新しいモンスター─2
いや、流石に慣れたけどね?慣れたからこうやって色々考えられてるけどね?痛い物は痛いんだよ。
叫ぶぐらい痛いんだよ。氷魔法使って上手くいったと思った時点で普段の日常モードに戻ってんの。つまりスイッチをオフにしたの。だからその時点から俺、痛みとかを我慢する感覚がこの世界に来る前と同じなの。
もうね、泣き叫びたい。いや、もう、叫んでるけどね?
泣きたいの。泣き叫びたいの。でもね、俺の腕から流れる血を餌かなんかと思ったのかね?スライムが動き始めたの。ソレを見てヘラスフォダラーが俺を抱えて大きく距離を取ったの。その時に傷口は凄く空気に触れたの。軽く傷口が乾く程度には勢い良く距離を取ったの。そんな密度の空気に触れたの。
つまり尋常じゃないほど痛いの。
この世界には何故か、痛覚遮断とか、痛覚関連のスキルだけは無いの。今の俺のような痛みだけはしっかり喰らうの。
つまりだね?
俺は気絶した。
マジあの糞神、テメーがスキルの管理もしてるんだったら、痛覚遮断とかの痛みを和らげる系のスキルを追加しろやくださいお願いします。マジ痛いっす。勘弁してください。洒落になりません。
ο─────────ο
「ふぅ。あー、スライムって鬼畜だね」
気絶から目が覚めた。
俺が気絶している間に、たぶんヘラスフォダラーがスライムを殺したんでしょうね、ついでに俺の腕も治療したんでしょうね、スライムの核と思われる物が横になってた俺の頭の横にあって、俺の腕も元に戻ってた。
腕を元に戻すとか、スライムですら簡単に倒せるとか、今この周りに居る奴等の事を考えると彼以外あり得ないからね。
にしても、スライムさん、強過ぎだろ。手も足も出なかったわ。
《お目覚めですか、マスター》
色々考えてたら、ヘラスフォダラーに話し掛けられた。
ホントお前、雌で尚且つ人間だったら普通に惚れるぐらい色々やってくれんな。
「おぅ目覚めた。スライムとこの腕はお前がやってくれたのか?」
《左様でございます。あのゴミは私の方で処理させていただきました。
そしてお詫びを。いくらマスターを助けるためとはいえ、マスターの腕を斬り落としてしまいました。申し訳ございません》
「腕の事は良いよ、こうやって元に戻ってるし。
ソレにしても、毎回お前には助けられてるな……。
今回もありがとうヘラスフォダラー」
《勿体なき御言葉、ありがたく頂戴いたします。
マスター、目覚められて早々ではございますが、マスターにご報告がございます》
「俺に……?」
《ダンジョンコア様がマスターの事をとても心配されていました。具体的にはあのゴミを召喚しては魔法で殺すを繰り返すほど荒れておられます。
目覚められてまだ本調子ではないかと思いますが、至急ダンジョンコア様に目覚められたことをご報告した方がよろしいかと》
あー、なんというか、あー、んー、うん。うん。……うん。
「あー、了解。じゃあ早速ダンジョンコアさんに話し掛けてくるわ」
《行ってらっしゃいませ》
「お前は来てくれないのな」
《私が参りますと、ダンジョンコア様のお心を乱すことになると思われますので……。
ダンジョンコア様は…その、私の事をあまり良くは思ってらっしゃらないみたいなので……》
あー、そういえば、ダンジョンコアさんってヘラスフォダラーの事が嫌いだったよな……。
「……お前の事は伏せて、ダンジョンコアさんに話し掛けるよ」
《そうしていただけると嬉しいです》
「うん、了解。迷惑掛けたね。ありがとう。もういつもの鍛練に戻って良いよ」
《私はマスターの従者です。この程度の事は当然でございます。
では、失礼いたします》
ヘラスフォダラーの言葉を聞いて、俺達は互いに離れる。
にしても、はぁー。なんなんだろうね、あのツンデレさんは。ヒステリックにも程があるでしょ?
まぁ?生まれて10年の子供だと思えば?まだまだやんちゃしたい盛りだとも言えるだろうけど?
