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悪役令嬢の中身が私になってしまった。  作者: iBuKi


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第十六話 閑話 聖獣様達のお風呂。



 聖獣様たちが公爵家に滞在する事になってから、リティシアはせっせとお世話を頑張った。

『僕は魔法で綺麗に出来るからお風呂は遠慮しておく。』と猫科らしく嫌々をするスノウの襟首をガシッと捕まえ浴室へと引きずって行って、リティシア専用のお高いバスグッズを使用。


(動物に使っていいかは分からないが聖獣様だし大丈夫だろうと、ここら辺は聖獣様だからで適当ではある)


 たっぷりの泡でわしゃわしゃと自分も泡だらけになりながら洗ってあげた。

 スノウは短毛種で、毛が細くサラサラしている。

 けれど頬と首周りだけはちょっとだけ長くてフワフワしている。

 触ると凄く柔らかくて気持ちいいのだ。

 優しく水気を取って、そっとブラッシングしたら艶々光り輝くスノウの出来上がりである。


 ちなみに、同時に洗うのは疲れるので、スノウが終わったらユキといった感じでお風呂のお世話をしている。

 ユキは、お風呂が大好きで、浴槽にバシャーンと飛び込んで湯水を撒き散らし、リティシアから叱られた。

 反省の意を示すようにペタリと耳をふせて、わしゃわしゃとおとなしく洗われているユキ。

 キレイに泡を流して貰う頃には、気持ち良さにウットリとしている。

 こちらも優しく水気を取り、丁寧にブラッシング。

 スノウよりは毛足が全体的に長めなので、ブラッシング時間は結構かかる。

 その間ずっとうっとりと吐息をフゥーと漏らしながら、気持ちよさそうにおとなしくしている。ユキはこの時間が大好きになった。


 それに夢中になったユキは、最初の頃は一日に何度もリティシアにお風呂を強請るので、昼間は勉強を含め習い事がたくさんある為に時間と手間の掛かるお世話は難しく、かといって潤んだ目でねだるユキにダメとも言えず…

 よって、夜のお風呂以外はメイドさんに頼んだ。


 しかし、あれだけ強請ってた癖に、数日昼間のお風呂を満喫すると、パッタリと強請らなくなり、リティシアがお世話する夜だけで満足するようになった。


「お昼のお風呂はいいの?」とリティシアが問うと、

 ユキ曰く『リティシアの手で洗って貰うのと、他の者に洗って貰うのでは心地良さが違う事に気付いたからもういらない』らしい。


 メイドさん達にも昼間にお仕事がある。

 なかなか手間の掛かるユキのお風呂の世話は、手間を増やさせていただろうから、ユキがいいのならいいかと思ったのだった。


 その話を私の膝の上に頭を乗せながら目を閉じて訊いていたスノウは、ユキをバカにするようにフンと鼻を鳴らし『気付くのが遅い』と呟いていた。


 仲がいいんだか悪いんだか…いや悪いかも? な二匹である。



 リティシアの丁寧な世話により、純白の毛は汚れひとつない。

 真っ白ではあるがキラキラとした艶があるのは、まばらではあるが銀色の毛が混じっているから。

 ただの白い毛ではないということである。


 さすが聖なる獣様。

 サラサラ艶々、フワフワ艶々、感触の違う毛をお世話する度に堪能しながら、

 優しく世話をされてウットリしている聖獣様たちのように、リティシアも手触りにウットリとするのだった。

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