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ダンジョンマスターは現地で立ち尽くす  作者: 荒木空
世界(ダンジョン)創世記
14/19

天地創造


 ο─────────ο




 『────以上でスキルの説明を終えます』



 なるほど?うん、1度に説明されてもいまいちピンと来ない。


 でも取り敢えず、わかった事について整理してみる。


 【スキル:天地創造】。これは文字通り天地創造、つまり自然を意図的に造り出すスキルだった。勿論ダンジョン内だけで、使えるのはダンジョンコアとダンジョンマスターだけ。

これを使えば、今まで地面を掘るしかなくて家なんて作れなかったのが、木を生やして作る事が出来るようになった!


 【スキル:森羅万象】。これはスキル【天地創造】で造り出した自然を操作するスキルだった。要するに、【天地創造】で大まかな自然を造り出して、【森羅万象】で細かな部分を整えるって感じ。

これで温泉も作れるみたいだから、ようやくお風呂に入れる!!


 【スキル:モンスター創造】は、【賢者の知恵】が言ってたみたいに好きなモンスターの赤ちゃんを創り出すスキルだった。【モンスター作成】もそうだったけど、生命を無から産み出すって、完全に神の諸行だよな……。あの糞神思い出すから、絶対神なんかにならねぇけど。

 【モンスター創造】と【モンスター作成】の違いは、【モンスター創造】が次に何に進化、つまりどう育つかわからない大まかな種族を1から産み出すスキルで、【モンスター創造】で創り出したモンスターの量産は出来ない。1体1体1からスキルを使って、多大なるリソースを消費することで使えるスキル。対して【モンスター作成】は、量産向きのスキルで、【モンスター創造】で創り出したモンスターの生態をしっかりと理解してからは、【モンスター作成】で量産出来る体制になった。

 ぶっちゃけモンスター関連はかなり便利になった。


 あと16個もスキルが有るけど、取り敢えず【モンスター創造】と関係の有るスキルを先に整理しよう。


 関係有るのは次の2つで、スキル【成長】とスキル【退化】。

 スキル【成長】は生物の成長を促進させて、好きなところで止められるスキルで、【モンスター創造】で産み出したモンスターもすぐに成長させる事が出来る。ただこのやり方だと、育ったモンスターは狼種ならただ爪と牙と体の中に魔石の有るだけの狼になってしまうから、それ以上の期待は出来ない。というかそれ以上発展出来ない。

 しっかりと強いモンスターにしたいのなら、時間を掛けろって事だな。


 スキル【退化】は、そんな【成長】で成長した生物を退化させるスキル。まぁ、つまり、生物を対象とした老化と若返りが自由になったって事だな。

 このスキルの凄い所は、肉体は若返るけど、手に入れたスキルや成長により育った精神なんかは自由に退化させる事が出来る事。これのおかげで、実質的な不老不死が出来るようになった。勿論ダンジョンマスターだから手に入れる事の出来たスキルみたいだし、対象はダンジョン内のダンジョン側の生物だけだけど。


 というかこの【成長】と【退化】、生物対象でダンジョン側の生物が対象だから、俺にも使えるんだよね!

 割と切実な問題で、俺、この世界に前の世界の姿のまま来てるんだよ。しかもこの世界に来てすぐにダンジョンマスターになったせいか、俺は未だに17歳の体なんだよ。


 鏡も無いのに何故わかるって?

 周りの動物達はドンドン老いて行ったり毛が伸びてるのに、俺は毛も伸びなければあれだけ動いたりしてるのに一向に筋肉もつかないんだぜ?その上あの糞ナルシスト君に「なんでお前、人間の癖に全く変化が無いんだ?あ、もしかして既に成長期が止まって、そんなチビのままなのか?うっわチッビ!」とか言われる始末。

 勿論言われた直後に野郎の頭かち割って、そのあとボコボコにされて糞ナルシストはヘラスフォダラーにボコボコにされてたけど。


 そんなことは良いんだよ!


 とにかくこれで俺も、ようやく成長することが出来るんだよ!!

 つまり年齢相応、30手前の憧れのイケおじになれるんだよ!!

 筋肉を付ける事が出来るんだよ!!



 まぁでも、その前にやることが有るんだけどね……。


 いやさ、今のままだと、例えイケおじになったとしても、自分の姿が自分で見れないじゃん?せめて水面、贅沢を言うなら前の世界で使ってたような透明度の高い鏡が欲しいじゃん?欲しくなるじゃん?


 だからイケおじになる前に、まずはイケおじになるための環境を整えようと思う。

 あとのスキルの整理は今は良いや。というかあんまり覚えてない。必要になった時に【賢者の知恵】に答えてもらうスタイルで行こう。


 それで良いかな【賢者の知恵】?



 『解答:【賢者の知恵】スキル保持者が【賢者の知恵】スキルをその都度行使すれば可能です』



 よし!難しいスキル説明はあと!

