボりはいけない。それにこの体は何でもグングン吸収するから学ぶのは好きだし。)


「今日一日だけのお休みで大丈夫だよ。

 明日の事は明日決めたいの。明日はきっと元気になってると思うし…。

 もし今日一日休んでも元気が戻らなかったら、数ヶ月とかはしないけれど、心配かけられないし、ちょっと長めにお休みする。

 ね? お願い、お父様、お母様。」


 うるうると上目使いで二人を見つめる。


「……っ、シアがそういうのなら、取りあえず今日一日しっかり休んで、明日また様子を見よう。」

「…シアちゃんは頑張り屋さんなのはステキだけれど、頑張り過ぎよ。けれど、そうね…明日の様子次第で決めましょうね。」


 お父様はサクッと私の意見に流れたけれど、お母様は少し渋っていたのでうるうる多めに追加して見つめたら、溜息を零して譲歩してくれた。


 瞳うるうる攻撃は、溺愛している娘から放たれると効果抜群らしい。


 効果抜群過ぎて「お父様は今日は政務はせず、シアの傍にいよう。」と言いだす始末。

 お母様も「それはいいわね! わたくしもそうしましょう。」と続く。


 本当に体が不調だったなら、両親が傍にいるなんて嬉し過ぎて大喜びだけれど。

 今日はダメなの、居て貰ったら出かけられない。


「お父様は今日は近日中に済ませておかないといけない書類があったはずだし、

 お母様は一か月も前から予定されていた侯爵家のお茶会だと訊きました。

 シアは、ここで静かに眠って体を休めますから、二人はお仕事に行ってきて?

 そうじゃなきゃ、私――――心配で眠れないよ。」


「シア…!」

「シアちゃん…っ!」

「「何ていい子なんだ(なの…)。もし何かあればすぐ知らせるようメイドに伝えておくから、シアは心配なんて何もせず寝ていて欲しい(わ)。」」


 両親の口調は違えど驚く程のシンクロ率に、少し戦慄するが希望が通ったのでよしとする。


「はい、お父様、お母様。何かあればすぐメイドに伝えますから。」


「シア、私の天使。何て健気なんだ。」

「私達は天使の親になったのね。」


 うん、親ばかですね。

 天使天使言い過ぎて、天使のハードルがだいぶ下がってませんか。

 発言にはスンと冷静になるが、両親に挟まれるようにしてギュウギュウに抱きしめられている状態は胸がポカポカした。


 そんな両親に仮病を使っているのが、心苦しい。


 けれど、自分がやりたい事の為には仕方ない。

 貴族令嬢である限り、お出かけついでにギルドなんて無理なんだから、ここは仕方ないと割り切ろう。


「お父様、お母様、シアはそろそろ横になろうと思います。」


 ギュウギュウに抱きしめていた腕を解き、ジッと私を見つめる二人。


(仮病がバレた…とかじゃないよね?)

 少し焦るリティシア。


「ゆっくり休みなさい。おやすみ、シア」

「シア、些細な事でもすぐに伝えるのよ? いいわね?」


 バレた訳では無く、ただ愛しげに頬や頭を撫でられ、念押しをされただけだった。


 そして、両親は後ろ髪引かれるように何度か振り返ると退室した。


 こんなに心配されまくりなら、仮病という手はもう使えないな、と思うリティシアだった。


 私が横になるとメイド達も「おやすみなさいませ、お嬢様」と退室していった。


 扉の外が静かになった所で、リティシアは体を起こす。


「ユキ、スノウ、お待たせ!」


 冒険者ギルドへ行こう!

お読み下さり有難うございます。

いつも誤字脱字報告助かっております。

自分で読み返して気付いた所は直しているのですが、脱字しているのに脳内で補填してるのか気付かないんですよね……。

気付かれる皆様凄い。大変助かります。

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