幅広いシェアを可能とするための信用たるIDを支える生体認証の精度の話
最近、世界中で様々なものをシェアあるいはレンタルが流行っています。例えば家のシェア。ある人は二つの国にそれぞれ一つの家を持っているのですが、自分が使っていない方の家を誰かに貸すことで片方の家の経費を払うだけで二つの家をやりくりすることを可能にしてます。また、米国で特に注目されているのは、自家用車を持っている人が空いている時間をタクシーとして稼ぐことができるシェアシステムです。また国内では空き時間や空き機材がある印刷会社に印刷を発注し、刷り上げる機材のシェアシステムなどが生まれました。
このように現在のシェアは家などの場所や移動方法、服などの物など多岐に渡ります。
そんなシェアを支えているのが信頼です。そしてその信頼の構築を可能としているのが相互評価のシステム。多くのユーザーは、その指標としてサービスの提供者と利用者とが相互につけ合う評価を参考にしています。双方向でレビューし合うという仕組みをつくることで、いたずらや嫌がらせなど、信頼を担保できないレビューを減らすという効果も期待できます。メルカリにも応用されているため、メルカリを利用している人は馴染み深いのではないでしょうか。
そして今回は世界的に流行しているシェアを支えている信用についてのお話です。
使ってないものや家を隙間時間でシェア出来るのは便利なシステムである。今では家のシェア、機材のシェアなど、その事業は多岐に渡る。そしてそのシェアを支えているものが信用である。貸す側も信用のない人に貸したくないし、借りる側も信用がない人から借りたくない。逆を言えば信用させあれば相手は誰でもいいのだ。そこでその信用を可視化するために広く導入されているのが相互評価というシステムだ。借りた側、貸した側、お互いに評価することによってどちらも汚点がつかないように注意を払う。シェアやレンタルの世界ではこの信用が重要なステータスだ。メルカリなどもこのシステムによって運営が深入りすることなく、ユーザー間での信頼の構築を可能にしている。しかしながら、このシステムを持ってしてもこのデジタル世界では時として意味をなさない場合がある。例えば、アカウントを2つ以上用意すればどうだろうか?。家を貸してもらって、ボロボロに汚して帰ったとしよう。すると貸した側は悪評価をつけるわけだが、アカウントが2つ以上あれば、もう片方のアカウントでやり直せば評価はなかったことに出来る。このようにアカウントが2つ以上あれば悪用が可能であるため、アカウントの複製を禁じているサービスは多い。しかし、それでも複製は簡単なものだ。例えばフェイスブック、フェイスブックは登録に必要なものはメールアドレスだけなので簡単にアカウントを複製できる。そしてフェイスブックアカウントというのは多くのSNSサービスでそのアカウントから新規登録が可能なため、悪用しやすい。もちろん、複製の対策のために電話番号での登録の必要性があるサービスもあるが、それでもやり方によっては一つの電話番号で二つのアカウントの複製も可能だ。そこで相互評価による信用の構築を崩さないためにも、如何にアカウントの複製を防ぐか、ということが重要である。
全世界共通のIDでもあればいいのだが、残念ながらそんなものはない。正確に言えばフェイスブックはそうなりつつあるが、さすがにそれだけでは心もとない。そこで今現在の技術で簡単に、そして複製がしにくいようなものとして指紋認証が挙げられる。しかし、指紋認証にも抜け道はいろいろある。なんでもスマホの指紋認証はオモチャの指紋採取のキッドで採った指紋でも反応したとかなんとか…。そう言った事例もあるため、指紋認証では心もとない。
そこでいま見直されているのが顔認証である。これならばスマホのカメラで簡単に登録出来るのだが…現在のスマホでは写真に写った顔でも認証してしまうほど精度が低いのだ。そこで奥行も考慮した3Dカメラによる認証の研究が進められているのだが…実用的な段階にはもう数年かかりそうだ。
指紋認証も顔認証も今はまだ信用に足るようなものではない。少なくともそこに自分の全財産を安心して預けられるようなセキュリティはない。そこで私が個人的にお勧めするのが静脈による認証である。静脈認証は主に手や指の静脈で人物を判断する認証方法なのだが、静脈認証は精度が高く、個人特有のものなので偽造もしにくい。おまけに経年劣化もしにくいとのことだ。すでに金融機関ではこの静脈認証を導入しているところも多い。しかしながらこの認証方法にも弱点があって、静脈を測定する機械がそれなりの大きさになってしまう点だ。そうは言ってもせいぜいテニスボールくらいの大きさで済むのだが、それをスマホに搭載することは難しい。
機能性に優れているが、信用性に欠ける顔認証や指紋認証。信用性はあるが機能性に欠ける静脈認証。ネットという相手の顔が見えない世界で信用できるアカウントを支える次世代の個人の認証方法は果たしてどのようなものになるのだろうか?。
全世界共通のその人物の半身とも言えるような信用性に富んだIDがあれば、シェアの幅も広がるだろうし、取引もより容易で安心性のあるものになる。さらなるシェアを広げるためにも、己の財産を安心して任せられるように、認証の技術の開発が必要とされるだろう。
でも多分最終的には顔認証で落ち着くのかなぁ。…うーん、でも顔認証はやっぱり不安なんだよねえ。スマホにも搭載できるくらいの大きさで静脈のような信用性のある認証方法があればいいのだが…。