はぁー、悩んでても仕方ないか。
考えている内にダンジョンコアさん近くに着く。
そこではヘラスフォダラーの報告通り、スライムを召喚しては魔法でスライムを消してるダンジョンコアが居た。
視界の端に糞ナルシスト君が頭を抱えてプルプル震えてるのが見えるけど、今は無視する。
物凄く、そう、物凄く糞ナルシスト君を馬鹿にして煽りたいけど、無視する。
「ダンジョンコアさん」
俺がダンジョンコアさんに呼び掛けると、ピタリとダンジョンコアさんの作業が止まった。
まぁ、スライムを消してからだけど。
『お目覚めですか、マスター。相変わらず貴方は弱いですね。しかも、アレほど情けなく叫ぶなんて、恥ずかしくないのですか?』
「別に此処には身内しか居ないしね、恥ずかしいとは思わなくなったかな。ソコで震えてる糞ナルシスト君をぶん殴りたいぐらいで」
俺がそう言うと、なんか急に震えるのをやめて汚い言葉でなんか言ってる糞ナルシストが居るけど、うん我慢。我慢して無視。
『出来もしない事を仰られるのは、男としてどうなのですか?』
ダンジョンコアさんの言葉を聞いて、視界の端に居る糞ナルシストがなんか、「そうだそうだ!貴様みたいな家畜にこの俺様を殴るなんて出来る筈がないだろ!出来ても貴様の拳なぞ蝿以下よ!!」とか叫んでるけど、……無視。………………無視無視。無視。
「やってみないとわからないじゃん?それに、次やったとき駄目でも、その次の時には絶対やってやるし。
それよりダンジョンコアさん、俺が話し掛けるまで随分荒れてたね?どうしたの?」
なんか視界の端の糞ナルシストが、鼻で笑って「弱い家畜ほどよく吠える!やはり貴様は家畜だ人間!!」とか、今すぐぶっ殺したいぐらい腹立つ事言ってるけど、今は我慢……。我慢するんだ山田太郎……。今あの糞に突っ掛かったらダンジョンコアさんの話を聞けない……。
『何の話ですかマスター?私が荒れる?何の冗談ですか?』
さっきから俺が言い返さないのが原因か、なんか視界の端のコウモリが「はっ!図星過ぎて言い返す事も出来ないのか?それが貴様がこの俺様の家畜であるという証明だよなぁぁああああああ?」とか言ってるけど、がま、ん……。
「テメーさっきからうるせぇぞこの糞コウモリ野郎!!構ってちゃんのテメーに構ってる暇は俺にはねぇーんだよバーカ!!そんなに構ってほしいならヘラスフォダラーに頼めよバーカ!!俺は今、ダンジョンコアさんと話してんの!わかる?!見えてる?!そんな事もわかんねぇ小さい脳ミソのテメーはソコで一生震えてろバーカバーカ!!」
「んだとこの人間!今すぐ殺してやるから覚悟しろ!!」
「言ってろ糞コウモリ野郎!今回こそテメーの体を真っ二つにしてやるよ!!」
「んだとゴラ?!死に晒せぇえ!!」
「んだとゴラ?!死に晒せぇえ!!」
『……………………』
うん、無理。マジであの糞コウモリ野郎、すぐ調子乗る。今すぐ真っ二つにして黙らせないと、話にならん。
今回こそ絶対ぶっ殺す!!
『おいお主等、ダンジョンコア殿の怒りと儂の怒りを喰らいたくなければ、今すぐそのくだらないじゃれ合いをやめろ。
何よりゴミ、今回は全面的に貴様が悪い。大人しくしていろ』
「おい言われてんぞゴミィ!」
「おい言われてんぞゴミィ!」
『はぁー、やれやれ……』
俺と糞コウモリ野郎が各々の得物を持って斬り合ってると、ドラゴンさんがいきなり俺と糞コウモリ野郎の殺し合いに入って来て糞コウモリ野郎の頭を摘まんで持ち上げた。
「あぁ!ちょっ、ドラゴンさん!今すぐソイツを下ろして!ソイツ殺せない!!」
「そ、そそそそうですよドドドドラゴン殿。この矮小なる私めを下ろしてくださいませんか?そそそ、それに、ゴミはアレでございましょう?」
『はぁー……、やれやれ、お主達は……。
マスターよ、お主は何のためにダンジョンコア殿に話し掛けた?
