またアイツがやらかしていた
ある日の事である。
重ねて言うが、食物連鎖を擬似的に作って10年が経とうとしているある日の事である。
何気なく、そう、何気なく支配下にあるドラゴンさんや糞野郎以外のモンスター達や動物達のステータスを確認していた時の話である。
またまた奴がやってくれていた。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
名前:ヘラスフォダラー
種族:ゴブリン族
個体:ソード・オブ・ロード
Lv.:Error
HP:Unknown
MP:Unknown
スタミナ:Unknown
攻撃力:測定不可
防御力:測定不可
素早さ:測定不可
耐久力:測定不可
知力:測定不可
運:主への忠誠が続く限り無限
スキル:【掘削Lv.MAX】【棍棒術Lv.MAX】【剣術Lv.MAX】【弓術Lv.MAX】【防御術Lv.MAX】【回避術Lv.MAX】【盾術Lv.MAX】【統率術Lv.MAX】【無属性魔法Lv.MAX】【火属性魔法Lv.MAX】【水属性魔法Lv.MAX】【風属性魔法Lv.MAX】【土属性魔法Lv.MAX】【空間属性魔法Lv.MAX】【重力属性魔法Lv.MAX】【時属性魔法Lv.MAX】【治癒魔法Lv.MAX】【蘇生魔法Lv.MAX】【指揮Lv.MAX】【人語Lv.MAX】【スキル統合:状態異常耐性Lv.MAX】【超越者Lv.9】
称号:【最初に生まれし者】【主に愛されし者】【崇拝する者】【不屈の忠誠】【越えし者】【頂点を目指す者】【支配する者】【剣を支配する者】【概念を越えた者】【英雄】【超越者】
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
まぁた、まぁーた、コイツはやらかしてくれてるよ。
はぃい?種族がゴブリンですら無くなってるんだけど?全てのステータスが測定出来ないんだけど?全てのスキルが【超越者】とかいうのを除いてMAXなんだけど?その【超越者】スキル含めて色々増えてるし称号も色々増えてるんだけど?
え、ヘラスフォダラーお前、え?何処まで行くのお前?え?
え?
「ヘラスフォダラー君ヘラスフォダラー君、ちょっとおいで」
「お呼びでしょうかマスター」
実はヘラスフォダラー君、3年ぐらい前からこのダンジョン内の至る所に出張しに行ってて、拠点となる泉近くに居ないことが最近多いんだよ。
そんなヘラスフォダラー君、何故か俺が呼ぶと今まではラグ有ったものの1分も掛からず俺の前に辿り着いてたんだよ。何処に居たとしても。
ここまでの彼の説明で既に色々おかしいけど、でもまだ現実的な方法だったんだよ。だって、走っての登場だったから。
それで、今の登場の仕方は、こう…、空間をグニャンと捻じ曲げて現れる、正にアニメや漫画みたいな登場の仕方をしたんだよ。しかもいつの間にか神々しい雰囲気のゴブリンではない人型の姿になって。
全く姿が違うのにヘラスフォダラーだとわかるのは、その声と雰囲気が完全に彼のそれであるからだ。
「おぉう、いつにも増して早いな」
「マスターをお待たせさせる訳にはいきませんので」
「お、おぅ、そうか。まぁその気遣いは素直に嬉しい。ありがとう。
いや、それで本題なんだけどさ、今回お前を呼んだのは、久し振りに皆のステータスを確認していたら、いつの間にか全然違うステータスになってる奴が居たんだよ。言わずもがなお前な。
で、色々聞きたいと思って呼んだんだよ」
「全然違う…、色々聞きたい…ですか。
私が答えられる事であれば何でもお答えしますよマスター」
ヘラスフォダラーはそう言ってニコリと笑った。
くぅー!今のヘラスフォダラー、限りなく人間に近い姿になってるから、普通にイケメンになってるんだよな!
笑顔が!ヘラスフォダラーの笑顔が眩しい!!
『…………私も色々聞きたい事がございます』
俺がヘラスフォダラーの笑顔にやられていたら、ダンジョンコアさんまで参加してきた。
「ヘラスフォダラー関連でダンジョンコアさんが出て来るなんて珍しいね?どうしたのいったい」
『マスター、事はそんな些事で済ませて良い状況ではございません』
「ほぇ?」
『マスター、現在貴方の部下たるこの元ゴブリンは、存在としては既に貴方より上の存在になっています。一言で言ってしまえば、神に最も近い存在にまで昇華しています』
「……………………ほぁあ?!」
俺は慌ててヘラスフォダラーの顔を見る。
「?」
そこには真底不思議そうな表情をしたヘラスフォダラーの姿が……。
「よーし、ダンジョンコアさん。一旦落ち着こうか」
『はい。私もマスターも落ち着きましょう』
「確認だけど、ヘラスフォダラー。お前、今のお前になるのにどれだけ頑張った?」
「?頑張るも何も、私はマスターに支えるモンスターとして恥じない強さと万能さを求めて最低限の義務を果たし続けただけですが?」
「その最低限の義務ってのは?」
「??……これは今も尚最低限しかこなせていませんが、マスターを想い、マスターに支える喜びを胸に、マスターにより良い健やかなる日々を過ごしていただく為に、日々己を磨き研鑽し続けているだけでございます」
「いやだから、具体的には?」
「具体的に、ですか?
マスターが自然を完成させてからの話でしたら、まず熔岩と呼ばれる物で己を鍛えました」
あ、既に頭が痛くなってきた。
コイツ、ホント、何してんの?
「あ、うん、具体的には?」
「まずは素手で熔岩を斬る訓練から始めました」
アウトォォォオオオオオオオオ!!熔岩を素手でとか、完全にアウトォォォオオオオオオオオ!!!!
なんだよ熔岩を素手で斬るって!そもそも熔岩に触れても大丈夫な皮膚してなかっただろ!触れたらその時点で溶けるだろ!第一素手で斬るとか、アニメや漫画の世界だけの話だからぁ!実際にやられると「あれ、もしかして俺にも出来ちゃう?」とか考えちゃうからぁ!!
ホントもう、コイツは、コイツって奴はぁぁあああああ!!
「始めた当初は斬ること叶わず、この右手を無くしてしまいました。そしてそれを治すために"治れ"と念じていると、【治癒魔法】を会得していました。
左手まで無くす訳にはいかないので、無くなった右手を使って更に熔岩を斬ろうと励んでいると、遂に右腕が肩程まで無くなった頃から、徐々に熔岩を無くなった腕で、溶かすことなく斬れるようになったのです。
そして腕の再生も、【治癒魔法】といつの間にか会得していた【蘇生魔法】がレベルMAXになっていた為、再生が可能となりました。
右が完成されたので、今度は左をと思い、次は」
「もう良い!!もう言わなくても良い!!お前が死ぬほど頑張ったのはよぉぉぉぉくわかった!!
だからお願いだ!これからはそんな死ぬような可能性のあることは控えてくれ!頼むから!!」
「…………?承知致しました」
ホントもう、コイツって奴は!コイツって奴はぁぁあああああ!!