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第5章:親子

第5章


月を見ていた。とても綺麗で、今日は満月だった。

ペペロンチーノは地面に寝っ転がり空を見ていた。風が気持ち良い。

そこへ、隣に獣人化を解いたランドが寝転がる。

「戦っている最中、君が2人いる感覚に襲われたんだが…アレは何なのだい?」

「アレは、俺が攻撃を繰り出した時に当てなかった時があったよな?」

ペペロンチーノは、スタミナ切れを狙うランドの姿を思い出す。

「あの時、攻撃を当てなかったのは…空気を殴ってたから。途中で止める事で起こる衝撃破を貯めていたんだ!それを何回もすることで時差が発生して、攻撃をした何秒も後に攻撃が来る」

「そうか…あの時の行為は、スタミナ切れを狙っていたのでは無く…攻撃の一部だったのか」

ペペロンチーノは驚いた。

月が雲に隠れた。辺りは暗くなるが、また月が現れる。

実の息子と殴りあい、そして負けた。もう何も言うことは無い。

「強くなったなエイツリー…」ペペロンチーノは呟いた。

「んっ?おっさん?何だって?」ランドは身を起こして聞き返すが、ペペロンチーノは何も言って来ない。

その時、頭に衝撃が走る。

ガンッ!

その衝撃が走る原因をランドは見るとプリムが拳を固めて立っていた。

「あんたねぇ〜、さっきから"おっさん"って…失礼でしょ!」

「失礼って…あのクソ長い名前を途中で間違う方が失礼じゃんかよ!」

ガンッ!

また頭に衝撃が走る。

「"クソ長い"とか言わないの!そー言うのを失礼って言ってるのよ!」

頭を擦りながら、ランドが言い返す。

「じゃあ、何て呼べば良いんだよ!おっさんなんだから、おっさんで良いじゃん!!」

ガンッ!

三度頭に衝撃が走る。

「おっさんじゃなくて、親父とかお父さんとか…」

はっ!として口を両手で塞ぐが、もう遅かった。

「親父?お父さん?何を言ってるんだ?」

プリムが慌て振りまく。

「い…いや!違うの!その…あの…ほらっ!アレよアレ!」

言っている意味が分からないプリムにランドは首を傾げた。

「ランド君!気にすることは無い!私の事は、おっさんと呼んでくれて構わない!」

いきなりペペロンチーノが起き上がりランドの肩を叩いた。

鎧を纏った手甲が、ランドの肩を外す。

「痛っっってぇーー!」

ランドは体を反射的にずらすと、ギラリとペペロンチーノを見た。

左手は右肩を押さえている。

「あっ…スマン。そこまで力を入れていなかったのに…」

汗を垂らしながら、ペペロンチーノは謝罪をした。

「お兄ちゃん!大丈夫?」そう言いながら、ソフィアが近付いてくる。

「私が今から治すからっ!」そう言って、人間から狼の姿に戻る。

戻る際に、何かがソフィアから落ちてペペロンチーノの足元まで転がって行った。

どうやらロケットの様だ。

ペペロンチーノはそれを拾うと、拾った衝撃でロケットの蓋が開いた。

ロケットの中には、小さな女の子が白い犬と写ってる写真が入っていた。

その写真を見たペペロンチーノは声を漏らした。


「リリス!」


何故、あの子がこの写真を持っているのであろうか…。

確かあの子は、"人間の魂"を宿した狼だと言っていた。"人間の魂"…まさかな。

ペペロンチーノは静かに蓋を閉じてソフィアに近寄った。

「お兄ちゃん!治らないよ!肩が治らない!」

「落ち着けソフィア!俺達は外傷なら治せるだけだから、骨は治せない!ハメてくれればそれで良いんだ!」

「ハメる…って!それは男の人が…」

ガンッ!

ソフィアの頭に衝撃が走った。

ソフィアはその衝撃の原因を見ると、拳を固めたプリムが立っていた。

「プリムさん!何をするんですか!動物虐待ですよ!」

「うるさいわよ!このエロ狼!」

「エロはどっちですか!このエロ王女!」

「良いから…そんなのどっちでも良いから、誰かハメてくれよ…」

「私がハメてあげるわ」とプリムがランドに近づいた。

「ハメる!って、まさかプリムさんって男!」

ガンッ!