そしてゴミよ、此処に居る全ての生物と非生物が、貴様はゴミだと認識している。故にゴミは貴様の方だ』
「………………………………………………えっ」
『儂が今から貴様で遊んでやるから、喜べ。
儂が遊び終わったら、へ、ヘラスフォダラー殿に貴様を渡すから、なおのこと喜べ』
「い、嫌だ!ドラゴン様!ドラゴン様に弄ばれるのは甘んじて受け入れます!
受け入れますから!
受け入れますから、何卒、何卒ヘラスフォダラー様に私めを託すのだけは、ご容赦願い」
『貴様の言い分は聞かん。空気を読まず、小心者で学習能力皆無の貴様にはお似合いの末路だ。
わざわざ儂やヘラスフォダラー殿の手間を掛けて引導を渡してやるのだ、嬉しいだろう?』
「いいえ全く!それに引導とか言わないで……、ドラゴン様?あの、何故あの家畜から遠ざかるのですか?
お止めください、お願いします。お願いしますから!どうかあのゴブリンの許には……、
クソォオ!覚えてろよ糞人間!!また邪魔が入ったが、次こそは殺してやるからな!!」
「言ってろ糞コウモリ野郎!それはコッチの台詞だバーカバーカ!!」
結局今回もあの糞コウモリ野郎は殺れず、ドラゴンさんの介入によって俺達の殺し合いは幕を閉じた。
閉じた。うん、閉じたんだ。
でも、俺にとっても糞コウモリ野郎にとっても、本番は此処からだった。
『……マスター?』
俺から離れていくドラゴンさんを見送っていると、後ろから声が掛かる。
勿論その声の持ち主はダンジョンコアさんなんだけど、普段の声色より平坦で、普段の声色より抑揚が無い。
思わずビクッとして、油の効きが悪くて錆びている壊れかけのロボットのように、手と足を同じタイミングで出しながら、後ろに振り向く。
完全に後ろに向こうとした瞬間、何かで頭を掴まれる。
何が掴んでるか見えないから、たぶん魔力だと思う。勿論その魔力の持ち主はダンジョンコアさん。
にしても、へぇー、魔力ってこういう使い方が
「痛い痛い痛い痛い痛い!」
『マスター』
ミリミリと、普通なら鳴らないような音が自分の頭から発せられてるのを聞きながら、さっきよりも平坦で抑揚の声でダンジョンコアさんに呼ばれる。
あのね、うん。チビるかと思った。
怖い。
「なんでございますでしょうかダンジョンコア様!」
『言葉がおかしいですよマスター。どうかなさったのですかマスター。私に話し掛けておいて、私を放っておいて勝手に喧嘩を始めたマスター。私に何か用が有ったのではないですかマスター。何か答えてくださいよマスター。私はちゃんと、例え敵が攻めて来たとしても、ちゃんとマスターの仰る事を聞いて返事をしますので、ゆっくり、焦らず、ちゃんとお話ししたいことをお聞かせくださいマスター』
言葉を重ねる毎に、俺の頭が悲鳴を上げていって、遂に頭から血が出始めた。
アカン、これ、1度死ぬの確定や。
思わずエセ関西弁が出る程度には、ダンジョンコアさんの怒りのボルテージが高かった。
『くだらないことを考えてないで、さっさとお話しください。
汚い花を咲かせますか?』
「言います!言いますけど今は痛みが先行して正直考えが纏まりません!なので1度、解放はしなくて良いので力を弱めてください!!」
『…………………』
なんか、ダンジョンコアさんから不服そうな雰囲気を感じたけど、力を弱めるんじゃなくて解放してくれた。
痛ぇ……。痛ぇよ……。正直このまま黙ってこの目の前の我が儘理不尽様の事なんか放っておいて
『マスター?』
「うぃっす。話すっす。話すっすから、このままでも良いんで、力はマジ緩めてくださいっす。俺の頭に綺麗な花が咲きます。およそ人生で1度しか咲かせない綺麗な花が咲くっす」
『では今、マスターがやることは?』
「ダンジョンコアさんに話し掛けた理由とその内容を話すことっす」
『そうですよね?では話してください』
そう言うと、今度は解放はされずに頭に手みたいなので捕まれた感覚は残ったままだけど、一応力を緩めてくれた。
マジおっかねぇダンジョンコアさんだ。
「あー、で、話し掛けた理由なんだけど……」
『はい』
「最近……というかここ5年以上?俺達あまり話してないし、ダンジョンコアさん拗ねてたし」
『拗ねてませんし、マスターが話し掛けて来なかったので話す理由が無かっただけです。勘違いしないでください』
「OK、OK。そうだな、俺が話し掛けなかったのが悪いし、拗ねてなんていないよな。だからまた込めた力を抜こうか。話してる間に花火を周りが見ることになっちゃう」
『良いから早くお話しください。
それとも、本当に真っ赤な汚い花を咲かせてみますか?』
「うぇいうぇいうぇい、落ち着くんだダンジョンコアさん。俺は非常に落ち着いてるからダンジョンコアさんも落ち着いてく」
『落ち着いてます』
「わ、わかった!わかったからマジで緩めてダンジョンコアさん!流石にこの辺が限界!