 今はイケおじになるために、環境を整える!!


 さて、憧れのイケおじになるための環境作りをするわけだけど、なにすれば良いわけ?



 『解答:まずは拠点となる場所をどうしたいかを意識し、そこから様々なパターンを考え実行するのがダンジョンマスター山田太郎としては最適』



 あ、【賢者の知恵】が答えてくれた。

 んー、でも、こういう時の受け答えはなんか、なんか【賢者の知恵】じゃない感が有るな……。



《マスター》



 別に【賢者の知恵】の返答が悪い、という訳じゃないんだけど…、なんか物足りないな……。



《マスター》



 んー、なんだ?…………まぁ、良いか。



《マスター》


「おぉう!ビックリした……。え、あ、ヘラスフォダラー、何?」


《……唐突に黙られたので、何かマスターに対して不快な想いをさせてしまったのかと…》


「え?あ、いや、違う違う。ただちょっと、新しくダンジョン関連のスキルを手に入れてな。その中にある【賢者の知恵】ってスキルに色々答えてもらってたんだよ」


《【賢者の知恵】……ですか?》


「そうそう。このスキルを使えば、知りたいことを知れるんだよ。


 だからダンジョンコアさんの位置も……、あ」



 そうだ、なんか足りないって思ったのは、今まで散々やってきてたダンジョンコアさんとの絡みが無いからだ。


 あー、我が儘なんだろうけど、あの脱線しまくる茶々がないと、かなり物足りないな……。


 【賢者の知恵】?ダンジョンコアさんが目の前にまた、姿を現してくれる方法ってない?



 『解答:ダンジョンコアは現在、ダンジョンマスターである山田太郎の心臓部付近、その高次元呼称である魂との融合を図っているため、従来のダンジョンコアとしての姿は確認することは出来ません』



 はい?俺の魂との融合?



 『解答:ダンジョンコアのレベルアップの方法の1つにある【ダンジョンマスターとの融合】があるため、それを実行していると考えられる』



 はぁ?

 じゃあ、融合した場合、ダンジョンコアさんや俺ってどうなるの?



 『解答:基本的に従来との差は発生しない。ただ、ダンジョンコアとダンジョンマスターが融合していれば、ダンジョンマスターはダンジョンコアの力を使えるため本来のダンジョンマスター個体の力より強力な存在として力を行使することが可能』



 えーと、つまり、俺が更に強化されるってこと?



 『解答:そうです』



 ちなみに、融合のあとは元のダンジョンコアさんとして、俺の前に姿を見せてくれたりするの?



 『解答:融合後、ダンジョンコアとダンジョンマスターを繋ぐ高次元的呼称にあたる魂にて従来よりより強固なパスを形成することに成功すれば、ダンジョンマスターの意向次第で可能となります』



 つまり、俺がダンジョンコアさんとの絆をより強固にすれば、また姿を現してくれるってこと?



 『解答:そうです』



 ふーん……。じゃあ今は、どうすることも出来ないんだな?



 『解答:そうです』



 そっかそっか。じゃあ今は、【賢者の知恵】のアドバイス通り、この周りの環境から整えるか!


 っと、その前に。



「ヘラスフォダラー!命令!今居るゴブリンや動物達を集めて来て!」


《…………また黙っていたようですが、先程のご説明を聞く限り、その【賢者の知恵】というスキルが関係しているみたいですね。


 畏まりました。すぐに行動します》



 ヘラスフォダラーはそう言うと、すぐにゴブリンキングを数名手招きして呼んで、色々命令してから自分もこの場から何処かへ行った。


 よし、前準備完了!

 作るぞ自然!作るぞ水!為るぞイケおじ!!




 ο──────────ο




 ヘラスフォダラーにゴブリンや動物達を集めてもらって、みんなにこれから行う事を話す。



「みんな!今から木や水場、そういった自然を作るぞ!」



 そう言う俺だったが、周りは頭の上にはてなを浮かべて顔を傾ける。


 一糸乱れぬタイミングでみんな首を傾げたから、思わず可愛いとか思ってしまったよ!可愛いなこんちきしょー!



