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第4章:決戦!

第4章


庭にただ一人立ち尽くす男がいた。

彼はランドを待っていた。

庭の端から、金色の狼人間が現れる。

その後ろには、白髪の女の子、クルシスランドの王女、そして我が妻。

ウルフは静かに男に歩みよる。

男は完全武装をしていた。

黒い鎧を頭から爪先まで被り、宝石が散りばめられた剣を握っている。

月明かりが彼らを照らす。

ペペロンチーノは息を吐くと叫んだ。

「行くぞっ!」


拳を固めて、一歩前に出る。相手の踏み出しに予想を立てて体をずらすと、広げたままの左手を突き出した――不利下ろされる相手の剣に向けて――

音も立てず、ペペロンチーノの剣を受け止める。ペペロンチーノは自分が置かれた状況に気づいていないようだった。

相手が表情を変える隙も与えず、ランドは更に半歩を踏み込んだ。右手はいつでも打ち出せる状態で、自分の胸元にある。

「ふっ!」

息吹と同時、がら空きの脇腹に拳を突き入れる。

だが、鎧は固くランドの拳は跳ね返された。

続けて斬りかかってきたペペロンチーノの横を、ランドは半歩ほど体をずらして通り過ぎた。と同時に、相手の背中を追うように体の向きを入れ替える。

当然、ペペロンチーノもこちらを向こうとするが、上半身はともかく下半身までは完全に回転出来ない。

後ろ向きになっているペペロンチーノの膝の裏に、ランドは蹴りを喰らわした。

ペペロンチーノはバランスを崩し、地面に倒れこんだ。

体の支えを失ってうめくペペロンチーノの背中に、更に強めに蹴りを喰らわす。

ランドは殺気を感じて、体を投げ出した。

ペペロンチーノは重い鎧を着ているのにも関わらず体を起き上がらせた。

「ふむ。今のは良い攻撃だった。だが!次はそうは行かないぞ」と叫びながら、襲いかかってくる。

ランドはそれを正面から受ける。

ちまちまと攻撃をした所で意味は無いと知ったので、今度は大技を繰り返すつもりだった。

ペペロンチーノは下から剣をなぎ払う形で振り回す。ランドは側転をしてかわすと、地面に足が着いた瞬間に地面を蹴り懐に飛込んだ。

左手を固く握り鎧に打ち込む一歩手前で腕を止めた。その後に右手を固く握り前へ突き出すが、鎧に当たる一歩手前で止める。

「何のつもりだ!」

ペペロンチーノは叫びながら、剣を振り下ろす。

剣先が地面に刺さる頃、ランドは後ろに回り込んでいた。

ペペロンチーノは上半身を回して斬りかかるが、ランドは体をずらしてまた攻撃をする。が、当たる一歩手前で止める。

一行に攻撃を当てないランドに腹を立てたペペロンチーノは、剣を振り回す。

しかし、ペペロンチーノの攻撃は素早いランドに当てる事は出来ない。何度か剣が地面に突き刺さる。

その度に、ランドはパンチや蹴りを繰り出すが、攻撃は当てなかった。

「私のスタミナ切れをまっているのか?それでは、私には勝てない!」とペペロンチーノが叫ぶ。

「いや、スタミナ切れなど待ってはいない。俺の攻撃が"来るのを"待っているだけだ!」とランドはペペロンチーノを見ながら言うと、姿を消した。

「また背後から狙う気かっ!」とペペロンチーノは後ろを向いた時だった。背後から、衝撃が来る。ペペロンチーノは舌打ちをし、剣を背後に斬りかかるとそこにランドの姿は無かった。

「何!?」

今度は、勢いで延びきった右腕に衝撃が走り、剣を落としてしまった。

ランドは右腕に蹴りを喰らわしている。ペペロンチーノは、左手を固く握りランドめがけてパンチを繰り出すが、次に足に衝撃が走る。

しかし、ランドは自分の右腕付近にいる。

今度は前から衝撃が来た。半歩ほど、よろけるとランドは右脇腹に拳を突き立てた。と同時に、左脇腹からも衝撃がくる。

両方からの衝撃で、鎧を通り越して直接体に衝撃が走る。

まるでランドが2人いるみたいな感覚に煽られた。

「何だ?コレは…?」

思わず片膝をついてしまった。

今度は全身に、衝撃が走る。ランドが鎧全体に、爪を突き立てた。

ギギギギギ…と鈍い音を立て斬撃が走る。それが終わるともう1度。

更にもう1度。

全てが終わる頃、ペペロンチーノは地面に倒れていた。

「勝った!」とランドは月明かりの下で右手を上げた。


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