ソフィアは衝撃に耐えられず顔を地面につけた。

「下ネタ言うなっ!エロ狼!」

プリムは再びソフィアを殴るとランドの肩に手を触れる。とその時、ゴキッ!と鈍い音が聞こえた。

「痛ってぇ!」

ランドはまた身を翻しプリムの方を見る。半分、泣いていた。

しかし、右肩を見ると綺麗にくっついていた。

「あ…ありがとうプリム」

泣きながら頭を下げた。

「いいよ。気にしてないから」とプリムは手を振りながら答える。

「頭に来たわよ!何度も何度も殴って!」とソフィアが顔を上げてプリムを見た。

「お嬢さん…」

「本気でかかって来なさい!エロ狼!」

「さっきから、エロエロウルサイわね!このエロ王女!」

「あの…お嬢さん…?」

「エロエロ言ってるのは、あんたの方よ!エロ犬人間!」

「カッチーン!頭に来ちゃいましたよ!ランドお兄ちゃんを私から奪おうと企むエロ悪代官王女!」

「お嬢ちゃん…あの…」

「誰がエロ悪代官王女よ!そっちこそ、私のランドを奪おうとしてるじゃないっ!」

「何が"私の"よ!あんたなんか、ランドお兄ちゃんは眼中に無いわよ!」

「お〜い…お嬢さん!」

「あんたの方が眼中に無いわよ!可愛いくない妹くらいにしか…アレ?それソフィアの?」

「可愛い妹の間違いでしょ!……んっ?おっさんどうしたんですか?」

ガンッ!

三度頭に衝撃が走る。

「アンタは一番関係無いんだから、おっさんとか言うな!」

プリムはソフィアの頭を殴る。

「これ…お嬢さんのだろ?」とペペロンチーノはソフィアにロケットを差し出した。

ソフィアは顔を上げてプリムを睨むと、視線をペペロンチーノに向けた。

そして獣人化をして、差し出された物を受け取った。

錆びた銅色のロケットだ。はっ!として、胸元を擦るといつの間にか落ちていたようだ。

「もしかして…中、見ちゃった?」

ソフィアは恐る恐る聞いてみた。

ロケットの中に入ってた写真は、もう何年も前に死んだ私の娘の写真だ!何て言えず、首を横に振る。

「良かった…大事な物だったんだ…ありがとうオジサン」

ソフィアはペペロンチーノの顔を見た。

ペペロンチーノはソフィアの顔を見た時に驚いた。まるで、娘が目の前に立っているかのような感覚…生き写しの様だった。

「失礼だが、君の魂は何処で手に入れたんだい?」

ペペロンチーノは聞いてからしまったと言う顔をした。

ソフィアは目を伏せた。

「ごめんなさい…あんまり話したく無いの…」

その言葉を聞き少し胸を撫で下ろした。

もし話してしまっていたら、俺はこの娘を…いや娘とは関係は無いんだ。

「ランド君!この子を大事にしてやってくれよな!」

ペペロンチーノはソフィアの頭を撫でた。

ゴンッ!

手甲を外すのを忘れていた。

ソフィアはまた、地面にキスをした。

「あああ!大丈夫か?スマン悪かった!」

慌てながら、ペペロンチーノはソフィアを起き上がらせた。

ソフィアは鼻に土が入った様でケホケホと咳をしていた。

「ううう…」

遂には泣き出すソフィア。

ペペロンチーノは殺気を感じて後方へ飛んだ。すると、今までペペロンチーノが居た場所に3本の斬撃が入った。

ペペロンチーノは振り向くと、怒りを表すウルフの姿があった。

「ソフィアを泣かす奴は何処のどいつだ!」

ウルフは辺りを見回すと、ペペロンチーノの方を見た。

「今、お前がソフィアを殴って泣かせたのを見たぞ!殺してやる!」

目が本気だった。

さっきまで、腕試しをしていた目付きとはまったく違う。

これが…彼の本気か…。

ペペロンチーノは背筋を凍らせた。

グルグルと喉を鳴らし、今にも食ってかかってきそうなウルフ。

ゴンッ!

ウルフもまた、地面にキスをした。

「ランド!シスコンじゃ無いでしょ?何でキレるのよ!!」

殴った姿勢のままプリムが叫ぶ。

頭を擦りながら起き上がり獣人化を解いてランドが答えた。

「な…何と無く…」

ゴンッ!

