1話 始まり
魔王の城、玉座の間に多数のモンスターと大剣を軽々と振り回しモンスターを薙ぎ払う軽装の男がいた。
「勇者ツルギよなぜ貴様は、私に矛を向ける?」
座っていた魔王が立ち上がり急に問いかけるが勇者は、無言のまま魔王の玉座の前まで一歩一歩ゆっくりと距離を縮める。
魔王は、返事をしない勇者に苛立ち次々と魔法をかけるが勇者は、びくともせず無傷のまま歩いて来る。
「なぜ効かきない!何故返事をしない!何故、何故、何故、何故この私が人間に、人間の方が間違っているのに、何も知らないくせに、私は何も悪くないのに」
勇者の強さに絶望する魔王は、膝をつき地面を叩きながら泣き崩れる。
目の前で止まる勇者は、絶望する魔王の前に大剣を捨てた。
剣が地面とぶつかり鉄の音を響かすと魔王は、顔を上げて勇者を見睨むように見ると勇者の背から何かが光る。
光る何かは後ろの天上の影まで伸びていた。
「いやー魔王でも泣くんだね、感情もない冷酷無慈悲の最強に近い存在だと思ってたのに、ガッカリしたよ、これじゃまるでただの人間みたいだね魔王のお姉ちゃん」
泣き崩れてる顔で声のする方を見てると天上の影から人影が現れた。
天上に現れた人影は、地面に降りて魔王に近づくと勇者の隣に並ぶ、窓から射す光、勇者より小さい男の子が目の前に勇者の隣に現れた。
理解が追いつかない魔王が口を開け勇者と男の子を見ていると男の子は、何かを理解した。
「あ、まだ気づいてないの僕が本当の勇者だよ、僕がこの姿で現れるの初めてだっけ?君の手下も僕達を勇者に祀りあげたこの大陸の人間達もこの姿知らないだっけ?ねぇねぇ僕の本当の姿見れて嬉しい?魔王のお姉ちゃん」
笑顔で一人喋る子供を見て、隙がありすぎると手持ちのナイフで不意打ちを狙う魔王だが、ナイフで刺そうとしてた手が動かない腕をよく見てるとさっきの勇者の背から出ていたものと同じものが魔王の腕にあり、気づくと全身についていた。
不意打ちも失敗し、新たに負けを確信して絶望する魔王に男の子が笑顔で提案する。
「魔王の姉ちゃん僕と世界旅行に行こうよ!」
世界を征服しようとしてた魔王からすると、とても馬鹿げた話だった。
「馬鹿じゃないの私は、この世界を征服しようとしてたのよ今更世界を見て回るなんて何の意味があるの?そんなことより早く殺してよ、君みたいな子供の相手死ぬほど嫌なんだけど」
子供をあざ笑う
「やっぱり魔王のお姉ちゃんは、面白い僕の相手が嫌なら死ぬまで僕のそばにいてよ」
「同じこと言わせないで君と一緒なるなら死んだ方がましって言っているの」
魔王は、激怒した。
「僕の許可無しに魔王のお姉ちゃんは、死なせないよ」
子供の笑みは、魔王も恐怖を抱くものだった。
「しかたないこの状況も打開できる力は、今の私にないもの」
心が折れた魔王は、渋々了承する。
子供笑みは、普通に戻っていた。
「僕の名前は、ウェルス、この大検を振り回していたのがツルギが偽名で本当の名前をリオネトって言うんだ、魔王のお姉ちゃん名前教えて」
「私は、何代目か忘れたが魔王のアリシアだ」
ウェルスは、名前を教えるとリオネトの影にもぐりこんだ。