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第十一話 お父様の説明に成功? しました。


「―――シア、聖獣様とお知り合いなのかな?」


 絶望を表すように蹲り静かになった聖獣様たち。

 その姿を憐れむような眼差しで見つめた後、お父様は私に問いかける。


(ティナ様の事は話せないし…何て説明すれは違和感がないかな…。)


 ぐるぐる考えるが、うまく説明できる気がしない。

 おまけに天界では話さなかった二匹が、ここではペラペラ流暢に言葉を話している上に、私と知り合いのような親密な口調だったのを訊かれている。

 頭の中に直接話しかけられているとはいえ、いや、だからこそ全てハッキリ聴こえていただろう。



「ああ、夢の中でなら会った事あったよ。でも、直接会うのは初めて…。」

 何とも白々しい内容に自分でも嘘くさいなと思う。

 でも、天界を夢に例えるのだとしたら、決して嘘ではないと…思う。


 そんな苦しい設定の話を娘から訊いた公爵。


「……そうか。分かった。夢でお会いしていたのだな。」と、そう返した。


 そして、聖獣様は長い歴史の中でも片手で足りない程しか人の前に現れた事がなく、

 その毛色は真っ白だという事だった。

 聖獣様が喜べば国は繁栄し、怒れば国が衰退すると言われているそうだ。


 蹲り静かにその話に耳を傾けていたらしい聖獣様たち。


『リティシアがいる国を衰えさせるものか!』

 突然子狼が吠えれば、

『リティシアが喜ぶ事なら何だって頑張れるよ!』

 気合い充分といったように尻尾をピンと立てて、子虎が宣言する。


 そして、ぴったりと声を揃えて、

『『当然のことだ!』』と締めくくった。



(仲良し……?)

 リティシアはこの二人はいいコンビなのではないかと思うのだった。



「では聖獣様、シアが住む屋敷へとご案内しても宜しいですか?」

 お父様が丁寧な仕草で二匹にお辞儀をすると、聖獣様に話しかけた。


『『いいよ(ぞ)、すぐに向かおう!』』


 うん、いいコンビである。



 お父様は「では招待させて頂きますので、馬車の中でお待ち頂けますか?」と話し、聖獣様たちを馬車の中へと誘導すると、外でポカンとした顔のままの御者さんや護衛の人に話をしにいった。



「これから宜しくお願いします、聖獣様たち。」

 まずは挨拶をと、リティシアはぺこりと頭を下げた。


 馬車の椅子に聖獣様たちがちょこんと行儀良く座っている。


『ああ!末永く宜しく頼む!』と元気よく子狼が言えば、

『うん!ずっとずーっと僕と一緒にいようね!』と子虎がいう。


 リティシアはそんな二匹にはにかむような笑顔を向けた。



 戻ってきたお父様も馬車に乗り込む。

 お父様とお母様が二人で座って、私の両隣に聖獣様たちが座った。


 嬉しそうに尻尾を振る二匹、その真ん中の私もふにゃふにゃの笑顔だっただろう。

 お父様とお母様はそんな私と聖獣様たちを微笑んで見守っている。


 二匹とも私のまだ小さな膝に頭をちょこんと乗せ、甘えるように鼻を鳴らしたり、喉を鳴らしたりしている。

 そんな二匹のモフモフした頭を交互に撫でながら、屋敷まで馬車に揺られたのだった。

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