じゃあ話すね!
ここ5年以上話してなかったし、ダンジョンコアさんめっちゃ不機嫌だったし、理不尽に一人で拗ねて周りに当たる超めんどくさい女みたいな事してたけど、俺、そういうの良くないと思うんだ!!
それにダンジョンコアさんが何が原因で拗ねてるのかわかんないから、余計俺も訳わかんないし、周りも迷惑してるから、そろそろここら辺で仲直りしないかな?って提案するつもりで話し掛けました!
だから早く解放を」
『1度死んで"オブラートに包む"という言葉を覚えてください』
ソコで俺の意識は途絶えた。
うん。流石に俺も、いくら痛みで余裕が無かったとはいえ、もう少し言葉を選べたと思うんだ、うん。
目が覚めることが有ったら謝ろう。うん。
ο────────ο
「ダンジョンコアさんと俺のアライアンス!!」
《…………マスター、生き返って早々、何を仰っているのですか?》
「あ、ヘラスフォダラー。あ、つまり俺、生き返れたのか」
《えぇ、まぁ、流石に1年もマスター不在は我々も行き場を失いますので……》
…………はい?1年?
「はい?1年?今、このゴブリン、1年って言った?」
《私はゴブリンですし、マスターは1年間死んでました》
………………………………はぁぁぁぁああああああああああああああああ???
え、は?あのダンジョンコア、1年も俺を復活させなかったの?
え、マジであのまま永久死、つまり完全に死亡するところだったの?
ヒステリックにも程があるだろ、あのダンジョンコア。
「ヒステリックにも程があるだろ、あのダンジョンコア」
《…………私からは何も言えません》
私からは何も言えませんって…、……はぁー。
「ヘラスフォダラー、ダンジョンコアさんは何処?」
《マスターを復活させたあと、何処かへ消えました》
マジめんどくさいな、あのダンジョンコア。
初恋で拗らせたメ〇ヘラかよ。
「わかった。取り敢えずダンジョンコアさんが次に姿を現すか、コンタクトを取って来るまで放っておこう。流石に姿を消されたのならどうしようもない。
じゃあ次にダンジョンコアさんが姿を現すまで、1年も空いちゃったけど、当初の目的通り新しいモンスターの殊について考えよう」
俺がヘラスフォダラーにそう提案すると、唐突に頭にあの激痛が押し寄せてきた。
【スキル:天地創造 を 獲得しました】
【スキル:森羅万象 を 獲得しました】
【スキル:モンスター創造 を 獲得しました】
【スキル:鑑定 を 獲得しました】
【スキル:賢者の知恵 を 獲得しました】
【スキル:瞬時移動 を 獲得しました】
【スキル:調整 を 獲得しました】
【スキル:MP変換 を 獲得しました】
【スキル:LP変換 を 獲得しました】
【スキル:成長 を 獲得しました】
【スキル:退化 を 獲得しました】
【スキル:アイテム格納 を 獲得しました】
【スキル:アイテム搬出 を 獲得しました】
【スキル:配置 を 獲得しました】
【スキル:部屋創造 を 獲得しました】
【状態異常系のスキル全てを取得し全てレベルが上限に達しました スキルを統合し、新しいスキルへと変換します】
【スキル:状態異常耐性Lv.3 を 獲得しました】
【スキル:武器創造Lv.1 を 獲得しました】
【スキル:魔力視Lv.1 を 獲得しました】
【スキル:錬金術Lv.1 を 獲得しました】
前回この痛みを味わったのは魔法系のスキルを手に入れた時だった。それ以来初めての大量スキル取得による頭痛は、前回より酷く、尚且つ慣れるようなものじゃない。
目覚めたところだったが、俺はそのまま、再び意識を失った。
ο──────ο
「気絶したり死んだりするのが俺のお家芸になりつつある気がする」
《4日間の気絶からお目覚めですマスター》
「お、ヘラスフォダラー。今回は4日間なんだ?