ランドの視界が暗くなる。鼻と口に土の味がした。

「何と無くでキレるなっ!」殴った姿勢のままプリムが叫ぶ。

ランドは、ムクりと起き上がりソフィアに視線を戻し近寄った。

「ソフィア!コレッ!この花をあげるから、泣くのを辞めるんだ!」

ランドは花びらが白と紫の綺麗な花をソフィアに渡した。

この花は、昼間ランドが言っていた"永遠の…"何かって言う花言葉の花だ!

月明かりで、広い豪邸の庭で…プロポーズには最適な感じだわ!

「お…お兄ちゃん!コレ!この花は、永遠の…何かって奴でしょ?良いの?私に渡して?他に渡す人が居るんじゃないの?」ソフィアは泣くのを辞めてランドに聞き返した。

「いや、いいんだ!最初にソフィアに受け取って欲しいんだ!」

※花が1本しか無かった為に、ペペロンチーノ邸には後日渡すつもり。

「でも!本当に私で良いの?」

※ソフィアは"永遠の愛"とか勘違いしてます。

「ソフィア、貰ってあげて!それが、ランドの気持ちなんだから」

※プリムは花言葉の意味を知っています。

「プリムさん…いつも、喧嘩ばっかだったけど…さっきのお返しもしなきゃだけど、ありがとう!幸せになるからね!」

「大丈夫だって!俺が何不自由なく幸せにしてやるから!」

※腹一杯飯を食わせてやる!と言う意味。

「お兄ちゃん!(家は)デかいのが良い!」

「分かった!(獲物は)デかいのだな!大丈夫だって!心配すんなよ」

「(子供は)3匹くらい欲しいね」

※狼なので。

「(獲物が)3匹か…少し多くないか?」

「(子供で)野球チーム作りたいから最初はそれぐらいが良いでしょ?」

「(獲物で)野球チーム?無理だろ?」

「大丈夫よ!お兄ちゃんが頑張れば良いんだから!」

「(狩りを)俺がか?プリムに手伝わせても良いか?」

「駄目よ!何さりげなく変な事言ってんのよ!」

ソフィアは怒り出した。

「だって、俺一人じゃ大変じゃん!(獲物を捕る事が)」

「プリムさんは、女なんだから尚更無理でしょ?(子供を作る事が)」

「じゃあ…ソルとルルに協力して貰うよ…」

「何でよ!お兄ちゃん1人で良いじゃん!」

「ね…ねぇソフィア?色々妄想する前に、花言葉の意味を教えてもらったら?」

プリムは2人のやりとりに、疑視感を覚えていた。

前にもあったなぁ〜…確か、花言葉の意味を知った時にランドをただの物体へと変えたっけ?

きっとソフィアも勘違いしてんだろう。そう思い、傷は浅い内につけろ!と言う理屈を立ててソフィアに話しかけた。

「お兄ちゃん…花言葉って何なの?」

「"家族"だ!永遠の家族!」ランドは笑って答えた。

ソフィアが拳をプルプルと震わせた。

「私の幸せって何?」

「腹一杯食べる事だろ?俺も幸せだもん」

「私の幸せって!お兄ちゃんの幸せと同じにすんなーー!!」

ドコッ!

ソフィアの会心の一撃が、ランドにヒットする。


「ランド君…大丈夫かね?」

ペペロンチーノは庭の隅で倒れている物体に話しかけた。

「お…俺が、花を渡すと…殺されかける…な…んで?」

バタッとまた倒れた。

ペペロンチーノは振り返ると、ソフィアは怒って屋敷に入って行く所だった。グランツ夫人も付いていく。

プリムだけが、コチラに駆け寄って来るのが見えた。

「ランド!良かったね!まだ、意識がある分向こうも本気じゃ無かったんだね!」

プリムは物体に話しかけた。

「もしかして、プリム様にもあの"花"を?」

物体はビクッ!と肩を震わせて、頷いた。

「ランド君…君は立派に戦ったよ…。だけど、女心を少し知った方が良いぞ…」

と物体の肩をポンッと叩く。

ボキッ!

何かが折れる音がした。

ペペロンチーノは驚いて、手を見るが手甲はしていない。

見ると、プリムが棒を折っている。

どうやら、物体をこの庭に埋めていく準備をしているらしいが…

「じゃあ、ランド君!頑張ってくれ!」

そう言いながら、その場を後にしようとペペロンチーノが立ち上がると、物体が足を掴んできた。

「た…助けてくれ…」

そんな物体を見て、プリムが物体を掴む。

凄い力でペペロンチーノの足から引き離さた。

静かな夜にランドの悲鳴が響き渡る。

次の作品からは、ちゃんと書くつもりです。

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