双子の妹は同じ顔が二つもあるのは嫌だと私をいじめて顔に一生涯消えない傷を負わせました。そして…婚約者である殿下を奪い取ったのです。許せと両親には言われましたが…婚約式に出たくありません
「同じ顔が二つなんて最低!」
これが私の双子の妹リーリアの口癖でした。
確かに私たちはよく似ていました。
でもいつもドッペルゲンガーみたいで嫌だというのです。
確かにもう一人の自分を見たら死ぬという伝説はありましたが双子が不吉とされたのはかなり前のことです。
「それに年長者が先だとか言ってお姉さまが殿下の婚約者になったのも最低!」
私はもう少ししたら私はここからいなくなるから、跡取りとして勉強してねと笑いかけました。
生まれた時から同じ顔は嫌だいやだといわれ続け、挙句の果てに私は池に突き落とされたり、階段から突き落とされたこともありました。
わざとでないと言うのです。
妹は妹です。
気のせいだと思うようにしました。
でも…。
「熱い、熱い、熱い、熱い!」
私は妹に後ろから突き飛ばされ、暖炉に突っ込み…。
顔と手をやけどをしていまい、生涯消えない傷がついてしまったのです。
「…あらあ、お姉さまごめんなさい。今はいいお医者もいるからなおるかも~」
両親が顔に傷がある娘は殿下にやれないと…。王家に話を持ち掛け、妹と私を入れ替えることにしたそうです。
殿下もそれを了承したとか…。
地獄でした。
顔がひりひりと痛む。それにこのままでは婿もとれまい修道院に送ろうとひそひそと両親が相談しているのも聞いてしまいました。
鏡を見るたびにひどい火傷の跡が見えます。
泣いても泣いてもなおるわけがありません…。
この顔で婚約式に出ろと両親は言うのです。
私は…両親の愛情すら自分にはないと絶望して、復讐を決意したのです。
私は控室に行き、妹がドレスを着て楽しそうに笑っているのを見ました。
「お、お姉さま、驚いたわ。どうしてこんなところに来たの!」
「…私ね、あなたを今まで妹だと思っていたのが間違いだと気が付いたの」
「え?」
「同じ顔だから許せないって言われ続けて、あなたの言う通り見分けがつくように髪も切ったわ。でもいつもいつも鬱陶しいといわれ続けてもう疲れたわ」
私は黙って妹のところに歩いていきます。妹が恐れるように身を引きました。
「同じ顔が嫌なら、これをあげる。この刻印があれば同じ顔じゃなくなるわ」
私は妹の顔に手を押し当てました。
妹が熱い、熱い、熱い! と叫びます。
「…禁忌の魔法よ。家の図書室で読んだことがあったんだけど、でも…」
妹の顔がみるみる焼け焦げていき、その手にも黒い焼け焦げができていきます。
身代わり人形のこれは魔法、人形ではなく人を身代わりにして、寿命、怪我、病気などをすべてて厄災として移し替える。
昔は奴隷などを買ってきて試していたそうですが。禁忌とされて封印されたそうです。
まさかねなんて思ってその時は読み飛ばしましたが…。
「うふふ、ほら同じ顔じゃないわ」
「…お、お姉さまひどいわ!」
「…あなたが最初にわざと私を突き飛ばして怪我をさせたのでしょう? 自業自得よ」
私は元通りとなった顔を鏡で見て、同じ顔じゃなくなったわよかったわねと笑いかけました。
さあ、その顔になった殿下はあなたを婚約者にしてくれますかね?
私は泣き叫ぶ妹を無視して、抜け出しました。
妹の大声を聞きつけて人が集まってきたからです。
私は隣国行の馬車にのり、祖国を逃れました。
そして…。
「…隣国の王家を呪ってほしい、代償は…」
私は隣国に逃れてから、両親と殿下に復讐をしようと虎視眈々と狙っています。
妹は殿下にやはり婚約を破棄され、口惜しさのあまり頓死したそうです。
「はい、代償は…」
私は持ち出した呪いの本をもとに呪術師になりました。ええ、絶対に両親や王家を呪いたいという人が現れるだろうと思っていました…思った通りですわ。
だって両親はかなり黒いうわさがありますし、殿下や陛下もかなり民に増税を強いて憎まれていますもの。
ああこれで復讐ができると私はフード越しににやりと笑ったのでした。
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