にしてもなんでだろう、俺、気絶してたってのに全く同様どころか、この状況に慣れてきてる気がする」
《私はマスターが何故そこまで意識を手放されるのかが疑問ですし、とても心配になります》
「俺も好きで意識無くしてる訳じゃないんどけどな?
ほら、アレよ、アレアレ」
《アレ、とはなんですか?》
「アレよ、アレ。…………うん。アレはアレだ」
《思い付かなかったのですね》
「ちょっと黙る」
《冗談でございます》
「うん、知ってる」
というかそう思いたい。
さて、今回は4日間気絶してたのか。前回は14個のスキルを獲得して数時間だったのに対して、今回はアナウンスみたいなのを入れて20か……。
6個多いだけでなんでこんな時間が掛かったんだ?
……とか、まぁ、考えても、考えられる理由は1つだよな。
明らかに神の領域の物だと思えるスキルをいくつもゲットしたんだもんな。そりゃその分だけ症状は重くなるわ。
なんていうの?パソコンに新しいアプリを落としてて、処理が追い付かずフリーズする感じ?って、俺の頭は機械かよ!
…………虚しいな……。
さて、今考えるべきは新しいモンスターの事もそうだけど、それよりもまず現状とスキルの確認をしないとな。
まぁ、スキルを大量にゲットしたのは、アレだろうね。ダンジョンコアさんのレベルアップ。ダンジョンコアさんがレベルアップしたから、俺にもその影響が出て大量にスキルをゲットしたんだろな。
問題は、そのダンジョンコアさんが何処に消えたのか、新しくモンスターの種類を増やすためにはどうすれば良いのか、どのスキルがどういう効果を持っているのか、この3つだな。
そう考えると、唐突に頭の中に情報が流れた。
『解答:ダンジョンコアは現在、ダンジョンマスターである山田太郎の心臓部分に存在し、自身の存在を隠しています』
『解答:ダンジョンコアのレベルアップにより獲得したスキル【モンスター創造】により、好きなモンスターの生まれて間もない幼体を創り出す事により問題は解決します』
『解答:ダンジョンコアのレベルアップにより獲得したスキル【鑑定】、及びスキル【賢者の知恵】を併用する事により、詳細を知ることが出来ます』
………………What's?
『解答:ダンジョンコアは現在、ダンジョンマスターである』
いやいや違う違う!今聞いた内容は理解してるから!そうじゃなくて、いきなり知りたい情報とか知れたから、「え、何が起きたの?」って内心パニックになってのWhat's?だから!聞き逃したからもう一度言って欲しいとかじゃないから!!
『解答:スキル【賢者の知恵】により、ダンジョンマスターであるスキル保持者の山田太郎の疑問に解答しております』
ほぅ?え、つまり君はスキル?
『解答:そうでございます』
あー、また、またなんか、理屈がよくわからないスキルが手に入ったな……。
まぁ、良いや。
えーと、じゃあスキル【賢者の知恵】、取り敢えずスキル【鑑定】から使い方を教えて?
『解答:スキル【鑑定】は……』
唐突に消えたダンジョンコアさんの行方はすぐにわかったものの、急に使えるスキルが増えた事による情報整理をするために、俺は一時、モンスターの件を頭から離して、その場で情報整理に努めることにした。