《しぜん、なに?》



 最近話すことが出来るようになったんだろうか?1匹のゴブリンが言葉足らずながらも聞いてくる。


 ……あ、そっか。コイツ等、スキルで産み出したのもあるけど、自然とか知らないのか。


 この地面しかない、海すらもない無限の荒野しか知らないのか。

だったら急に自然とか言われてもわからないか。



「自然っていうのは……」



 あれ?自然について教えようと思ったけど、俺も自然とは何かなんて説明出来ないぞ?え、どうしよう……。



『解:自然とは人為が加わっていない、ありのままの状態、現象の事を指します。また、自然そのものの概念がわからない対象に説明を行うのならば、今ある荒野の仲間だと説明する方が、彼等にとっては理解しやすいかと思われます』



 あ、【賢者の知恵】さん……。

 ……了解です。その説明をします。



「あー、自然っていうのは、言ってしまうと今俺達が立っているこの荒れた大地、これも自然の内の1つだ。


 自然っていうのは、誰かが意図して産み出した物以外の事をいう」



 そうは説明してみても、やっぱりみんな首を傾げる。


 うん。実際に見てもらう方が良いかな、これ。



「わからないみたいだし、取り敢えず見てて」



 俺はそう言ってみんなから離れて【天地創造】スキルで取り敢えずこの場の自然を変える事にする。


 といっても、どうやれば良いんだこれ?



『解:スキル【天地創造】を意識しながら変えたい場所をどう変えたいか強くイメージすることで行使が可能です』



 おぉ、【賢者の知恵】スキルさん、そういうところまで答えてくれるんだ。

 ……前の世界にこのスキルが有れば、テスト中に使って満点とか取れただろうなぁ…。


 まぁ、もう、そんなこと言ってても仕方ないか……。


 さて、イメージイメージっと。

 思い浮かべるのは……そうだな……、森の中の小さな泉!かなぁ…?それとも大きな湖とその周りに森といわず林……とか?

 取り敢えず水場と木を生やすのは確定なんだけど、どういう形状にするかがイメージ出来ないな……。


 とかなんとか考えてたら、重い石像が今にも動き出しそうな音が周りに響き渡る。前の世界のゲームで、ダンジョンとかの隠し通路とか封印解いた時のような、ゴゴゴゴゴみたいな音。


 その音は少なくともこの世界に来て初めて聞いた音で、俺が初めてなら当然ゴブリンや動物達も初めてな訳で、みんながパニックになって、吠えたり鳴いたり震えたりしてる。

 そんなみんなをヘラスフォダラーが指揮して落ち着かせている中で、いつの間にか周囲の景色が変わっていく。


 荒野で土以外何もなかったこの場所、拠点としている所より少し離れた場所の地面が徐々に凹んでいって、拠点周りは地面に小さな草が芽生え始めてる。


 その勢いは時間が経つほどに増していき、目の前の景色が目まぐるしく変わっていく。


 出た芽が大きくなるにつれ太さを増して行き、凹んだ大地からは底の方から水が涌き出る。


 それは徐々に範囲を拡大していき、最終的には俺の思い描いていた景色になった。



「スゲェェエエエエーーーーーーッ!!」



 そりゃまぁ叫びますとも。本当に『凄い』以外の言葉が出て来ないほどの圧巻たる光景だった。絶対に日本に居た頃には見れなかった光景だ。



 …………ダンジョンコアさんとこの景色を見たいと思うのは、我が儘なのかな。


 うん。無くして気付くってやつだね。ダンジョンコアさんが居ないの、結構どころかかなり悲しいわ。

 ダンジョンコアさんのレベルが上がってまた復活させることが出来るようになれば、絶対復活させる。



 よし、新たなる目標が出来たし、この調子で自然を作って行きますか!


 っと、その前に。



「みんな!これが自然という物の1つ、木と水だ!


 木は背の高いやつの事で、水は俺やみんなの顔が写ったり冷たかったりするやつだ!


 木は種類が有るけど、取り敢えず木とだけ覚えてくれたら良い!

 水に関しては飲める水をイメージしてたから、たぶん飲める水だ!飲んでみるのも良いと思うぞ!


 じゃあ俺は他にやりたいことも有るし、各々自由に行動しちゃって!」



 それだけ言って、俺は走り出した。


 走る必要はないし、なんだったら此処に居る誰かに運んでもらった方が早いけど、今回は走りたかった。




 その後、俺は走り着いた先々で自然を作ってはまた走った。


 そして山を、海を、崖を、湿地を、森を、湖を、平原を、たまにモンスターが湧かない安全地帯に沿って木を生やした。

 途中、ヘラスフォダラーやドラゴンさんも手伝ってくれたりしながら自然を作った。


 それ等全てを行うのに、5年掛かった。


 そんな5年の後、久し振りに脳内に懐かしい声が響いた。



『お久し振りです、マスター……』



 唐突に聞こえたその声に、俺は思わず立ち止まり思考を停止させた。




 諸事情により、これ以降の更新は別サイトで書いたものをコピペした物ではなく、完全にこのサイトで書いた物になります。


 ですので1ページの文字数が極端に減ります。


 今まではその別サイトで更新したものの1章分を1ページ、または2ページほどで更新していました。

 ですが今後はその別サイトでは一切書きません。


 ですので1ページ辺りの文字量はこれまでと比べて極端に減ります。


 その事を、御理解と御了承していただければ嬉しいです。


 では引き続き『ダンジョンマスターは現地で立ち尽くす』をお楽しみください。



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